2012年9月議会・代表質問(9月21日)_4

2024-02-14代表質問:原竹岩海 議員

景気・雇用対策について

次に、景気・雇用対策についてお尋ねします。
本県が7月に公表した「県内経済の動向」では、「福岡県の景気は、全体として緩やかに回復しつつある」としながらも、「ただし、雇用は依然厳しい状況が続いている」との基調判断が示されています。また、景気の先行きについては、ヨーロッパの債務危機の深刻化などを背景とした海外景気の下振れ、国内経済における円高やデフレの進行など、景気を下押しするリスクの存在に触れ、「地域の経済・雇用の悪化を招きかねない状況にある」との判断を示しています。こうした経済・雇用情勢の中で、県行政に対しては、国の経済・雇用対策と相まって、地域の特性や創意をいかした地域経済の活性化や雇用対策をさらに積極的に進めていくことが、強く求められていると思います。そこで。

1点目は、県内中小企業の支援についてお尋ねします。来年3月末で、「中小企業金融円滑化法」が期限切れを迎えます。同法は、リーマンショック以降、業績悪化に見舞われた中小企業の資金繰り悪化を乗り切るための緊急措置として、中小企業の倒産を一定程度抑えるなどの効果があったと思います。しかし、多くの中小企業では、資金繰り悪化の原因が「事業不振」にあり、同法により返済猶予や新規融資が行われることで、一時的に倒産を防げても、問題の解決にはならず、返済猶予を与えられた企業が、その間に、いかに経営改善を行うかが、重要な課題だと言われてきました。このため、国は同法の期限切れを見据え、今年4月に、金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮、企業再生支援機構および中小企業支援協議会の機能および連携の強化、地域の支援機構などで構成する「中小企業支援ネットワーク」の構築、事業再生ファンドの設立促進などを内容とする「中小企業の経営支援のための政策パッケージ」を公表し、関係省庁、関係機関と連携し、早急に、その具体化を図るとしました。また8月には、「中小企業経営力強化支援法」を施行し、海外展開への支援や地域金融機関、民間コンサルタント会社、NPO法人などを認定支援機関として認定し、それらと専門家が「チーム」を組み、中小企業に対し専門性の高い支援や資金調達支援、海外展開への支援を行なうための体制整備を図ると聞いています。そこで、本県では「中小企業金融円滑化法」の終了後の課題として、どのようなことを想定し、対応することを考えているのかお聞きします。また、新たに施行された「中小企業経営力強化支援法」については、どのようなことに期待し、対応していくのか、知事の考えをお聞きします。

2点目は、若者の雇用対策についてお聞きします。今年5月の全国の完全失業率は、前月から0.2ポイント改善し、4.4%となっています。しかし、このうち15歳から24歳までの若年失業率は8.3%となっており、景気の後退にともなう雇用情勢の悪化は若年層に集中するとともに、雇用環境の改善が遅れ、厳しい状況が続いていることがわかります。若年層の深刻な雇用状況は、将来の労働力や社会保障の担い手が減少することを意味し、早急に対策を講じなければならない社会問題だと言えます。

そこで第1に、本県の若年層の雇用情勢に対する知事の基本認識をお聞きします。
第2に、若年層の雇用問題の重要な一因として、雇用のミスマッチが拡大していることが上げられています。本県では「若者しごとサポートセンター」を中心にミスマッチの解消に取り組んでいますが、知事はミスマッチの原因をどのように分析され、ミスマッチ是正するためには、どのような取り組みが必要だと考えているのかお聞きします。

3点目は、最低賃金についてです。7月に中央最低賃金審議会から、今年度の最低賃金を全国平均で744円とする目安が示されました。この額は前年度から、わずか7円の引き上げ幅にとどまっていますが、この目安に従い、本県の最低賃金は前年度から6円引き上げられ、701円になりました。この審議会での決定に先立ち、知事は国に対し、「できるだけ早期に最低賃金800円を実現すること」を内容とする意見書を提出しています。本県の「最低賃金の引き上げに関する意見書」提出の取り組みは2007年度から毎年度、取り組まれており、小川県政となってからも継続して取り組まれていることを評価したいと思います。本県が最低賃金800円の実現を求める理由は、これまでの本県の最低賃金額695円が、福岡市における生活保護水準を、時給換算で100円以上下回っていることにあります。全国では11都道府県で、最低賃金額が生活保護よりも低い「逆転現象」が解消されておらず、懸命に働いても、収入が生活保護以下となれば、就労に積極的な意味を見つけ出すことはできず、本県が取り組んでいる「生活保護からの就労を通じた自立」にも悪影響を及ぼすことが考えられます。また現在の不況は需要不足に原因があり、最低賃金の積極的な引き上げは、購買意欲を刺激し、デフレからの脱却と景気回復にもつながると考えます。そこで、意見書提出の取り組みも6年目に入りますが、「最低賃金800円」の早期実現に向けた知事の決意をお聞きします。


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