2012年6月議会・代表質問(6月15日)

2024-02-14

原子力防災について

次に、この項に関連し、原子力防災についてお尋ねします。

わが会派は、先月末、大気環境学の専門家を講師に招き、仮に福島第1原発と同規模の事故が玄海原子力発電所で起きた場合に、放射性物質がどのように飛散するかを試算した研究結果について、「学習会」を開きました。

この試算は国の「緊急時迅速放射能予測ネットワークシステム(SPEEDI)」と、ほぼ同じ手法で行われたものですが、シミュレーション結果から、事故当時と同じ気象条件のもとでは、わずか2時間程度の間に、玄海原発に近い糸島市や福岡市はもとより、筑紫平野から県中央部を横断する広い地域で、1平方メートルあたり100万ベクレルに迫る大量の放射性物質に汚染されることがわかりました。1平方メートルあたり100万ベクレルという数値は、今回の原発事故では、住民が立ち入ることのできない「警戒区域」レベルにあたりますが、福島第1原発の事故の際には、SPEEDIの予測が活用されず、屋内退避が必要な時に避難のために屋外に出たり、放射線レベルが高い方向に避難して、多数の住民が被曝することになりました。

シミュレーション結果からは事故時の気象条件によっては、原発から遠い場所に避難することよりも屋内退避が重要となること、避難の際には原発からの距離よりも風向や風速などを考えて避難すること、原子力防災対策重点地域の30キロを超えた場所でも避難が必要となるなど、原発から同心円の対策に縛られない柔軟な対応と、平時から風向きや降雨などの気象データを使い緊急時の対応に備えることの重要性が理解できました。本県では原子力防災計画の策定が進められ、また今月3日には原子力防災訓練も実施されていますが、放射性物質の飛散が季節ごとの気象条件や複雑な地形に大きく影響することから、原発からの同心円上の対策よりも、事故発生時の風向きなどの気象データを重視した対策を進めるべきだと考えます。現在、策定中の原子力防災計画には当然、こうした視点を入れるべきだと考えますが、このことに対する知事の考えをお聞きします。

またシミュレーション結果からは、避難が必要な範囲が北部九州の広い地域に及ぶことがわかります。わが会派は、今年4月に原子力防災に関し、佐賀県唐津市を視察しましたが、その際にも唐津市側から県境を越えた防災計画に関する連携の必要性が提起されました。そこで本県の原子力防災計画に関しても、少なくとも長崎、佐賀を加えた北部九州3県の連携を視野に策定する必要があると考えますが、このことについて知事の考えをお聞きします。

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