2013年2月議会・代表質問(3月5日)_7

2024-02-14代表質問:岩元一儀 議員

世界記憶遺産の保存・活用について

次に、世界記憶遺産に登録された山本作兵衛氏の炭坑記録画の保存・活用についてお尋ねします。
わが会派は、この問題を昨年12月議会の代表質問で取り上げ、知事からは「将来にわたり適切に保存・管理していくことが大変重要である。」との答弁がありました。同氏の炭坑記録画は、およそ1千200点あると聞きますが、このうち、世界記憶遺産に登録されているのは、田川市と県立大学が所蔵する589点で、その他には、県内市町村が所蔵しているものや、個人が所有しているものがあると聞きます。しかし、同氏の記録画は、小中学校で使われる普通の画用紙に、普通の水彩絵の具で描かれており、貴重な記録画の劣化が心配されます。

こうしたことから、わが会派は先月、世界記憶遺産に登録された炭坑記録画を所蔵する田川市の「石炭・歴史博物館」と、未登録としては128点という、まとまった数の炭坑記録画を所蔵する「嘉麻市・碓井郷土館」を視察しました。

このうち、嘉麻市では、山本作兵衛氏と親交のあった個人からの寄贈を受けた128点を「嘉麻市コレクション」として所蔵しており、田川市のコレクションが1960年代の作品が中心なのに対し、嘉麻市のコレクションは1970年代後半に描かれたものが中心で、中にはデッサン段階のものや、描きかけ途中のものも数点あり、山本作兵衛氏の炭坑記録画を知る上で、大変貴重であること、また所蔵する記録画の保存状態も大変良いことなどの説明を受けました。

また田川市では、伊藤市長、高瀬市議会議長から「貴重な資料の保存と活用は、一自治体としては至難の業」だが、「記憶遺産」の保存と活用は、「旧産炭地域の命題である」との認識が示されるとともに、市が独自に取り組んでいる保存・活用について、説明を受けました。そこで。
1点目に、わが会派は、嘉麻・田川両市での視察から、山本作兵衛氏の炭坑記録画を「県としても、責任をもって保存・活用していく責任がある」との認識を強めました。そこで現在、山本作兵衛氏の炭坑記録画の作品点数および、その所在がどのようになっているのか、県としての把握状況を教育長にお尋ねします。

2点目に、山本作兵衛氏の炭坑記録画は、世界記憶遺産に登録された589点の他にも、ほぼ同数の作品が県内に存在していることが考えられます。世界記憶遺産に登録された589点のうち584点については、「県指定有形文化財」に指定されていると聞いていますが、残る600点あまりの作品については、指定がありません。特に嘉麻市では、県が「嘉麻市コレクション」を「県指定文化財」に指定すること望んでおり、世界記憶遺産への追加申請も、視野に入れた保存・活用の取り組みを進めています。そこで、少なくとも、「嘉麻市コレクション」については、「県指定文化財」に指定すべきだと考えますが、このことに対する教育長の考えをお聞きします。

3点目に、山本作兵衛氏の炭坑記録画のレプリカを常設展示している「田川市石炭・歴史博物館」の入館者は、世界記憶遺産登録前が年間約2万人であったのに対し、登録後は、年間約20万人に膨れ上がっていると聞きました。これは、山本作兵衛氏の炭坑記録画への関心の高さを示すものであり、記憶遺産を世界に広く普及させていくという、世界記憶遺産事業の主要目的にも合致していると言えます。しかし、田川市が単独で、「世界記憶遺産」の保存と活用を行なっていくには、財政的な負担が重く、また年間約20万人の来訪者に対応するには、既存施設の拡充も必要となります。そこで、県として「世界記憶遺産」を保存・活用することについて、知事が基本的にどのように考えているのかお聞きします。また、それを踏まえ、田川市への支援について、どのように考えているのかお聞きします。

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