2013年2月議会・代表質問(3月5日)_2

2024-02-14代表質問:岩元一儀 議員

県政推進の基本姿勢について

2)地域主権改革の推進

今年は、1993年に衆参両院で「地方分権の推進を求める決議」が、両院ともに全会一致で採択されてから、20年の節目の年にあたります。

国会決議を受けた後、2000年には「地方分権一括法」が施行され、小泉内閣時代の「三位一体改革」を経て、2009年の政権交代後は「国と地方の協議の場」の法制化や、「義務付け・枠付け」の見直しも着手されるなど、自治体の自由度を高める改革は、一定の前進を遂げてきました。しかし、国税と地方税の配分の見直しや、国の出先機関の改革など、残された課題も多くあります。こうした中で、新政権となってからは、「一括交付金」廃止の問題や、出先機関改革を白紙に戻すかのような発言を総務大臣が行うなど、改革の後退が懸念される状況も生まれています。そこで。

1点目に、知事が、この20年の改革の歩みを、どのように評価しているのかお聞きします。

2点目に総選挙を経て、「道州制」の議論が活発化する兆しを見せています。新政権は分権改革の方向として、都道府県を再編・統合し、全国に10程度の「道」・「州」を設ける「道州制」を掲げ、次期通常国会にも、基本法案提出を予定していると聞いています。これまでの20年間の分権改革の方向は、住民に身近な市町村に税源と権限を移譲し、住民に身近な市町村が住民サービスのあり方を自己決定する。それに基づき、「市町村から都道府県、さらに国へ」という、補完型の国と地方との関係を築くことを目的に改革が進められてきました。こうした分権改革が実現した後の、次の段階として「道州制」を展望することは、当然のことだと言えます。本県においても、分権改革の方向は、「地方への大胆な権限移譲、義務付け・枠付けの見直しなどによる自治立法権、自治行政権の拡大や、地方財政基盤の強化を通じた自治財政権の確立を図っていく必要がある」と、総合計画の中に明記されています。また、こうしたことを踏まえ、知事は先の12月県議会で、「道州制は、地方分権を進めた先にある国の姿というふうに認識している」と、発言されています。そこで知事は、これまでの20年間の分権改革の方向性と、新政権が掲げる「道州制」の方向性を、どのように考えているのかお聞きします。また、この新政権の掲げる「道州制」については、「国と地方の協議の場」などで、果敢に論争を挑んでいくことが必要だと考えますが、このことに対する知事の考えをお聞きします。

3点目に、報道によると、第2次安倍内閣は「一括交付金」を廃止し、中央省庁が細かく使途を決める「ひも付き補助金」を復活させる方針を固めたと聞いています。「一括交付金」は、中央省庁から補助金の一定額を提出させ、これを一本化し、元の補助金に関連した事業なら、自治体が自由に使えるようにした制度で、2011年度に都道府県を対象に5120億円で新設され、2012年度からは6754億円に増額し、政令指定都市にも拡大され、次の段階として、市町村に拡大する流れができていました。この制度は、地域の実情に応じた行政サービスの提供を確立するため、継続されるべきものであり、それをわずか2年で白紙に戻すことは、これまでの改革の流れに逆行するものだと考えます。そこで知事は、「一括交付金」について、どのように評価し、「一括交付金」を廃止し、「ひも付き補助金」を復活させる方針に対して、どのような見解を持っているのかお聞きします。

4点目に、「国の出先機関を都道府県の広域連合に移管する特例法案」は、閣議決定されたものの、国会に提出されないままになっています。自民党は、先の総選挙の政権公約で「国の出先機関の特定広域連合への移管には、断固反対」すると明言し、政権復帰後は、法案の国会提出を見送る姿勢を見せています。本県では、九州知事会で、国の出先機関の受け皿として、九州広域行政機構の設立をめざすことが合意されて以降、九州広域行政機構の設立をめざす取り組みを進めてきました。また、県議会としても、こうした知事会の取り組みを側面から支援する意味で、「九州の自立を考える会」を設立し、活動を続けてきました。国の出先機関の地方移管は、2007年に当時の安倍政権のもとで設置された「地方分権改革推進委員会」で、検討が始められたものであり、政権に復帰するなり、これまでの議論を白紙に戻すようなことが、あってはならないと思いますが、このままでは、国の出先機関の改革は、立ち消えになることが強く懸念されます。そこで本県では、国の出先機関の改革を進めるため、九州広域行政機構の設立をめざす取り組みを進めており、この方針を変えるべきではないと考えますが、このことについて、知事がどのように考えているのか、また今後、国の出先機関の改革をどのように進めていくべきと、考えているのかお聞きします。

5点目に、2013年度政府予算案では、地方公務員の給与削減を前提として、地方交付税が前年度比3900億円削減されました。そもそも地方公務員の給与は、公平・中立な知見を踏まえつつ、議会や住民の意思に基づき、自治体が自主的に決定するものであり、国が国家公務員の給与減額措置に準じて、地方公務員の給与の削減を求めるとともに、それを反映して地方交付税を削減したことは、地方自治の根幹にかかわる問題だと受け止めています。ましてや、その政策目的を達成するための手段として、地方交付税を用いることは、地方交付税が地方の固有財源という、性格を否定するものだと考えます。国の地財計画では地方交付税総額が、3921億円削減されており、本県への影響額は、知事が「議案説明」の中で明らかにしたとおり、193億円となっています。そこで第1に、この問題で知事は、今年1月の記者会見の席上、「国が国家公務員の給与カットをやってこなかった13年間、地方は独自で国を上回る人件費の抑制をやってきた。」と発言されるとともに、「国は、これまでの地方の取り組みを評価していない。」と、国の対応への不満を述べています。そこで、本県では1999年から2012年までの14年間にわたり、総人件費の削減に取り組んできましたが、この取り組みの概要と、それにより、どれくらいの財政効果をあげることができたのかお聞きします。第2に、今回の地方交付税の削減をめぐっては、自治体の自主性を侵す政府の姿勢に強い憤りを感じますが、知事は今回の地方交付税の削減にいついて、どのように考えているのか、所見をお聞きします。


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