2020年(令和2年)6月定例県議会 報告 4

2024-02-14

6月代表質問(質問要旨、答弁要約)

一、新型コロナウイルス感染症対策について
2.感染症対策と保健医療体制について
○ 保健所の体制に関する認識について
 この間の新型コロナウイルス感染症対策を踏まえ、本県の保健所体制について、知事はどのような認識を持っているのか、問う。

【知事答弁】3月末からの陽性者の急激な増加に伴い帰国者・接触者相談センター対応業務や疫学調査など保健所の業務が大幅に増加した。このため、保健所内の感染症の担当係に他の係から経験者を配置換えしたり、陽性者が特に増加した保健所に、他の保健所から応援要員を派遣することにより、業務増加に対応してきた。さらに、保健師や看護師の資格を有する行政経験者や民間経験者を延べ31名、事務を担当する職員を延べ18名、計49名を会計年度任用職員として採用し、県内全保健所の執行体制は確保出来たと認識。
  
○ PCR検査等の体制の確保について
 本県では濃厚接触者全員の検査を行われているとのことだが、いつから行っているのか。また、これまでの検査総数、陽性者及びこれに占める無症状者の割合を問う。また、今後のPCR検査等の検査体制をどのように準備するのか、問う。

【知事答弁】検査体制は、帰国者・接触者外来を59か所設置しているほかドライブスルー方式などによる専用外来が17か所に設置。現在、県及び両政令市の保健環境研究所並びに民間検査機関を合わせ、1日850件程度の検査が可能となっており、必要なPCR検査を迅速に行う体制を確保している。
 これに加え、県では、検査時間を短縮する新たな検査試薬を保健環境研究所に導入して検査を迅速化し検査能力の増強を図る。また、短時間で結果がわかる「抗原迅速診断キット」について、私から加藤厚生労働大臣に本県への優先供給を要請し、今月から県内の特定機能病院、救命救急センター、感染症指定医療機関などでの使用が始まっている。
 6月10日までの検査総数は19,230件、そのうち陽性者数は810件、このうち概ね2割程度が無症状者となっている。

○ 抗体保有状況に係る疫学調査の実施について
 市中感染の状況を把握し、感染拡大の兆しをつかみ、先手の対策で感染拡大を抑止し、社会経済活動を継続していく戦略を確立すべき。県は一定規模の疫学的調査を実施する考えはあるか、県内4大学医学部の能力を生かすことを含め、知事の認識を問う。

【知事答弁】抗体検査は、抗体の保有状況を把握するもので、新型コロナウイルス感染症の今後の流行を予測し、より有効な感染症対策を検討するうえで有意義と考える。厚生労働省では、全国規模で新型コロナウイルスの抗体保有状況の疫学調査を実施することとしており、第一弾の東京、大阪、宮城に続き、複数の自治体の協力を得て調査を拡大する方針、本県での調査の実施について、国に働き掛けているところ。本県で調査が実施された際には、医学部を有する4大学が委員として参画する「感染症危機管理委員会」にその結果を報告し、専門家の知見を得ながら、今後の感染症対策に反映させてまいる。

○ 医療提供体制の確保について
 指定医療機関12病院、協力医療機関76病院が定められている。今回それがどう機能したのか、第二波・第三波にどの程度の病床が必要か、その連携体制をどうするか、問う。

【知事答弁】66の感染症病床で患者の受入れが困難となった場合に、感染症指定医療機関の一般病床、入院協力医療機関の病床の順で受入れを拡大という方針で、各医療機関に対し病床の確保を要請してきた。その結果、これまでに490床を確保し、県新型コロナウイルス感染症調整本部を介して適切に患者の受入れがなされてきた。
 今後の感染拡大に備えて、当面の目標の570床の確保について入院協力医療機関等と調整中。先月14日、本県に対する緊急事態宣言が解除。感染が落ち着いてくると、医療機関は、徐々に通常の診療体制に移行していく。
 一方で、再び感染の拡大局面を迎えた際には、入院治療が必要な患者、特に重症患者に速やかに対応できるよう各医療機関における受入体制を、迅速に準備していただく必要がある。その際、円滑に受入れ準備に入るために、あらかじめ医療関係者間で共有できる客観的な県独自の四指標、「福岡コロナ警報」を設定。現在、この指標をもとに感染の状況をモニタリングし、医療提供体制の余力やひっ迫の状況を分析し、その内容を毎日記者発表しているところ。再度感染が拡大する際には、この指標をもとに総合的に判断し医療機関に対し病床の準備等を要請し、これまでに築いた連携体制の下、円滑かつ迅速に医療提供体制を確保してまいる。

○ 医療機関の経営の現状と対応について
 新型コロナウイルスは通常医療供給体制にも大きな影響を与え、通常患者の重症化と経営破綻という医療崩壊も招きかねない。病院のおかれている現状認識と、その対応を問う。

【知事答弁】日本病院会などが実施した調査によると、病院における4月の医業収入は対前年同月比、全体で1割程度の減少。診療所については診療報酬が3割から4割程度減少している診療科もあり、経営が厳しい医療機関もあるものと認識。
 県では、特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため、国の持続化給付金のほか県独自の持続化緊急支援金を設けており、医療機関への周知を図っているところ。また、国の令和2年度第2次補正予算案に、福祉医療機構の優遇融資の拡充、診療報酬の概算前払いなどの支援策が盛り込まれており、第2次補正予算が成立した際には、これらの内容について周知を図っていく。

○ 感染症の専用医療機関の設置について
 感染症に対応できる「新しい医療体制」の構築が必要で、医療体制の崩壊阻止にも急がれる。一般病院・医院から独立した医療機関(感染症専科)設置が必要ではないか、問う。

【知事答弁】いつ、どこで、どのような規模で発生し、どの程度の感染力を有し、健康に対してどの程度深刻な影響を及ぼすかわからない新たな感染症に対応できる医療機関をあらかじめ設立するのは、その規模や経営形態、日ごろの診療体制、人員の確保など、大きな課題があると考える。
 このため、新たな感染症については、その感染力や罹患した場合の重症度などに応じて、臨時の医療施設や宿泊療養施設の確保など柔軟に対応し、適切な医療を提供することが、現段階では現実的であると考える。