2020年(令和2年)6月定例県議会 報告 3

2024-02-14

6月代表質問(質問要旨、答弁要約)

一、新型コロナウイルス感染症対策について
1.知事の基本姿勢について
○ 福岡・北九州両空港での国際路線の再開予定と防疫体制について
 県内空港の国際路線の再開予定、防疫体制を問う。入管施設での感染防止施設の充実は必要ないか、必要な場合国に県はどう関与するのか、問う。

【知事答弁】国は、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、出入国管理及び難民認定法に基づき、上陸申請日前14日以内に111か国・地域に滞在歴のある外国人に対し、上陸を拒否する措置を行っている。
 福岡・北九州両空港の国際路線定期便が就航する国・地域は、全て上陸拒否の対象地域となっており、国際路線の再開は、上陸拒否の措置の緩和が前提となる。現在、国において、一部の国との間で、出入国規制の緩和に向けた検討が行われているが、往来目的や職種、出入国規制の緩和に伴う適切な感染症対策のあり方の協議を行っている段階とのこと。
 また、福岡国際空港株式会社及び北九州エアターミナル株式会社によれば、現時点で、航空会社から国際路線再開の具体的な情報はないとのこと。
 国際路線の再開に伴う水際対策の徹底について、5月28日に行われた国と全国知事会との意見交換会で、国に対し、入国者・帰国者に係る行動歴の把握や患者発生都道府県との連絡体制構築、地方空港でのサーモグラフィー設置などを申し入れたところ。
 今後、福岡・北九州両空港を通じて感染の拡大がないよう、県として、引き続き、水際対策の徹底を国に要望してまいる。

○ 本県の景気状況と先行きについて
 景気が大きく落ち込んでいるようだが、県内の景気動向を示す指標はどうなっているか。また、知事は、指標に対して景気状況、景気の先行きをどう判断しているか、問う。

【知事答弁】本県の基幹産業である自動車の4月の輸出は、前年同月比マイナス42.4%と大幅に減少。消費に関しては、百貨店を含む6業態の小売販売額の合計は17.2%の減。内訳を見ると、日用品や食料品を扱うドラッグストアの4月の売り上げは前年同月比8.7%増、ホームセンターは3.4%増となったが、一方スーパーは4.5%減、コンビニは12%減、家電量販店は14.5%減であった。百貨店は営業自粛の影響等により82.1%の減と大きく落ち込んでいる。観光の面では、3月の延べ宿泊者数が前年同月比41.3%減と大幅に減少。4月、5月は、宿泊者数は更に減少していると見込まれる。
 このように、本県の景気は、急速に悪化しており、極めて厳しい状況にあると認識。先行きについては、感染の再拡大防止と医療提供体制の確保を図りつつ、社会経済活動のレベルを徐々に上げていくことになるが、当面、極めて厳しい状況が続くと見込まれる。

○ 解雇や雇止めが見込まれる労働者の数及び生活保護の申請の状況について
 現時点で、解雇や雇止めが見込まれる人は本県でどのくらいか。また、生活保護申請はどのようになっているか、問う。

【知事答弁】解雇や雇止めが見込まれる労働者の数は、福岡労働局が事業所に対する任意の聞取り等により情報収集しており、6月5日時点で450人となっている。
 生活保護申請件数は、今年4月において、前年同月比26%増の1,169件となっている。

○ 事業者への経済的支援について
 福岡県持続化緊急給付金の給付件数と給付額、新型コロナウイルス感染症対応資金の貸付件数と貸付額を問う。また、コロナ関連倒産を防止するための事業者への更なる支援策を問う。

【知事答弁】福岡県持続化緊急支援金は、6月10日現在で給付件数は、約6千9百件、給付額は22億7千万円を超えている。新型コロナウイルス感染症対応資金は、6月9日現在で貸付件数は9,579件、貸付額は1,503億9百万円となっている。
 現在、国会において、売上の急減に直面する事業者の事業継続を下支えするため、支払家賃の3分の2を支援する「家賃支援給付金」が審議されているところ。今後、県内事業者においても厳しい状況が続くと見込まれることから、国の給付金の対象となる事業者に対し、県独自の給付率のかさ上げを実施したいと考えている。
 これとは別に、休業要請に協力いただいている北九州市の接待を伴う飲食店及びライブハウスの2業種に対し家賃の1割の特例加算を行う。
 県制度融資による資金繰り支援を更に強化するため、実質無利子・無担保の「新型コロナウイルス感染症対応資金」、保証料を県が肩代わりしてゼロとする「緊急経済対策資金」の融資枠を拡大する。さらに、「新しい生活様式」の定着を図っていくため、経営革新に取り組む企業が業種別ガイドラインに基づき実施する感染症防止対策への支援も実施したい。

○ 会派が提言したものに対し取り組んだ内容、及びその進捗状況について
 我が会派はこれまで2回提言書を提出した。県独自の支援も始まっているが、これまで我が会派が提言したものについて、取組状況、及び進捗状況を問う。

【知事答弁】4月16日と5月12日の2回、103項目の貴重な提言をいただいた。十分検討し、現在、実施済み又は一部実施済みのものは約9割を超えている。具体的には、
・PCR検査は、帰国者・接触者外来を31か所から59か所に増加、ドライブスルー方式などにより診察、検体採取を実施する専用外来が県内17か所設置されており、必要なPCR検査が迅速に行える体制を確保
・労働者等の支援は、県では新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急雇用対策として、失業者等を対象に、県の会計年度任用職員を募集し50人を採用している。学生、留学生を含め働く場を失った方に対し、市町村と連携して「緊急短期雇用創出事業」を実施しており、6月3日時点で、県と市町村合わせて約1,000人の方の就職が決定
・情報発信と助成手続きの支援については、個人及び事業者向けの主な支援制度や相談窓口など、県民に必要な情報を分かりやすくまとめた「福岡県だより臨時号」を5月中旬に発行
 新型コロナウイルスと向き合っていく段階に入る。提言いただいた内容も参考にしながら、今後の対応に活かしてまいる。

○ 新型コロナウイルス感染症対策に要する財源確保について
 4月に県と県議会で国に緊急提言書を提出し、地方の財源確保を求めたが、未知のウイルスとの闘いが長期化することも想定されるため、率先して国に必要な財源を求めるべきと思うが、知事の考えを問う。

【知事答弁】これまで三次に渡る補正予算を編成し、大規模な対策を講じてきた。この間、北村地方創生担当大臣や西村経済再生担当大臣に臨時交付金の増額と柔軟な使途を認めるよう要望するとともに、全国知事会を通じて国に働きかけてきた。その結果、第2次補正予算案において臨時交付金が2兆円増額され、現在、国会で審議されているところ。
 今後の感染拡大に備えた医療提供体制の強化や「新しい生活様式」の普及・実践に向けた対応等に万全を期すとともに、経済・雇用情勢や「第二波」への対応等に合わせ、追加の経済対策を講ずるよう国に要望してまいる。
 外出自粛や休業要請は、企業の生産活動や住民の消費活動等に対して著しい影響を与えており、地方税の大幅減収も予想されることから、減収補てん債の対象に基幹税である地方消費税を加えるなど、地方の歳入に不足を来さないよう、国に対し強く働きかけてまいる。