2020年(令和2年)12月定例県議会 報告 5

2024-02-14

民主県政県議団代表質問・答弁概要

一、教職員の働き方改革及び運動部活動について
問1 県立学校における超過勤務の現状と今後の取組みに問う
(教育長答弁)昨年1年間の教職員の超過勤務は、月平均39.3時間、80時間を超える者は10%、また、教諭のみでは、月41.8時間、80時間を超える者は11.5%である。超過勤務が最も多い5月では、160時間を超えた者は55名、そのうち200時間を超えた者は3名。今年度の学校再開後の状況を見ると、月平均と80時間超過の双方において減少傾向は見られるものの、教職員の健康保持の観点から、さらなる縮減を図る必要があると考えている。このため、来年度から本格稼働する「統合型校務支援システム」の運用により実効性のある取組みを進めていく。併せて、コロナ禍により縮小された会議や学校行事等について必要性を精査し、今後の業務改善につなげるなど、職員一人一人の意識改革を図っていく。

問2 市町村教育委員会における勤務時間管理の現状と認識を問う。
(教育長答弁)本年7月の時点で、小中学校教職員の勤務時間が把握できているのは53市町村で、そのうち、ICカード等を導入しているのは26市町村。勤務時間を適正に把握し、学校や個々の教員にデータを明示することは、超過勤務の改善を進めるために必要不可欠な取組みである。このため、未実施の市町村への指導とともに、実施済の市町村に対しても、自己申告によらず、より正確で簡便な仕組みとなるよう、働きかけを行っていく。

問3 「福岡県運動部活動の在り方に関する指針」に関する私立高校の休養日設定状況等の調査結果と認識を問う
(知事答弁)昨年7月、県内私立学校60校全てに調査をしたところ、①休養日は、指針で基準とする「週2日以上」を確保できている学校が8校、大会前の練習等で確保できない時期があったのが47校、ほとんど確保できていないのが5校あった。②平日の活動時間は、「1日2時間程度」以内の学校が21校、超える時期があったのが34校、ほとんど超えているのが5校あった。生徒の健康や安全を確保するために休養を適切に取る必要があるため、県は、私学団体の会議の場で、適切に取り組むよう働きかけている。その際、大会前の練習等で対応できない場合でも、休養日や活動時間を学期や年間を通じて弾力的に設定できることを説明している。部活動指導員について、任用している学校は25校あり、任用していない学校14校は運動部顧問を複数配置し、交替勤務をとっている。県は、生徒や教職員の数、校務分担の実態等を踏まえた部活動指導員の活用を働きかけているところである。

問4 県立高校運動部の休養日の取得状況、自主練習状況、部活動指導員の配置状況と現状に対する所見を問う
(教育長答弁)昨年度末に実施した令和元年8月から2年2月までの「福岡県運動部活動の在り方に関する指針」の運用調査によると、県立高校全日制課程の全運動部1783部における休養日の取得状況は、月平均11.5日で、指針基準の週平均2日以上の休養日を概ね満たしているものの、基準に満たない運動部も89部あった。なお、休養日が1日もない月があった運動部はなかった。休養日に一日でも自主練習をした運動部は447部であった。昨年度の4月から7月までの調査結果では、休養日の取得状況が月平均9.4日、休養日が1日もない月があった運動部が10部あったことと比較すると、改善されてきたと認識。運動部の部活動指導員は、本年11月現在、県立高校全日制課程の95校中81校において、156名が任用されており、専門的な指導を受ける環境整備と、教員の負担軽減に寄与していると認識。なお、任用が進んでいない学校については、適切な指導していく。

問5 私立学校において自主練習で生徒が休養を取れていないことへの認識を問う
(知事答弁)県の指針では、筋肉の疲労をほぐすストレッチや、保護者会等が実施主体となり生徒が自発的に行ういわゆる自主練習については、運動部活動とは捉えないとしている。その場合、生徒の健康や安全を確保するため、指針に基づき、校長等が事前に自主練習の内容を把握し安全指導を行うよう、私立学校に働きかけている。

