2016年2月定例県議会 報告 その3

2024-02-14

二、民主党県政クラブ県議団の代表質問と概要

◎本県へのタイ国総領事館の誘致(知事へ質問)

タイ国政府観光庁福岡事務所とタイ国政府貿易センター福岡の閉鎖について
観光庁福岡事務所は、九州・山口からの観光客誘致が目的、1992年に設置。博多どんたくの観光プロモーション活動、県内の旅行会社向け説明会の開催等を実施。
 貿易センター福岡は、九州・沖縄へのタイ製品の輸出拡大が目的、1990年に設置。タイ企業の展示会への出展支援、タイ企業と県内企業とのマッチング、福岡ABCと連携した商談会の開催等を実施。
 県は、昨年夏、両事務所閉鎖さの情報を入手。タイ国大使館に存続を強く要望。タイ国側から、両事務所の閉鎖は決定事項、要望に応えられない旨の回答。

本県へのタイ国総領事館の誘致について
昨年10月、シーキウ市での廃棄物処分場竣工式の際、タイ外務省を訪問し総領事館設置の要請を行い、在タイ日本大使館を訪問し支援を依頼。駐日タイ大使館にも、同様の要請。今後もタイ政府及び我が国の外務省に対し、積極的に働きかける。

タイ国に附属中学校を開設する柳川高校への支援について
柳川高校は、タイ国に学校運営法人を設立、本年5月、タイ南部ナコンシータマラート市に附属中学校を開校予定。
 県は、柳川附属中学校卒業生の受入れや教員の相互派遣について、私立学校と海外の学校との交流事業に係る本県の助成制度を活用し、支援する。

ナコンシータマラート市の「福岡方式廃棄物処分場」の導入に向けての支援協力について
タイ国は本県の技術協力で、昨年、シーキウ市に福岡方式廃棄物処分場を竣工。同市の行政官に国際環境人材育成研修への参加、本県の環境施策や環境技術の学習、実際に福岡方式の現場も見てもらい、より理解を深めることが支援協力の第一歩。

◎福祉労働問題(知事へ質問)

1.本県の雇用問題

最低賃金をいくらに引き上げることをめざすのか
国は2020年頃に向け、最低賃金全国加重平均1,000円を目指す。

県は早期に最低賃金800円を実現すべきとの考え。毎年、国等に対し最低賃金引上げの提言を独自に実施。
 最低賃金の引上げは、県の雇用を支える中小企業の生産性向上と収益力の強化を進め、改善した企業収益を賃上げや投資に結び付け、更なる消費や投資の拡大に結び付く経済の好循環を拡大・深化が重要。

同一労働同一賃金についての認識
雇用形態の違い(正規・非正規)だけで処遇の差が生じないよう、同一労働・同一賃金の実現は、女性の活躍を進めると共に、不本意で非正規雇用で働く若者の問題の解決を図る上で、非常に重要。
 国は、仕事の内容や経験、責任、人材活用の仕組み等の諸要素に鑑み、バランスのとれた待遇を保障する「均衡待遇」にとどまらず、それらの諸要素が同じなら同一待遇を保障する「均等待遇」を含めて検討されていると承知。
県は、国の動向も注視し同一労働同一賃金が非正規雇用の待遇改善を通じ、多様な働き方の拡大等、雇用問題の改善につながっていくことを、機会を捉えて国に伝える。

正規雇用率の改善について
本県の非正規雇用割合は、雇用者全体の4割、2007年から2012年までの5年間で約8万人増加。
 内訳は60歳以上で約7万人増加、定年退職者が、自らの生活様式に応じ、多様な働き方を選択していることが大きい。

45歳未満も約2万人増加、その中には不本意ながらも非正規雇用で働く方もいる。

非正規雇用は、正規雇用に比べ、①雇用が不安定、②賃金が低く経済的自立が困難、③能力開発機会が不足、といった課題がある。希望者の正規雇用への転換を進めること、労働者の希望や意欲・能力に応じた雇用形態、待遇の実現が図られることが重要。

新規高卒者・大卒者の離職対策について
県は、県内企業に協力を呼びかけ、インターンシップや会社見学会の取組みを幅広い業種で実施、高校生や大学生に対し働くことの意味や地元企業の魅力を経営者が教える特別授業などを実施。
 若者の安定的な雇用支援のため、若者しごとサポートセンターや30代チャレンジ応援センターにおいて、キャリアコンサルタントによる就職相談、各種セミナー、合同会社説明会等、きめ細かな就職支援を実施。

2.子どもの貧困対策について

本県の子どもの貧困の現状認識について
就学援助や高校生等奨学給付金受給者数を用いて試算すると、本県の貧困状態と考えられる18歳以下の子どもの数は17万5千人。率にして19.8%、およそ5人に1人の割合。
 生活保護率が全国と比べて高いことから、本県の子どもの貧困の現状は厳しい。

「子どもの貧困対策推進計画」の策定骨子案に現状認識が示されていないことについて
本県は、悉皆調査の結果による、①生活保護世帯の子どもの高等学校等の進学率、②その中退率、③高等学校等卒業後の就職率、④児童養護施設の子どもの高等学校等の卒業後の進学率を各々、数値目標として設定し貧困の改善を図る。

本県の子どもの貧困率は全国数値を上回る状況にあることから、その点は計画に記載する。

全国平均を上回る本県独自の数値目標設定について
今次計画は、生活保護世帯の高等学校等進学率等の4指標について、先ずは全国数値に追いつくことを目標として設定。県の数値が全国数値と大きく乖離し、支援を要する緊急度の高い子どもが貧困の連鎖から脱するために、学力を十分に身に付け着実に就職出来ることが、最優先の課題と考えた為。
 新規事業として、高校中退防止のための訪問相談や児童養護施設退所者に対する大学進学費用の助成と生活費の貸付け等を行う。
 ご指摘の父子家庭の親の就業率や小学校へのスクールカウンセラーの配置率等、21指標も子どもの貧困に関する指標として有効。今後、これらの指標も毎年検証を行い必要に応じ目標を設定し、子どもの貧困の解消に向け全庁を挙げて取り組む。

計画で設定した重点方針に対する現状認識について
計画は、①乳幼児期からの早期かつ一貫性のある支援、②支援を要する緊急度の高い子どもに対する着実な支援、③地域の関係者が一体となって行う支援の3点が重点方針。
 現場の保育士、スクールソーシャルワーカー等から、①歯磨き、入浴や着替えをさせてもらっていない幼児が存在し、その子どもの情報が保育所・小学校・中学校・高校と引き継がれておらず、早期かつ一貫性のある支援が求められること、②今日、明日の食事に困っている世帯が存在する等、緊急に支援が必要な子どもがいること、③核家族化や都市部への人口集中により、地域のつながりが希薄化し、貧困状態に置かれた子どもが発見されにくい等、地域挙げの取組みが必要と指摘された。
 これらの現状を踏まえ、計画において3点を重点方針に設定。

新たなワンストップ型相談窓口「子ども支援オフィス」への県民の相談誘導について
子ども支援オフィスは、2016年度の早いうちに県内4か所に設置。
 住民が市町村窓口・児童相談所・福祉事務所等、どの機関に相談しても着実に子ども支援オフィスにつながるよう関係機関にオフィスの役割を周知徹底する。