2012年2月議会・代表質問

2024-02-14

県政推進の基本姿勢について

原子力防災

次に、原子力防災について、二つの課題でお尋ねします。
はじめの課題は、九州電力との「原子力安全協定」についてです。

この問題について、わが会派は昨年の六月議会、九月議会の代表質問を通じ、知事に対し、早期に「安全協定」を締結することを求めました。さらに昨年の十二月議会では、国が防護対策の整備が必要な区域を、EPZに基づく10キロ圏から、国際原子力機関の提唱するUPZに基づく三〇キロ圏に拡大したことに伴い、本県西部が三〇キロ圏内に入ることや、福島第一原発の事故を想定すると、立地県と同等の安全対策が必要であることから、九電に対する「安全協定」申し入れの内容を、原発立地県と同等の内容のものとすることを強く要請しました。

これに対し県は、今年一月十八日に開かれた九電との三回目の「安全協定」締結に向けた協議で、九電側と異常時の通報について、立地県並みの提供を行うことで合意し、さらに県側から立地県の協定内容では「事前了解」に相当する「原子炉施設の変更などの場合における情報提供」と、同じく立地県では「立ち入り調査」に相当する「異常時の場合における現地確認」の2項目を協定の内容とすることを、九電側に提案したと聞いています。

この三回目の協議が行われた一月十八日に、私は会派の一員として、中国電力と昨年十二月、立地県以外の都道府県としては初めて、立地県並みの「安全協定」をいち早く締結した鳥取県を視察しました。

この中で鳥取県側からは、鳥取県の平井知事が直接、中国電力社長に「安全協定締結」を申し入れるなどといった経緯を聞きましたが、私たちは「自らの地域は、国の判断を待たず、自らの手で守る」という強い政治姿勢を示したことが、立地県並みの「安全協定」の早期締結を可能にしたとの印象を強く持ちました。

本県での第三回協議の内容は、視察後に聞きましたが、昨年十二月議会におけるわが会派の要請を小川知事が、真摯に受け止められ、一回目、二回目に比べると、県が積極的な姿勢で協議に臨んでいることが判断できます。わが会派としても、知事が県民の安心・安全を担保するために、立地県並みの「安全協定」を締結する必要性を充分認識され、協議を行っていることを評価し、後押ししていきたいと考えています。

そこで、九電との「安全協定」締結については、これまで、昨年の十一月から三回の協議を重ねてきましたが、第三回協議で提案した二項目の合意を含め、知事が現時点で、立地県並みの「安全協定」締結の実現と、その時期をどのように見通しているのかお聞きします。

次の課題は、原発事故を想定した避難計画の対象範囲についてです。
先に述べたように、国は福島第一原発の事故を契機に、あらかじめ防護対策の整備が必要な区域を、一〇キロ圏から三〇キロ圏に拡大しました。しかし、これは原発からの距離を同心円状に示した目安であり、具体的な範囲は風向きや地形などの自然条件、人口や行政区分などの社会的条件をもとに、都道府県が市町村と協議して設定することになっています。本県においても、原子力防災計画を策定する上で、避難計画の対象範囲を早期に設定することは、最重要課題だと思います。

こうした中で、滋賀県は隣接する福井県の原発で重大な事故が起きた場合を想定し、独自に放射性物質の拡散予測を行い、予測結果に基づき避難計画の対象範囲を最大四二キロまで拡大した防災計画を、今年度中に策定する方針を示しています。また、同県での放射性物質拡散予測の実施は、国の拡散予測システムが提供されないため、同県独自で開発していた「大気シュミレーションモデル」を応用したと聞いています。

そこで一点目に、本県においても放射性物質拡散予測を実施し、避難計画の対象範囲を設定しなければなりませんが、本県での拡散予測の実施時期や、それに基づく避難計画の対象範囲の設定については、いつ頃を見込んでいるのかお聞きします。

二点目は、県内に通常存在する放射能の測定値の情報提供についてです。来年度の予算には、SPEEDIネットワークシステムの整備など、放射能測定体制の整備が計上されています。今回の原発事故直後に、国がSPEEDIの情報や原子炉がメルトダウンしていることの情報を的確に提供しなかったり、事故発生後に食品の安全基準を緩めたりしたため、国民の原子力行政に対する不信がかつてなく高まったことを考えると、県民に対する正確な情報提供が極めて重要です。

今後、国の四次補正で措置される糸島市に設置される二台のモニタリングポストも含め、県内合計九台のモニタリングポストによる測定値がインターネットで常時公表されることになっています。

しかし現在、関東を中心に問題となっている放射能の風評被害の発生を考えると、自然界に普通に存在する放射能の実態を正しく知っておく必要があると考えます。

そこで、二三年度の予算では、県内各地に予備も含め四〇台のサーベイメーターを配備することになっていますので、この際、県下全域に普通に存在する放射能の測定を行い、県民に広く公表しておくべきと考えますが、知事の考えをお聞きします。

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