2021年(令和3年)9月定例県議会 報告 2

2024-02-14

民主県政クラブ県議団 代表質問 登壇者 中嶋 玲子

答弁骨子
問 現総合計画の総括と次期総合計画への反映について
 現在の総合計画は、全体で157件の数値目標を掲げており、企業誘致や新たな製品の実用化などによる産業の振興、事故や犯罪の抑止による安全で安心な暮らしなど、現時点で約6割にあたる96件が順調に進捗していると判断している。昨年の同時期と比べると、順調に進捗しているものが30件減少しているが、多くは新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により進捗に影響が出たものと考えている。
○ したがって、総合計画に掲げられた施策の多くが着実に進展しているものの、コロナ禍の影響を踏まえ、ウィズコロナの取組やポストコロナを見据えた取組が必要であると考えている。
○ これら現総合計画の評価や課題を踏まえ、更に充実すべき取組や新たな取組について検討した上で、次期総合計画を策定してまいりたいと考えている。

問 次期総合計画の中核となるものについて
 私は、新しい時代の県政を進めるにあたり、世界を視野に、未来を見据えて、「次代を担う『人財』の育成」、「世界から選ばれる福岡県の実現」、「ワンヘルスの推進」、「デジタル、グリーンなど新たな動きを捉えた施策の展開」に取り組み、福岡県を飛躍、発展させていきたいと考えている。
○ そのためには、まずなにより、県民の皆様が安心して生活できる福岡県を目指し、感染症や災害に負けない強靭な社会づくりに取り組んでまいる。そして、地方創生の基本である「誰もが住み慣れたところで『働く』、長く元気に『暮らす』、子どもを安心して産み『育てる』」ことができる地域社会づくりを進めてまいる。また、福岡県の将来の発展を支える、空港、道路などの社会基盤整備を着実に進めてまいる。これらの取組により、県民の皆様と手を携えて、福岡県の未来への扉を開き、九州のリーダー県として、福岡県をさらなる成長へと導いてまいる。
○ 次期総合計画の策定に当たっては、SDGsを原動力とした地方創生を推進していくという考え方に基づいて、各施策を検討していきたいと考えている。新型コロナウイルス感染症のパンデミックという危機に直面している今、世界の持続可能性を見据えるSDGsの考え方は、一層重要なものとなっている。子どもの貧困対策や学校教育の充実、ジェンダー平等、気候変動対策など「誰一人取り残さない」社会の実現を目指したSDGsの理念を実践する施策の充実・強化に取り組み、大人も子どもも、安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県をつくってまいる。

問 感染症対策と次期総合計画との関係について
○ 次期総合計画では、「感染症対策の推進」を施策の柱の一つとして掲げ、県民の皆様の命と健康を守るため、新型コロナをはじめとする感染症に対する様々な施策に取り組んでいきたいと考えている。
○ そして、コロナ禍により大きな影響を受けた県内の中小企業、農林水産業、観光産業等の振興に取り組み、地域経済の立て直しを図っていかなければならない。また、コロナ禍における人々の行動・意識や働き方の変化を捉え、ウィズコロナ、ポストコロナを見据えて、産業、地域社会、行政のデジタル化を進めるとともに、農林水産業など地域の基幹産業の振興やテレワークの推進による移住・定住の促進も必要である。さらに、県を新たな成長に導いていくためには、バイオ、ロボット、宇宙ビジネス、先端半導体といった成長産業の創出を図り、将来の発展の種をまき、芽を育てていく取組も重要である。
○ そして、我々は、次なる新興感染症、あるいは再興感染症に備えていかなければならない。このため、本県における人獣共通感染症対策等、ワンヘルスの取組をさらに加速させ、福岡県をワンヘルスの世界的先進地にしていきたいと考えている。
○ これらについて、総合計画審議会でご審議いただくとともに、議会とも相談させていただきながら、次期総合計画に盛り込んでいきたいと考えている。

問 策定後の見直しを柔軟かつスピーディに行える仕組みについて
○ 総合計画に掲げたそれぞれの施策の実施状況は、毎年度、総合計画審議会及び県議会に報告を行っており、数値目標については、達成状況に応じて、その都度、見直しを行っているところである。また、必要に応じて、施策の充実・強化や新たな施策を加えるなど、県政推進に向けた不断の取組を行っている。
○ 総合計画は、総合計画審議会での審議を踏まえた上で、県条例に基づき、議会の議決を経て策定するものであり、計画自体の見直しが必要となった場合には、議会にも十分相談のうえ、対応していきたいと考えている。

問 福岡都市圏の人口増加と他の地域の人口減少について
○ 次期総合計画では、現計画と同様、15の広域地域振興圏を設定することとしているが、福岡都市圏以外の地域は、人口減少が進むと予測している。このような中で、県内の人口移動を見ると、昨年は、福岡都市圏以外の地域は、福岡都市圏へ4,000人を超える転出超過となっており、福岡都市圏への人口集中による地域間格差の拡大が大きな課題であると認識している。
○ このような課題に対処していくためには、まず、各地域の経済と雇用を支える中小企業への支援、地域の基幹産業である農林水産業の振興、国内外からの企業誘致などに取り組み、住み慣れたところで「働く」ことができる地域をつくっていくことが必要である。また、長く元気に「暮らす」ことができるよう、医療・福祉サービスの充実、地域包括ケアの推進、地域公共交通の維持・確保などに取り組むことが重要である。そして、子どもを安心して産み「育てる」ことができるよう、子育て支援、ICT環境の整備による教育の充実、地域の次世代リーダーとなる人材の育成などに取り組む必要がある。さらに、都市と地域を結ぶ道路網を整備も進めていかなければならない。
○ このようなことを次期総合計画に盛り込み、地域の均衡ある発展に向け、各種施策に取り組んでまいりたいと考えている。

問 知事のアジア戦略と次期総合計画への反映について
○ 本県には、二つの国際空港、二つの国際拠点港湾及び二つの重要港湾、縦横に走る高速道路、新幹線といった充実した交通インフラがある。また、優れた技術を持つ多くの企業が集積し、教育機関も多く、豊富な人材に恵まれている。さらに、豊かな自然から生み出される魅力的な農林水産物もたくさんある。特に、アジアとの関係では、コロナ感染拡大前の昨年1月現在で、福岡空港はアジア・太平洋地域を中心に22都市を結ぶ国際線が就航、北九州空港は韓国・中国・台湾の4都市及び韓国に定期貨物便が就航するなど、人流、物流を支えるネットワークが整っている。
○ こういった本県の持つ大きな優位性を活かして、大規模データセンターや台湾や韓国などからの半導体関連企業の戦略的企業誘致、「TEAM FUKUOKA」による香港・シンガポールなどからの国際金融機能誘致、中小企業のインドネシアやタイ、ベトナムなどへの海外展開支援、県産酒やあまおうをはじめとする農林水産物の香港などへの輸出拡大、デジタルマーケティングに基づく中国、台湾、韓国、タイなどからの観光誘客の取組を強力に進め、成長著しいアジアの活力を本県に取り込みながら、ともに発展していくことを目指していきたいと考えている。
○ このようなことを次期総合計画に盛り込んで、アジアをはじめとする世界から選ばれる福岡県、九州をリードする福岡県を実現していきたいと考えている。