2012年2月議会・代表質問

2024-02-14

再生可能エネルギーの導入促進について

次に、再生可能エネルギーの導入促進についてお尋ねします。
電力の供給は、現在の県民生活はもとより、産業社会を成り立たせる上で不可欠であることは言うまでもありません。しかし、福島第一原発のあまりにも深刻な事故を契機に、原発の安全性に対する国民の不信や不安は大きく、各種世論調査からは、国民世論の大半が短期・長期の違いはあれ、原子力に依存する電力供給体制からの脱却を望んでいることがわかります。

こうした流れの中で、再生可能エネルギーが急速に見直され、昨年8月には「再生可能エネルギー買取法」が成立し、今年7月から施行されることになりました。
「再生可能エネルギー」とは、太陽光、風力、地熱など、絶えず再生、供給される自然の活動を利用した地球環境への負荷が少ないエネルギーのことを指しますが、「再生可能エネルギー買取法」では、太陽光、風力、中小水力、地熱、バイオマスを利用して発電された電気を買取の対象としています。この法律の施行により、電力会社は個人や事業者が、再生可能エネルギーを使って発電した電気を「一定の期間」、「一定の価格」で買い取ることを義務付けられることになり、国内での再生可能エネルギーの飛躍的な普及が期待されます。

このようなことを背景に、本県では昨年の十二月補正で、再生可能エネルギー導入のための調査費を予算措置したのに続き、知事が年頭に行った記者会見では、今年、力を入れる政策分野として、「エネルギーの地産池消」をあげています。またこれにあわせ、県有施設に太陽光発電システムを整備する考えが明らかにされました。そこで。

一点目に、知事は「県総合計画」の中で、二〇一〇年度末時点で約三〇万キロワットである本県の再生可能エネルギーの導入容量を、二〇二〇年度までに現状の三倍にあたる約九〇万キロワットとすることをめざす考えを示し、「総合計画」の終了年度である二〇一六年度までに、導入容量を五八万キロワットとする数値目標を明記しています。

知事が、再生可能エネルギーの導入の数値目標を設定されたことを評価したいと思いますが、二〇二〇年度目標の九〇万キロワットは、二〇二〇年度時点での県内の電力需要をどの程度見込み、その電力需要量のどれくらいを賄うことになるのかお聞きします。

また、二〇一六年度までに五八万キロワットの導入容量を達成するために、県としてどのような再生可能エネルギー源に着目し、具体的にどのような取り組みを行うのかお聞きします。

二点目に、現在、わが国の電力のうち、再生可能エネルギーの割合は、水力を除くとわずか一%程度にとどまっています。しかし環境省の「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査」によると、わが国には現在の電力消費量の四〜五倍にあたる極めて豊富な再生可能エネルギー資源があるとされています。

また、経産省がまとめた資料によると、再生可能エネルギー関連産業の世界市場の規模は、二〇一〇年時点の三〇兆円から、二〇二〇年時点では世界の自動車産業の半分に相当する八六兆円に拡大するとされています。

こうした中で、今年七月からは「再生可能エネルギー買取法」が施行されます。肝心の買取価格については、今後の議論にかかっていますが、法の施行により新たな産業の発展や雇用の拡大が期待されます。そこで、知事は経済・雇用面から、再生可能エネルギーの将来について、どのような所見を持っているのかお聞きします。

三点目に、知事の説明によると、本県は太陽光発電の容量、規模では全国二位、導入件数では全国三位で、導入が進んでいるとされています。しかし、これまで本県の施策には、太陽光発電の導入に対する助成制度はなく、本県での導入はもっぱら県内市町村の助成制度に負うところが多かったと思います。また知事は、昨年の六月議会でわが会派の大橋議員の一般質問に対し、本庁舎および警察本部庁舎の構造をこと細かく述べながら「太陽光発電設備の設置は難しい」と答弁されるなど、県有施設への太陽光発電設備の設置について、否定的な考えを示してきました。

またこの質問を受けて行われた、同じく昨年の予算特別委員会での、わが会派の井上議員と県執行部との質疑においても、太陽光発電設備の設置に対して、県の積極的な姿勢は見られませんでした。それだけに今回、知事がこれまでの考えを一八〇度転換し、県有施設に太陽光発電システムを整備する考えを示したことを歓迎するものの、知事の本気度を測りかねているところです。そこで第一に、来年度予算案には、再生可能エネルギー導入関連として六億六千万円が盛り込まれていることを評価しますが、知事がこれまでの考えから、再生可能エネルギーを重視する考えへ方向転換した理由をお聞きします。

また、県有施設への太陽光発電設備の設置については、再生可能エネルギーの導入促進に向けた象徴として理解ができますが、再生可能エネルギー導入量を増大させるためには、こうしたことに加え、助成制度により再生可能エネルギー全体の導入機運を高めることが重要だと思います。

そこで、太陽光発電をはじめ、これまでの再生可能エネルギー導入に関する県の取り組みをどのように総括されているのかお聞きします。またこの際、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入促進に向け、他県のように企業や一般家庭への助成制度を検討すべきだと考えますが、このことについて知事の考えをお聞きします。

四点目に、再生可能エネルギーは、地域分散型エネルギーであることから、「地産池消」に適していると言われています。知事が今回、再生可能エネルギーの導入に関し、「エネルギーの地産地消」をあげたことは理解できますが、事業の内容は「各分野の取り組みの積み上げ」に終わっている印象を受けます。県としての戦略や柔軟性を持ち、幅広い分野に再生可能エネルギーの導入を進めていくべきだと考えますが、このことを含め、知事が、「エネルギーの地産地消」を実現するために、県としてどのようなことに取り組んでいくのかお聞きします。

五点目は、県が現在取り組んでいる「省エネ・節電県民運動」についてです。県では昨年十二月から今年三月まで、県民に五%以上の節電を呼びかけ、冬季の「省エネ・節電県民運動」に取り組んでいます。

「省エネ・節電」を実施し、電力需要自体を引き下げることは、原発や火力などで電力を作り出し、供給力に余裕を持たせるのと同じ効果を持つことから、「第3の発電」とも言われていると聞きます。県の「省エネ・節電県民運動」の呼びかけチラシなどを見ると、この「節電運動」は予想される電力需要のピークに対応するための、いわば消極的な理由によるものと理解できます。

しかし、今後の電力需要や、エネルギーの効率的利用を進める必要性を考えると、「節電」に積極的な意義付けを行い、冬季の「省エネ・節電県民運動」が終了した後も、県民の理解を得ながら、日常的な「節電運動」に取り組んでいくべきだと考えますが、このことに対する知事の考えをお聞きします。

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