2013年2月議会・代表質問(3月5日)_3

2024-02-14代表質問:岩元一儀 議員

県政推進の基本姿勢について

3)経済対策

次に、経済対策についてお尋ねします。
今年1月、政府から総額13.1兆円に達する今年度の補正予算案が発表されました。13.1兆円の内訳は、基礎年金の国庫負担分を除いた景気対策分が10.2兆円で、この内、半分の5兆円を公共事業が占めています。さらに1月末には、政府の新年度予算案が公表されました。この予算案は、先の補正予算と合わせ、「15ヶ月予算」と位置づけられ、歳出総額は大規模な公共事業を盛り込むなど、過去最大規模となっており、何よりも補正予算と合わせると、施設費を含む公共事業費の総額が10兆円を超え、突出していることが、特徴となっています。公共事業重視の新年度予算は、短期的に景気を押し上げる効果はあると思いますが、甘い税収見通しを前提にしている上、借金体質は依然として続き、財政再建という点では、今後に不安を残す内容となっています。こうした政府の経済対策は、安倍政権が「3本の矢」として掲げる「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間の投資を引き出す成長戦略」の三つの基本方針に沿って策定されたと聞きます。株式市場や為替市場は、今後の金融政策と財政出動によるデフレ脱却への期待感から株価上昇、「円安」の反応を見せ、また安倍政権も「今は期待に働きかける政策が重要だ」としています。今後は、こうした政策を実体経済の回復に結び付けていくことが、最も重要だと考えます。そこで、知事にお尋ねします。

1点目に、デフレ脱却に向けた金融政策の効果については、評価が分かれているのに対し、「デフレ脱却を確実に行なうには、賃金が持続的に上昇する状況を作り出す必要がある」ということについては、異論は少ないと聞きます。これは、仮にインフレ率が上昇しても、賃金が上がらなければ、家計の実質所得は減少することになり、需要の低迷によるデフレが続くことになるからです。その意味で、安倍政権の経済政策の成否を決める最終的な要素は、賃金が持続的に上昇する状況を作り出せるかどうかにあると考えます。現在、「春闘」の期間中にあたりますが、「賃上げによるデフレ脱却」を訴える労働側に対し、経済団体側は、賃上げに慎重姿勢を崩しておらず、賃上げが進むかどうかは微妙な情勢にあり、このことから政府は、経済界に「賃上げ圧力」を強めていると報道されています。わが国の賃金は、10年以上にわたり下落傾向を続けています。この間には、輸出産業を中心に、企業が最高益を記録した2002年から2008年にかけての景気拡大期もありましたが、この期間中も賃金は上昇せず、デフレが続くことになりました。そこで、知事は「デフレ脱却のための賃上げ」の必要性について、どのような所見を持っているのかお聞きします。

2点目に、公共事業を中心とする財政出動は、ここ20年で100兆円にのぼり、1990年代から景気が落ち込むたびに、公共投資を積み増す経済対策が講じられてきましたが、その効果は短期間で消え、財政赤字だけが積み上がっていったという、経緯があります。そこで、知事が今回の政府の財政出動を財政規律の観点から、どのように評価しているのかお聞きします。

3点目に、政府の新年度予算案には、安全安心につながる公共事業なら自由に使える自治体向け交付金として、1兆円あまりを盛り込み、自治体が必要とする事業に使えるようにしていますが、今回の政府予算に対しては、景気回復の即効性に期待し、「優先順位よりも事業の量を確保するために、予算を膨らましている」との指摘があります。国の「機動的な財政出動」に対しては、自治体の側も機動的に対応しなければ、景気刺激効果は上がらないと思います。しかし、現実問題として、公共事業は、計画、調査、用地買収などの段階を経て、事業が開始されるものであり、このような大量で、しかも時間が限られている中で、事業が適切に執行できるのか、また現場職員が減少している中で、事業を執行できるのかといった課題があります。そこで、今議会に提案されている本県の予算では、2月補正と来年度当初予算を合わせた公共事業費が、今年度当初予算と比べ21.1%増の高い伸びを示していますが、この公共事業を執行していく上で、時間的課題や、職員体制について、知事がどのように認識しているのかお聞きします。


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