2016年12月定例県議会 報告 その3

2024-02-14

二、 代表質問(仁戸田元氣議員)

◎県政推進の基本姿勢について

2.本県の防災体制の強化 (知事へ質問)

熊本地震検討プロジェクトチームの検討結果を受けた、地域防災計画等の見直しや進捗状況について
県は、プロジェクトチームで、消防、自衛隊、医療機関等の関係機関のほか、熊本県に派遣した職員や支援に携わった民間事業者などからも幅広く情報収集を行い、課題の抽出を行った。年度内には検討結果をとりまとめたい。
 国や九州地方知事会等の検証作業の結果も踏まえ、県地域防災計画の見直しや受援計画の策定、庁内各部各課が所管する計画や各種マニュアルの見直し等にもしっかり反映させる。併せて、防災訓練を実施し、それらの検証を重ね、災害対応の実効性を高める。

熊本地震の発生直後から時系列に人材の必要性を検証し、今後の災害時の県職員の迅速な派遣について
地震発生後の応急対策として、4月17日から健康管理支援のため保健師等9人、被災建築物の危険度判定のため建築職員10人を派遣。その後も、避難所運営支援のため事務職員を中心に派遣。4月末からは、生活支援対策として、り災証明発行のための家屋被害認定調査のために県税事務所の職員を、6月からは、道路、橋梁等の応急復旧のために土木職員を派遣。12月1日現在で延べ4,179人派遣。
 公共土木施設の復旧復興の本格化を踏まえ、7月から派遣期間が一か月以上になる土木、農業土木、建築職等の長期派遣を開始、現在、県職員18人、市町村職員34人の合計52人が活動中。
 災害時の職員派遣に備え、被災市町村や他の支援団体との調整を行う役付職員と、災害直後の応急対策に従事する職員について、今後、毎年度、あらかじめ、その名簿を整備。名簿に載せた職員は、常日頃から派遣に備え、心の準備を促し、被災地での業務内容等に関する研修を行う。

支援物資の集荷や仕分けの方法の改善について

県は、発災直後から熊本県内の全市町村と連絡を取り、支援物資の受付を行った12日間中で、4回、品目の見直しを行い、県民に物資の提供をお願いしたが、被災地のニーズが刻々と変化する中、支援物資を現地に届けるに至らなかった事例も生じた。この経験を踏まえ、現在、国に対し、被災地での物資ニーズがリアルタ
イムに発信され、迅速な搬出につながる全国統一の支援システムの構築を要望。
 九州地方知事会による、広域応援の検証・評価の中で、タイムラインに応じた必要物資を整理すること、九州・山口各県の備蓄物資のリストを共有し、プッシュ型とプル型とすべき品目を区別する検討結果を受け、本県も、必要な体制整備を図る。

市町村職員の円滑な派遣について

県は、熊本地震検討プロジェクトチームで、市町村職員の派遣も、県の市長会、町村会の意見を踏まえて分析、検証を行っている。市町村から、「県と連携して派遣する仕組みが事前にできていれば、より円滑に対応できた」、「他のルートからの派遣要請の可能性が予想された」といった意見があったため、市町村に一元的に要請する仕組みがあれば、より円滑に派遣ができたと考える。
 県は、九州・山口9県災害時応援協定に加え、九州市長会、九州地区町村会長会との間で、明確な役割分担に基づく職員派遣の新たなルール作りを行うよう、九州地方知事会に意見を出している。
※、どのような新しいルールとなるのか、今後の議会で質問予定。

緊急輸送道路沿いの建築物の耐震診断は、なぜ、本県は努力義務にとどまっているのか、義務化する必要性について
県は、第1次、第2次緊急輸送道路について、大規模地震時に通行を妨げる恐れのある沿道建築物の位置、高さ、建築年等の調査を行った。第1次緊急輸送道路は、沿道建築物の道路への影響を検証し、その結果、仮に倒壊した場合でも、迂回路の利用を含め緊急車両等が通行できる幅員が確保できることから、耐震診断を義務化せず努力義務とした。第2次緊急輸送道路の沿道建築物は、市町村が、道路への影響を検証する。県は沿道建築物の調査結果について、情報提供を行っている。

緊急輸送道路沿いの建築物のうち、1981年以前の旧耐震基準で建てられた建築物2,023棟の耐震化が済んでいない状況について
木造戸建て住宅が179棟、それ以外の建築物は1,844棟。本県の建築物の耐震化の現状から、木造戸建て住宅の約8割、それ以外の建築物の約4割が耐震性がないと推計。

緊急輸送道路沿いの建築物の耐震改修に係る補助制度の創設について

耐震化は、所有者自らが行う必要がある。県は、耐震化が進んでいない木造戸建て住宅や、耐震診断が義務付けられた大規模建築物の耐震化に対し補助を行っている。第1次緊急輸送道路は、地震時の機能の確保が確認できている。沿道建築物は、補助対象の建築物を除き、新たな耐震改修補助制度の創設は考えていないが、引き続き耐震化の重要性について普及啓発を行う。