2012年9月議会・代表質問(9月21日)_6

2024-02-14代表質問:原竹岩海 議員

教育問題について

次に、教育問題についてお尋ねします。
昨年10月、滋賀県大津市の中学校で、同級生から「いじめ」を受けていた生徒が自殺するという、痛ましい事件が起き、現在、警察が捜査に乗り出す事態となっています。この事件の真相は、未だに解明されていませんが、事件が起きた学校現場や教育委員会の事件への対応が、強い社会的批判を浴びることになりました。本県においても、2006年に筑前町で、当時の中学生が「いじめ」を苦に自殺する事件が起き、それ以来、本県では「いじめ防止対策本部」を設置し、「いじめ問題の総合対策」に取り組んでいます。それだけに、今回の事件を他県での出来事として片付けるのではなく、事件を機に二度と悲劇を繰り返さないという、決意をあらたにし、総合対策の点検・強化を図っていく必要があると考えます。そこで。

1点目に、今回の事件を知事、ならびに教育長がどのように受け止めているのか、それぞれの見解をお聞きします。

2点目に、今回の事件を受け、文科省は全国の教育委員会に小・中、高等学校での「いじめ問題」を緊急調査するよう通知し、今月20日までに報告することを求めています。この緊急調査は、大津市の事件後、文科省に設置している「いじめ相談ダイヤル」への相談件数が急増したことから、「見えないいじめが多数存在する可能性がある」と、判断したために、実施されるもので、毎年実施されている調査とは別に、今年4月以降に把握した「いじめ」の件数や、「いじめの実態把握が的確に行なわれているか」などを、あらためて調査すると聞いています。そこで第1に、「いじめ」の認知件数や、その解消件数など、本県で行なった緊急調査について、結果の概要をお聞きします。第2に、本県での「いじめ」の認知件数は、公立小学校では2006年度の649件から2011年度の150件に、公立中学校では同じく、2006年度の963件から2011年度の325件に、数字だけを見ると減少していますが、それでも2008年度からは、小中学校ともに横ばいの状況にあります。そこで、今回の緊急調査の結果と、これまでの「いじめ」の認知件数の推移などとの比較から、本県が2006年から取り組んでいる「いじめ問題の総合対策」の成果や課題をどのように分析しているのか、教育長の考えをお聞きします。

3点目に、報道によると自殺した生徒が継続的に「いじめ」を受けていたことを多くの生徒が知り、教師に対応を求めていた事実や、さらには「いじめ」に当たるような事実を認識していた教師がいたにもかかわらず、中学校は当初、「いじめ」とは判断しなかったとされています。しかし、このことは「いじめ」を発見し、止めさせる体制に大きな問題があったことを示しています。教育の現場における「いじめ」は、子ども同士の葛藤、軋轢などを背景として、いつでも、どの子どもに対しても、起き得る現象であり、早期発見、早期対策が重要であると聞きます。そこで、現場の教師が生徒の異変に気付き、生徒からのサインを見逃さないようにするためには、「生徒と向き合う時間」の確保と、スクールカウンセラーの配置など、教育現場をサポートする体制が、必要だと考えますが、このことについて、どのように取り組むのかお聞きします。

4点目に、今回の事件をめぐって、大津市の教育委員会の対応が強い批判を受けています。批判は、同市の教育委員会が、事件の起きた学校の全校生徒を対象にしたアンケート調査から、「いじめ」に関する情報を得ながら、「アンケート結果からは、いじめとの因果関係は断定できない」と主張し、早々と調査を打ち切り、アンケート結果も公表しなかったことや、事件後に開かれた市教委の定例会では、教育委員から「いじめ問題」への質問や意見が出なかったことなどに対するものであり、教育委員会の閉鎖的体質や形骸化が強く指摘されています。この批判や指摘は、同市の教育委員会だけを指して行われているものではなく、現行の教育委員会制度自体のあり方を問うものだと考えます。そこで、こうした批判や指摘を真摯に受け止める必要があると考えますが、教育長は教育委員会に対する指摘や批判をどのように受け止められ、本県の教育委員会の活性化のために、どのようなことに取り組んでいくのかお聞きします。また教育委員会のあり方をめぐっては、大阪市の「教育行政基本条例」のように、教育行政への首長の関与を強める動きや、「地方主権改革」の中で、教育委員会の必置規制見直しの議論もありますが、知事は首長という立場から、教育委員会制度のあり方について、どのような所見をもっているのかお聞きします。


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