2012年6月議会・代表質問(6月15日)

2024-02-14

農業問題について

そこで、1点目に、「2010年農林業センサス」によると、全国の農業集落の数は、約14万で、このうち、担い手となる家族経営や、法人経営が全くなく、かつ、核となる集落営農もない地域が、約36%を占めています。また、基幹的農業従事者は、全国で約186万人と言われますが、その約60%が、65歳以上であり、40歳未満の若手農業者は、全体の5%ほどしかいないと聞きます。そこで、本県の農業集落が、どのような現状にあり、それらの地域や集落において、持続可能な農業経営を確立する上で、どのような課題を抱えていると、知事が認識しているのかお聞きします。

2点目に、「人・農地プラン」は、市町村が決定することになっていますが、都道府県に対しては、「人・農地プラン」の策定が円滑に進むよう、重点市町村・重点集落を設定することが求められています。

農水省の2008年・「集落営農調査」によると、本県の農業集落数は、約3200集落で、このうち、およそ半数近くの1500集落が、集落営農へ参加しています。

北海道を除く都府県全体の参加率は、24%程度であるので、本県の集落営農の組織化は、全国的にも進んでいると評価できます。

今後は、残り半数の集落の組織化と、集落営農組織の法人化が課題となってきます。県の「総合計画」にも、集落営農の法人化について、今後5年間で、200法人をめざすとの目標が示されており、そのこと自体は評価できますが、法人化することを目的化するのではなく、法人化を手段として集落を基盤とした「多角経営農業法人」へと、育成していくことなど、法人化の先を見据えた取り組みが重要だと思います。

また、営農組織や法人組織は、それぞれの地域特性や、発展の段階、めざしている方向性に違いがあり、千差万別だと聞きます。

そこで、「人・農地プラン」の策定は、これらのことを踏まえ、集落営農の組織化、法人化とあわせて進めることに意義があると思いますが、知事は「人・農地プラン」の策定に向けて、どのような展望と手立てをもって、取り組むのか考えをお聞きします。

4点目に、「青年就農給付金」制度は、フランスに同様の給付金制度があることが、国の2010年度「農業白書」で紹介されています。「白書」によると、フランスで「青年就農給付金」が創設されたのは1973年で、1農業者あたり、平均180万円が給付されていますが、受給者の10年後の定着率は95%と、非常に高くなっています。

また、フランスでは、この制度により、1970年に15%であった、主業農業者に占める、40歳未満の割合が、2003年には、29%へと大きく増加し就農者の若返りが実現しており、今回の制度はこれを参考にしたものと考えられます。

フランスの制度とは、条件不利地が、優遇されていること、半額とはいえ、副業農業者も対象となっていることなどの、違いがありますが、この違いは、農業経営を持続することが、食糧の安定供給に加え、環境保全などの、多目的な機能を、発揮する役割を担っているという、農業に対する「社会的な評価」が、フランスでは、定着していることにあると思います。

そこで、今回の給付金制度をはじめ、農業経営の確立を促進するための助成は、農業に対する「社会的な評価」を、県民の中に広めていくことと合わせて、進めていくことが重要だと考えますが、このことについて知事が、どのように考え、取り組んでくのかお聞きします。

5点目に、全国就農相談センターの実態調査では、新規参入者が、農業を始めてから、経営が定着するまでに、最短でも、2年〜5年かかっており、また北海道以外の都府県では、農業開始から5年以上経っても、農業所得で生計が成り立っている者の割合は40%でしかないという、実態が明らかとなっています。

こうした中で、「青年就農給付金」制度が開始される意義は大きいと考えます。本県では1998年から2010年までの11年間に、累計で、1598名が新規就農し、その内訳は農家の世帯員から、自営農業者となった者が1416名、非農家からの新規参入者が、182名となっています。

そこで、就農者の若返りという視点や、農業経営の定着という視点から、本県が取り組んできた、新規就農が、どのような現状にあるのかお聞きします。また県では、年間の新規就農者の目標人数を、これまでの150人から、200人に上積みし、今年度からの5年間で、1000人の新規就農者の育成をめざすことにしていますが、この給付金制度を活用した農業分野の人材確保に、どのように取り組んでいくのかお聞きします。

6点目に、雇用就農に関して、他県では、集落営農法人を核に、地域の農業資源を、総合的に活用して、一年間を通じて、農業に従事できる「周年農業」と、「周年就農」を確立するとともに、雇用就農を媒介として、定住者としての確保をめざす、取り組みを行っているところもありますが、このような、取り組みに発展していくためには、農地の維持・管理組織という、従来の集落営農の枠を超えた、経営への発展が必要となります。

本県の集落営農組織についても、経営力を強化することが課題となっていますが、そのためには、農業普及指導員に技術指導だけでなく、経営指導の役割を担わせることや、経営に係る新たな人材を配置するなど、人材確保を通じた、集落営農全体をマネージメントする体制が必要だと思います。そこで、知事がこのことにどのように取り組むのかお聞きします。

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