2016年9月定例県議会 報告 その3

2024-02-14

二、 代表質問(大橋克己議員)

◎県政推進の基本姿勢について

2.給付型奨学金の創設 (知事へ質問)

 本県の高校・大学進学率等などの生活実態や地域課題把握のための子どもの貧困の独自実態調査(生活保護受給世帯と市町村民税所得割額非課税世帯とそれ以外の世帯の3層に分けて)について

 市町村民税所得割額非課税世帯等の高校、大学等への進学率は、今後調査を実施する。
 本年6月に県内4か所に開設した子ども支援オフィスで、学習、進学、健康状態、家庭環境等相談内容を集約、分析・検討し生活困窮世帯の生活実態や地域の課題を把握し、新施策につなげる。

 大学生の4割近くが平均300万円近い「奨学金という名の借金」を抱えている現状認識について

 大学進学率の上昇や奨学金制度の拡大、近年の経済情勢や家計の状況から奨学金の貸与を受けている学生数やその割合が増加。一方で、非正規雇用の増加など雇用環境の変化に伴い、奨学金の返還が困難となる者や、社会に出た後の返還負担に不安を覚え奨学金を受けることを躊躇する学生がいるといった課題がある。

 参院選で与野党そろって公約に掲げた大学生向けの給付型奨学金制度創設への働きかけについて

 国は本年6月、給付型奨学金制度検討チームを設置し、給付型奨学金制度の創設に向け検討を進めている。来年度概算要求でも、予算編成過程において検討する。
県は本年8月、政府への予算要望、全国知事会は早期に給付型奨学金制度を創設するよう要望した。

 県立三大学の授業料減免制度について

 県立三大学は、経済的理由から授業料の納付困難な学業優秀な学生を支援、大学・大学院で授業料の2分の1を免除。授業料免除対象の学生は、三大学で10年前の平成18年度は延べ102名、27年度は延べ250名。大幅増加の状況も踏まえ、制度の拡充が必要かどうか各大学法人の意見も聞き検討する。

 国の「高校生等奨学給付金」制度の給付内容を現実に則した手厚い支援への見直しについて

 奨学給付金は低所得世帯に対し、教材費や学用品費、生徒会費、PTA会費、修学旅行費等、学校生活上必要となる授業料以外の教育費負担について軽減を図るもの。市町村民税所得割額非課税世帯は、これらの経費の一部が対象外。
 県は、県議会と共に政府予算要望や、全国知事会を通じ、第1子と第2子以降の支給額の差を解消するよう求めてきた結果、第1子の支給額は平成27年度、28年度と2年続けて引き上げられた。
 非課税世帯の対象経費の拡大も含め、給付金の更なる充実のため引き続き県、知事会を通じ国に働きかける。

 私立高校の高校生等奨学給付金の受給者数と、申請不要の制度へ改めることについて

 平成27年度の受給者数は7,383名。学校を通じ制度の内容と申請手続きの周知徹底により、申請漏れの報告はない。
 給付金の審査は、生徒の世帯が生活保護受給世帯か、所得の状況など個人情報の収集が必要。このため、本人の申請によりこれらの情報を確認している。

 国公立高校の高校生等奨学給付金の受給者数と、申請不要の制度への改めることについて(教育長答弁)

 平成27年度の受給者数は、9,265人。7月の申請時期はもとより、県立高校入学前から市町村教育委員会を通じ、中学校3年生にチラシを配布。合格者説明会でも制度の説明を行う等、周知に努めている。
 7月1日の支給基準日前に、全ての保護者から提出された書類等により、受給資格者を把握した上で、申請書類を配布。申請漏れはないと考える。
 奨学給付金の受給資格の審査は、申請時点での個人情報の収集が必要になるため、直接、保護者から申請書類を提出してもらい、世帯状況の正確な把握を行っている。

 本県独自の高校生向けの給付型奨学金制度の創設について(1都1道2府3県がすでに導入)

(知事)現在、国で大学生向けの給付型奨学金制度の検討が進められ、支給を受けない者との公平性の確保、成績基準設定の有無、給付金額の設定といった支給の在り方等の精査が行われている。
 既存の制度との関係、国の検討状況や他県の動向も踏まえ今後の対応を研究する。