2013年2月議会・代表質問(3月5日)_8

2024-02-14代表質問:岩元一儀 議員

教育問題について

大津市で一昨年、当時中学2年生だった生徒が自殺した問題を調査するため、同市が設置した第三者委員会が、先月末、自殺は、「同級生からのいじめが直接的な原因だった」とする最終報告書を公表しました。この「報告書」には、「学校はいじめを認識できる状況にあったが、情報を共有せず、適切な対応をとらなかった。」また「市の教育委員会は、当初から事実調査を行なう考えがなく、危機管理の不充分さが目立った。」との指摘があり、学校側と教育委員会を厳しく批判しています。こうした「いじめ自殺事件」に関する調査が行なわれている最中、今度は大阪市立の高校で、部活中の体罰を苦に、生徒が自殺するという、痛ましい事件が起きました。いじめにせよ、体罰にせよ、教育の現場で、「子どもの命や、人権を守る」という意識がおろそかにされ、「スポーツが強くなりさえすればよい。」、「勉強ができるようになりさえすれば良い。」といった風潮が蔓延しているのではないかと危惧します。そこで、知事ならびに教育長にお尋ねします。

1点目に、体罰は、柔道の日本女子代表チーム内でも行なわれていた事実が判明し、学校の運動部活動だけでなく、スポーツ界全体に広く蔓延している実態が明らかとなり、社会問題化しています。学校現場における体罰は、「学校教育法」で禁止されていますが、その解釈・運用については、文科省から、「体罰に当たるかどうかは、個々の事案ごとに判断する必要がある。」、また「単に、体罰を受けた児童生徒や保護者の主観的な言動により判断されるのではなく、児童生徒ひとり人一人の状況に配慮を尽くした行為であったかどうか等の観点が重要である。」との考え方が通知されています。そこで、体罰がなくならない問題の原因には、文科省の体罰に関する曖昧な定義や解釈があるのではないかと考えますが、このことに対する知事ならびに教育長の考えをお聞きします。その上で、知事ならびに教育長が、それぞれ自身で体罰とは、「どのようなものである」と定義づけ、体罰が社会問題化している実態を、どのように受け止めているのかお聞きします。

2点目に、全国の公立の小・中学校や高校などで、体罰を理由に懲戒処分を受けた教職員の人数は、今でも毎年400人前後で推移し、2011年度は授業中の体罰で292人が、部活中の体罰で108人が処分を受けていると聞きます。しかし、これは「氷山の一角」で、体罰そのものの数は、もっと多いことが想像できます。そこで、本県での、ここ数年の体罰での懲戒処分の状況と、これまで県教委として、体罰の防止にどのように取り組んできたのか教育長にお聞きします。また、大阪市の事件を受け、防止策を講じるために、体罰の実態を把握するための調査が行なわれていると聞きますが、調査の実施や、その際の調査対象、調査方法などにつついて、教育長にお聞きします。

3点目に、もともとスポーツは男性優位の文化の中から始まり、荒々しい技で勝敗を競うというものでした。しかしその後、暴力的な要素を取り除き、ルールを整えることで、近代スポーツとしての社会的地位を獲得したと聞きます。それだけに、「ルールに従い、対戦相手を尊重すること」が、スポーツの基本であり、指導者はこのことを最も重視しなければならない立場にあると考えます。しかし、こうした中で、勝敗や順位を優先しすぎるあまり、指導者自身が自己抑制を欠き、選手と指導者という、絶対的な上下関係の中で暴力や暴言によって、「選手個人の人格と尊厳を傷つける」ハラスメント行為が、体罰という形で表れたのが、今回の高校部活中の体罰事件や、柔道ナショナルチーム内で体罰問題が起きた背景にあると考えられます。そこで、学校体育団体の役員会などを対象にしたハラスメント防止研修の実施が必要だと考えますが、このことについて教育長がどのように考えるのかお聞きします。

以下は、いじめ問題についてです。
4点目に、本県では2006年、筑前町で当時の中学生が、いじめを苦に自殺する事件が起き、それ以来、いじめ問題対策本部を設置し、いじめ問題の総合対策に取り組んでいます。こうした中で、大津市の第三者委員会の報告書が公表されましたが、報告書は、子どもたちの命を守るために、「もっと緊張感をもった対応が必要であること」を、学校や教育委員会に、厳しく問いかける内容となっています。そこで教育長は、本県が「いじめ問題総合対策」を取り組む上で、この報告書から、どのような教訓を得たのかお聞きします。

5点目に、大津市の事件を受け、全国で実施されたいじめの緊急調査が、昨年12月に公表されています。調査結果によると、昨年の4月から7月までにおける全国の小・中学校の「いじめの認知件数」は、12万7千件で、前年度1年間の認知件数のおよそ2倍になっています。認知件数の急増は、軽微な事案でも、いじめと判断するなど、学校や教育委員会が積極的に、いじめの「掘り起こし」を行なったことが原因だと考えられます。しかし、本県が行なった緊急調査では、昨年の4月から7月までにおける県内小・中学校の「いじめの認知件数」は288件で、前年度1年間の認知件数のおよそ6割となっており、倍増した全国総数の状況とは、異なる結果が出ています。今回の緊急調査は、大津市の事件後、文科省に設置している「いじめ相談ダイヤル」への相談件数が急増したことから、国が「見えないいじめが多数存在する可能性がある。」と判断し、毎年実施されている調査とは別に、実施を要請したものです。その調査の目的からすると、「認知件数が増えたから悪い。」、「減ったから良い。」と判断されるものではなく、学校がどれくらい真剣に、実態把握に努めようとしたかが、重要な点であったと思います。そこで、本県では、「見えないいじめ」を把握するために、どのような工夫をし、緊急調査を実施したのかお聞きします。また、それを踏まえ、今回の調査結果は本県での「いじめ」の実態を充分把握できるものになっていると、教育長が判断されているのかどうか、お聞きします。

ページトップへ