民主党・県政クラブ県議団 東北視察報告 その4
2012年5月27日〜29日

2023-05-04

石巻ブロックの中間処理施設

北九州市がガレキの受け入れを検討するなど、福岡県内自治体の広域処理への動きを推進するため、石巻市の災害廃棄物(ガレキ)の処理の現状を調査した。

放射能に対する懸念の声もあるため、今回は持ち運び可能な放射能測定機器「サーベイメーター」を現地に持ち込み、空間線量を測定した。

環境省の資料によると、石巻ブロック(石巻市、東松島市、女川町)の災害廃棄物推計量は約558万2000トン。宮城県全体の約半分を占めており、宮城県がブロック内の市町から処理の委託を受けている。

宮城県は廃棄物の処理を効率化するため、処理業務をブロックごとにプロポーザル方式で一括発注している。全4ブロック(亘理名取ブロック、宮城東部ブロック、石巻ブロック、気仙沼ブロック)のうち、石巻ブロックは鹿島建設東北支店を代表とする特定JV(共同企業体)が受注しており、雲雀野埠頭に中間処理施設がある。

この中間処理施設は、主に「2次仮置き場」と「焼却施設」で構成されている。ブロック内の1次仮置き場から、トラックが廃棄物を運び込み、2次仮置き場で、重機などによるおおまかな粗選別、機械と手による破砕選別処理などが行われる。

ここから、廃棄物が北九州市へも搬出されるため、廃棄物の周辺をサーベイメーターで測定した。0.05〜0.06マイクロシーベルト(毎時)で、通常の空間と変わらない値であることが分かった。(参考=福岡県議会の議会棟内は0.09程度)

現場では、仮設の焼却炉5基を建設中(いずれも300トン)。ロータリーキルン炉(2基)とストーカ炉(3基)で構成しているが、視察時、稼働しているのはロータリーキルンのうちの1基。しかも、私たちの訪問のわずか5日前の5月23日に焼却を開始したばかりという状況だった。8月には全て完成する予定という。

ストーカー炉

写真左が焼却を開始したロータリーキルン炉

宮城県廃棄物対策課によると、広域処理を必要としているのは127万トン。このうち、視察時点で広域処理が確定しているのは1割の13万トンのみ。平成27年3月までにすべて処理するには、依然として広域処理が必要な状況は変わりないという。北九州市の受け入れが実現すれば、確定分に5万トンが加わる。現場の話では、石巻ブロックとしてはまずはこの仮設焼却炉5基を建設し、動かすことで精いっぱいなのが実情だという。これ以上、次々に仮設焼却炉を建設するというのは、用地の関係からほとんど実現不可能とのことだった。

中間処理施設の敷地内には、石巻市の一次仮置き場もある。最大高さ20メートルにもなる。環境省基準の5メートルを大幅に上回る規模だ。

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