2012年9月議会・代表質問(9月21日)_5

2024-02-14代表質問:原竹岩海 議員

本県のアジア戦略について

次に、本県のアジア戦略についてお尋ねします。
今日の世界経済の特徴は、一つ目に先進国の経済が競争力を低下させる中で、アジアを中心とする新興国が、かつては「貧困の象徴」と言われた「安い労働力と膨大な人口」を競争力に転化し、先進国の経済をしのぎつつあること。二つ目には、この「成長するアジア」との関係を強めようと、アメリカやEUも含めて多様な形で地域間統合や、地域間協力が急速に進展し、国の単位を超えた経済領域が形成され、発展を続けていることがあげられます。この代表的な例は、アセアンを中心とした多様な経済領域ですが、わが国の産業界にとって、「アセアン+3」、あるいは「アセアン+6」という枠組みの中で、今後、ビジネスチャンスが一層拡大することが期待されています。また同時に、本県に対しては、アジアの地域間統合や、地域間協力の進展を的確に捉えたアジア戦略の構築が求められていると思います。こうしたことを踏まえ、わが会派は今年7月に、近年、アセアンの中で海外からの新たな投資先として注目を集めているミャンマーを視察し、8月には本県が主催する中国・江蘇省との「福岡県経済文化交流団」に会派として参加してきました。そこで。

1点目に、最近の竹島、尖閣諸島をめぐる問題が、わが国と関係国との間で、急速な関係の悪化を招いていますが、知事は本県の「アジア戦略」を進める立場から、この問題について、どのような見解をもっているのかお聞きします。また現在、この問題をめぐり、本県の交流事業や、県内の経済活動が、具体的な影響を受けている事例があるのかお聞きします。

2点目に、アセアン最後のフロンティアと呼ばれているミャンマーに関し、お尋ねします。ミャンマーでは、長い間、軍事政権が続き、アメリカやEUによる経済制裁が続けられてきました。しかし、20年ぶりの総選挙を経て昨年、軍事政権が幕を下ろし、新政権の発足とともに、経済制裁の解除も段階的に進んでいます。わが国にとって、ミャンマーの魅力は「親日的」であることに加え、賃金が中国の5分の1と言われる低廉で良質な労働力が豊富であること、天然ガスやレアアースなどの鉱物資源に恵まれていること、人口が6200万人と多く消費市場としても期待できること、さらに地政学的にはアセアンからインドを中心とする南アジア経済圏への回廊に位置することなどが上げられます。この間、わが国は欧米の経済制裁に配慮し、ミャンマーへの投資では中国や韓国に比べ、大きく出遅れていると言われてきました。しかし最近では、政府がミャンマーにアジア有数の工業団地を建設する大型プロジェクトへの支援を決定するなど、開発支援に大きく動き出しています。わが会派は、この工業団地建設予定地のティラワ地区を視察したほか、同国の経済界の代表から、新政権が貿易・投資における制度上の課題の解決に、精力的に取り組んでいる様子や、開発と民主化の進展のために、わが国からの支援に期待を寄せていることなど、貴重な説明や意見を聴取することができました。そこで第1に、ミャンマーは近い将来、本県の「アジア戦略」にとって、有力な相手国となると思いますが、知事は、ミャンマーについて、どのような所見を持っているのかお聞きします。第2に、本県は県内企業のアジア展開を支援するため、「福岡アジアビジネスセンター」を今年1月に開設しており、センター開設は、時宜を得た取り組みだと評価します。そこで現在、投資・委託生産候補地として注目を集めているミャンマーについても、県内企業に情報提供できるよう、専門アドバイザーを確保するべきだと思いますが、このことについて知事の考えをお聞きします。


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