2021年(令和3年)9月定例県議会 報告 4

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 中嶋 玲子

答弁骨子
問 収入保険制度への加入促進について
○ 県では、これまで、制度の実施主体である農業共済組合と連携し、加入を呼びかけてまいりましたが、8月1日時点の加入率は、加入の要件である青色申告者の約16%と、未だ低い状況にある。農業者からは、
 ① 平均収入の最大81%が補填されるが、保険料が高い
 ② 被災した経験がないので必要性を感じない
といった声が寄せられているほか、地域によっては、コロナ禍の影響に加え、度重なる豪雨災害により、資金繰りが厳しく、加入できないといった農業者もいると認識している。
○ 収入保険制度は、自然災害に加え、市場価格の低下など、農業者の経営努力では避けられない収入減少を補填するものである。コロナ禍で先行きが見通せない状況の中で、今後も災害がいつどこで発生するかわからず、県内全域で収入保険制度への加入を早期に進めていくことが重要である。このため、新たに、農業者の方が来期の収入保険に加入する際の保険料の一部を県が助成することを検討しており、必要な予算を、今後速やかに追加提案をさせていただきたいと考えている。
○ また、今回の災害を踏まえ、生産者の皆さんが加入しやすい制度となるよう、議長とともに野上農林水産大臣に直接要望を行ったところである。今後とも、市町村や関係団体と連携し、収入保険制度への加入を一層推進してまいる。

問 営農継続のための支援策について
○ 県では、これまでの災害を踏まえ、今年度から内水氾濫が発生した山ノ井川や大刀洗川などの5河川において、農地の湛水による被害程度のシミュレーションを行い、リスクを評価することとしている。
○ この評価をもとに、湛水リスクが高いエリアにおいては、リスクが低いエリアへのハウス移転を進めることも必要であり、今後、移転を希望する農業者に対し、ハウスを設置するための経費を助成することとしている。さらに、市町村の枠を越えて広域的にハウスを移転する場合、農業者個々で対応することは難しいため、農地中間管理機構を活用して、農地を確保・斡旋する新たな事業を検討しており、必要な予算を、今後速やかに追加提案をさせていただきたいと考えている。
○ こうした取組に加え、引き続き、農業用ハウスへの浸水を防ぐために必要な排水ポンプや浸水防止壁の整備に対する経費の助成を行うとともに、湛水による影響の少ない品目への転換や作付時期への変更を進め、湛水被害の軽減を図ってまいる。

問 指定避難所について
○ 県では、今年4月、指定避難所の安全性を確認するため、市町村に再点検を要請した。
○ その結果、県内の指定避難所2,750施設のうち、災害が生じる恐れのある区域に所在する施設は、土砂災害警戒区域が249施設、浸水想定区域が964施設、土砂・浸水両方の区域が37施設、合計1,250施設ある。
○ これら全ての指定避難所について、市町村は、
 ① 国が定める基準を満たす鉄筋コンクリート造等の強固な建物や浸水想定
  以上の高さに避難スペースがある建物を指定する。
 ② 避難経路に浸水の可能性がある場合には、代替経路を確保する。
 ③ 浸水や土砂災害が生じる恐れがある場合には、別の安全な指定避難所の使用や市町村を越えた広域的な避難を行う。
といった対策により、安全を確保しているところであるが、県としては、市町村防災担当課長会議や防災担当者個別ヒアリングを通じて、指定避難所の変更やホテル等の民間施設を避難先として検討することを助言している。今後とも、民間施設を避難先として活用する協定を締結した先行事例を紹介する等、安全な指定避難所等の確保が進むよう、市町村を支援してまいる。

問 入院及び宿泊療養施設への入所について
○ 新型コロナウイルス感染症の陽性患者を受け入れる病床については、現時点で重症者向けの203床を含め1,475床を確保している。今回のいわゆる第5波における病床使用率は最大で69.4%、重症病床使用率は19.7%に留まっており、入院が必要な方は入院できている状況である。
○ また、宿泊療養施設は、現在10か所2,106室を確保しており、医師・看護師が24時間体制で常駐し、医療的ケアが実施可能な体制をとっている。
○ 県としては、治療が必要な方は医療機関に入院していただき、無症状者・軽症者については宿泊療養施設に入所していただくことを引き続き基本としたいと考えている。しかし、今回のように爆発的に陽性者が増加するような場合には、症状に応じ、自宅療養していただくこともやむを得ないと考えている。このため、基礎疾患を有し重症化リスクのある方に優先的に宿泊療養施設に入所していただき、重症化リスクがなく症状の軽い方については、医療支援や生活支援の充実を図った上で、自宅で療養をしていただいているところである。

問 自宅療養者の医療支援について
○ 県では、自宅療養中の方の外来受診や往診等に対応可能な医療機関として約500か所を予め把握しており、平日の日中は各保健所、休日・夜間は、福岡県メディカルセンターで、これらの医療機関を紹介している。
○ 福岡市医師会が行っているオンライン診療は、患者との接触がないため、感染のリスクを防ぐことができるというメリットがある一方、医師が得られる患者情報が対面診療に比べ限定的で、全身状態が分からず重症化の兆候を見逃す恐れがあるという課題もある。
○ 県としましては、まずは各地域における外来受診や往診に対応可能な医療機関のさらなる確保に取り組んでまいる。さらに、オンライン診療や、自宅療養者の重症化を防ぐための外来における中和抗体薬の投与について、県医師会と検討を進めてまいる。

問 自宅療養者への生活支援について
○ 県では、独り暮らしの方など、食料等の確保が困難な自宅療養者の方に対する生活支援を6月1日から実施しており、これまでに1,200件を超える利用があった。
○ また、独自に生活支援を実施している市町村もあるので、県保健所では、自宅療養者の方に、県の取組と併せて、これら市町村の取組についても情報提供し、利用いただいているところである。
○ 県としましては、自宅療養者の生活支援については、住民に身近な立場である市町村の協力も重要であると考える。このため、日用品等の買い物代行やごみ出し支援など、より生活に密着した生活支援を実施している市町村の事例を他の市町村に紹介し、そうした取組が行われるよう働きかけてまいる。
○ また、市町村と協議のうえ、希望する市町村に対し、自宅療養者の連絡先等の情報を本人の同意をいただいたうえで提供し、生活支援の充実を図ってまいる。