2012年6月議会・代表質問(6月15日)

2024-02-14

九州および本県の観光戦略について

次に九州及び本県の観光戦略についてお尋ねします。

九州の広域観光については、2004年10月に九州地方知事会が「九州が一体となって取り組むべき観光施策」を取りまとめた「九州観光戦略」を策定し、翌年4月に「九州観光推進機構」が設立され、この間、九州の魅力を磨きブランド化する戦略や、国内大都市圏や海外からの誘客戦略に取り組んできました。しかし、近年は個人の趣味・指向による「体験型旅行」やデフレ経済下における「安くて、近くて、短い」いわゆる「安・近・短」旅行の増加、九州新幹線の全線開業など九州の広域観光を取り巻く現状が大きく変化したこと。加えて、九州のより強力な統一的イメージ作りや国内外のマーケット別のきめ細かな戦略の構築と施策の実行などにおける課題や観光推進機構が任意団体という組織的脆弱性と外部人材依存によるノウハウの蓄積不足や内外の関係者とのネットワークの構築不足など、いくつかの大きな基本的課題も指摘されるに至りました。

こうした状況から、九州地方知事会は現在、機構が取り組んでいる第三次九州観光戦略後の九州の広域観光推進について、「九州広域観光推進検討委員会」を設置し、「今後の九州の広域観光施策の方向性と推進機構の役割・在り方」を検討してきました。その最終報告が6月7日に開催された知事会で了承されました。それによりますと「九州広域観光の戦略の必要性」については、観光を取り巻く環境変化を受け、九州の広域観光を着実に拡大するためには、「概ね10年程度を見据えた中長期計画と3年程度のアクションプランに基づいた施策の展開が必要」とし、国内外からの誘客には、多様な観光資源を持つ九州の強みを一体的にPRすることや、九州が一体となった広域戦略の立案が必要としています。

また「推進組織の必要性」については、各県の個別連携での実施よりも迅速で統一的な意志決定を行うには予算と人員の集中による効果的・効率的な事業執行が可能な推進組織での実施がより適しているとしています。さらに推進組織の役割と在り方については、行政や民間事業者に観光インフラの整備等を求めると共に、推進組織が担うべき役割として人材育成や国内外へのプロモーションを示しています。そして何より推進組織の在り方については、現戦略後の次なる10年を見据えた長期戦略を担うために、指揮命令系統の確立と安定的な財源の確保、職員の適正配置とプロパー職員の導入による、組織内ノウハウの蓄積等をあげています。以上の最終報告を基に以下5点についてお尋ねします。

まず第1に、九州観光推進機構が設立されて今年で丸7年を迎えます。観光は裾野が広く、地元の雇用も見込まれることから、今後の成長分野としてその振興拡大は程度の差はあれ、全国の自治体で取り組まれています。そこで知事は九州観光戦略の意義と推進機構が果たしてきた役割と成果についてどの様に認識しているのか所見をお伺いします。

第2は、今年度の本県の観光予算約2億6千7百万円のうち、その主な支出は機構への補助金約7千万円、県観光連盟への補助金約4千4百万円、その他九州新幹線全線開通キャンペーンや市町村と連携した広域観光キャンペーン約4千5百万円などとなっています。この予算の中で県独自の観光事業に対する取り組みはどのようなものがあるのか、お示し下さい。また、この間の本県の観光戦略と九州観光推進機構の取り組みとの関係はどのような役割分担で調整されてきたのかお尋ねします。

第3は、今回の報告では、推進機構の法人化を組織強化の選択肢の一つとしていますが、2005年4月に機構が設立された際には、「速やかな法人化を目指す」とされていたものが、今日まで法人化されていません。九州の広域観光を拡大するためには、法人化や組織の強化は喫緊の課題です。その実現のため本県として積極的に力を尽くすべきではないかと考えますが、知事の所見をお伺いします。

第4は推進機構の財源についてです。現在、推進機構は九州7県や各県観光連盟・民間企業などからの補助金等により年間約5億円で運営されています。しかし、安定的に事業を推進し、適正な職員配置やプロパー職員の導入等には多額の財源の確保が必要不可欠の要件です。そこで、九州観光の一体的取り組みを推進する上で、九州各県が安定的な財源を確保し九州の一体的な観光の充実と進化を実現することは極めて重要な取り組みだと考えますが、知事の所見をお伺いします。

第5に、今後の九州広域観光の検討スケジュールについてどのように進められていくのかお尋ねしてこの項の質問を終わります。

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