2020年(令和2年)12月定例県議会 報告 2

2024-02-14

民主県政県議団代表質問・答弁概要

一、県政推進の基本姿勢について
1.新型コロナウイルス感染症対策について
問1 現在の感染状況をどう受け止めているか、予防策、治療にどのような見解を持つか問う
(知事答弁)新規感染者数が50人を超える日も増えており、感染の再拡大に向けた注意喚起を続けていく必要があると考えている。このため、県民には、マスク、手洗い、身体的距離、三密の回避など「新しい生活様式」の実践を、事業者には、業種別ガイドラインに沿った感染防止対策の徹底など呼び掛けていく。国に対し、全国知事会を通じ、特効薬や治療法の確立を実現すること、治療薬等の開発を行う企業に重点的な支援を行うこと等を提言している。

問2 PCR検査体制の拡大状況、病床の確保状況、宿泊療養施設の確保状況を問う
(知事答弁)県内1日あたりのPCR等検査能力は、現時点約5,000件で、約6,000件にまで強化する。診療・検査体制は、発熱患者等の診療・検査を行う医療機関を「福岡県診療・検査医療機関」とし、現在1,257医療機関を指定。このうち、1,000以上の医療機関でPCR検査等を受けることができる。病床確保については重症者向けの病床90床を含む551床の病床を確保しており、最大760床の確保を目指している。無症状者・軽症者を受け入れる宿泊療養施設は、現在4つのホテルで計1,057室を確保し、今後、最大1,200室を確保する。

問3 高齢者施設で感染者が発生した際の対応策について問う
(知事答弁)入所者が感染した場合、原則入院となるが、入院調整などのために入所を継続する場合は、専用区画内の居室に移し、他の入所者と完全に区分しながら介助を行うとともに、健康状態をこまめに観察・記録し、異変があった場合には直ちに保健所に連絡するなどの対応が必要となる。こうした内容の研修用の動画とテキストを作成し、施設内での研修を行うよう指導している。また、感染症専門の看護師に介護施設等を訪問してもらい、施設内のゾーニングや防護衣の着脱の方法など感染者発生後の対応について指導している。今後、多くの施設を訪問し指導を行う。さらに、感染拡大が懸念される施設には、感染症専門の医師や看護師を緊急に派遣する。

問4 高齢者施設で働く職員に対する定期的なPCR検査等について問う
(知事答弁)高齢者施設や障がい者施設の入所者は、特に重症化リスクが高いことを踏まえ、入所系施設で入所者と接する可能性がある職員を幅広く対象とし、一斉・定期的に行うもの。今後、速やかに準備を進め、年内に事業を開始する。検査の頻度は、来年3月までの間に一人あたり3回を上限に実施することを予定。

問5 リアルタイムでの病床の状況や患者情報の把握について問う
(知事答弁)県の調整本部において、新型コロナウイルス感染症患者の入院調整を行う際、病床の利用状況や患者の重症度等を関係者間でリアルタイムに共有できる独自のシステムを構築し、これを活用して円滑な調整を図っている。また、新型コロナ患者を受け入れる重点医療機関では、介護が必要な高齢の患者を受け入れることができる病床を確保しており、その利用状況についても同様にリアルタイムで把握できるようになっている。

2.コロナ禍における県民生活の支援について
問1 コロナ禍において行ってきた雇用対策と今後の対策を問う
(知事答弁)10月の有効求人倍率が1.00倍と本年1月と比較して0.45ポイント低下、新規求人数が前年同月と比較して約2割減少していること等から、雇用情勢は弱い動きとなっている。こうした認識のもと、企業の雇用維持に向けた取組みの支援、解雇等が生じた場合の再就職支援、その両面から取組みを進めている。雇用維持に向け国の雇用調整助成金を最大限活用できるよう、専門家による訪問支援等により、これまで飲食・サービス業を中心に、延べ202社の企業を支援。働く場を失った方々の当面の生計を支える目的で、市町村と連携して「緊急短期雇用創出事業」を実施し、11月25日時点で、学生372人、留学生117人を含め、4,149人の就職を実現。さらに、人材不足分野への転職等、本格的な再就職に向け、若者・中高年・子育て女性といった年代別・対象別就職支援センターに求人開拓専門員を配置するとともに、求職者向けのセミナー、ウェブを活用した合同会社説明会、県内各地域でのミニ面接会等を実施。引き続き、雇用維持確保に向けた支援と再就職の支援の両面からの取組みに全力を挙げるとともに、今後も雇用情勢を的確にとらえ、福岡労働局等関係機関とも連携しながら、機動的な雇用対策を実施していく。

問2 生活福祉資金貸付の特例措置の内容、実績及び周知について問う
(知事答弁)今年3月から、県社会福祉協議会で、緊急かつ一時的な生計維持のための「緊急小口資金」と、生活の立て直しのための「総合支援資金」に特例貸付を実施。緊急小口資金は、対象者を新型コロナウイルス感染症の影響を受けた世帯まで拡大し、上限額を10万円から20万円に拡大。総合支援資金は、最長6か月の貸付が可能となり、対象者を緊急小口資金と同様に拡大したほか、保証人がいない場合の年1.5%の貸付利子を、無利子としている。なお、いずれも償還時において、所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができる予定とされており、詳細は、現在国で検討中。特例貸付の11月末までの実績は、緊急小口資金5万8,549件、98億5,100万円余、総合支援資金3万6,687件、258億4,100万円余。生活福祉資金の周知は、報道機関への資料提供、「福岡県だより」や新聞広告、県及び県社会福祉協議会のホームページへの掲載のほか、SNSの活用、労働者支援事務所、ハローワークなどの相談窓口でのチラシの配布など、様々な媒体を活用している。

問3 生活福祉資金の特例措置の延長要請について問う
(知事答弁)今年7月以降は徐々に減少しているが、依然として相当の申請が続いている状況。11月23日に、全国知事会で協議を行い、今年12月末までとされている受付期間の延長や、後年度の地方負担も含めた確実な財政措置を行うよう、国に要請を行っている。先週の菅総理大臣の記者会見において、特例貸付の受付期間を延長する方針が表明されたが、その期間は、国において、感染拡大の状況や経済情勢を見ながら適切に決められると考えている。その後、更に必要が生じた場合には、更なる延長の要請も検討していく。

問4 生活福祉資金が借入困難な方の生活支援を問う
(知事答弁)総合支援資金を3か月借り入れた世帯は、生活にお困りの世帯の相談窓口である自立相談支援機関から支援を要件に、更に3か月の借入ができることとなっている。自立相談支援機関では、話をよくお聞きした上で、住居確保給付金の支給、就労支援や家計改善に向けた支援のほか、活用できる制度につなぐ等の支援を行っている。それでも、借入が困難だと判断される場合、生活保護の申請を促すこととしている。こうした取組みにより、生活にお困りの方々に向けた支援に全力をあげてまいる。

3.本県の各種計画について
問 コロナ禍で影響を受けている県計画の見直し、凍結をすべきではないか、問う
(知事答弁)総合計画のほか、県行政の各分野における政策及び施策の基本的な方向を定める計画は、現在37本。新型コロナウイルス感染症により、「人口ビジョン・地方創生総合戦略」では、「外国人入国者数」や「延べ宿泊者数」、「交通ビジョン」では、「鉄道利用者数」や「乗合バス利用者数」などの数値目標の達成に影響が出るなど、約7割にあたる計画に影響が生じている。今後、新型コロナウイルス感染症の収束に向けた状況を見ながら、計画ごとに検証を行い、必要に応じ、適宜見直しを行ってまいる。