問6 県立学校での自主練習の実態への認識を問う
(教育長答弁)指針において高等学校段階における自主練習は、部活動とは捉えられないものとしており、日数の制限は設けていない。現状では、大会前、休養日のほとんどに自主練習をしている例も見受けられる。そのため、生徒の健康・安全の観点から、休養の必要性や、過度な練習によるスポーツ傷害のリスクなどについて、様々な機会を通じて周知していく必要があると認識。

問7 私立学校における県の指針の遵守と継続的な調査について問う
(知事答弁)生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現する資質・能力を育む基盤として運動部活動を持続可能とするためには、休養日を設けるなど、生徒の健康や安全を確保することが重要。このため、今後も、休養日や活動時間の設定、部活動指導員の任用等、県の指針で求めている事項の実施状況について調査を行い、取組みが遅れている私立学校には対応を促していく。

問8 県立学校における福岡県運動部活動の在り方に関する指針の遵守と今後の実態調査について問う
(教育長答弁)指針により、運動部活動の運営が改善されてきたが、一部の運動部においては、休養日の設定等について課題が見られる。そのため、今後も校長会や運動部活動指導力向上研修会等において、適切な運営がなされるよう周知するとともに、実態調査を継続し、課題が改善されない学校には個別に指導していく。

一、福岡県立大学の振興及び地域貢献活動への県の支援について
問1 一部38年を経過している福岡県立大学の施設改修の現状及び今後の改修・整備について問う
(知事答弁)大学と協議の上、施設の安全性や学生の修学環境を確保するため、吊り天井の改修や老朽化したエレベーター、空調機の更新工事などに支援を行ってきた。今年度は、電気設備の更新、屋上の防水工事に必要な経費を予算措置しているほか、新型コロナウイルス感染防止のためトイレ改修工事に必要な経費を9月補正予算で措置。県では、中長期視点による更新・集約化・長寿命化等を計画的に行うため、「福岡県公共施設等総合管理計画」を策定している。県立大学の改修・整備については、今年度末までに策定する「個別施設計画」の中で、具体的な実施内容や時期を示してまいる。

問2 福岡県立大学が取り組む地域貢献活動の概要とそれに対する評価、支援を問う
(知事答弁)地域住民に対する子育てや健康などに関する公開講座を実施。学内に「社会貢献・ボランティア支援センター」を設け、障がい児との交流活動、献血推進啓発活動といった学生のボランティア活動を支援している。また、小中学生の補充学習に学生を派遣する「土曜の風」事業や、「不登校・ひきこもりサポートセンター」の運営など、地域課題の解決に資する活動に支援している。さらに、西田川高校が単位制高校に移行することを契機に、今年度新たに、大学の講義を同校の単位として認定することなどを定めた協定を締結し、令和4年度から運用を始める予定。このような取組みは、地域の教育力の向上、人材の育成に資する活動であり、引き続き支援していく。

問3 「不登校・ひきこもりサポートセンター」の成果と今後の展開について問う
(知事答弁)平成19年度に開設し、子どもや保護者、学校などからの電話や来所、巡回による相談事業を行い、昨年度は4,000件を超える相談があった。20年度から、不登校の子どもたちへの学習支援と心理的サポートを行う「キャンパススクール」を開設し、学生の半数以上が子どもサポーターとして活動。スクール利用児童生徒のうち、再び学校に通学できるようになった割合は6割を超える。29年度からは、県教育委員会とともに、市町村教育支援センター、フリースクール等との連携に関する調査・研究、不登校の児童・生徒の支援に携わる職員の研修に取り組んできた。これまでの取組みの成果を生かし、不登校の児童・生徒に対する支援、不登校対策に取り組む人材育成の拠点としての役割を担っていくことができるよう、引き続き支援してまいる。

問4 翌年度から始まる看護師の特定行為研修について、現在の取組状況と今後の支援を問う
(知事答弁)在宅医療のニーズが高まる中、胃ろうカテーテルの交換や、床ずれの処置といった特定行為を行う看護師を養成するため、現在、必要な施設の改修や受講者の募集・選考を行っているところ。県は、施設の改修や備品の整備に係る費用を助成するとともに、医療機関や訪問看護ステーション等に対し、特定行為研修の受講を促進しているところ。今後とも、県立大学において、高度な専門知識と技術を持つ看護師が育成できるよう、引き続き支援に努めてまいる。