2021年(令和3年)9月定例県議会 報告 3

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 中嶋 玲子

答弁骨子
問 令和2年度決算について
○ 令和2年度は、新型コロナウイルス感染症対策の実施により、歳入歳出ともに、初めて2兆円を超え、過去最大の決算額となった。
○ 歳入については、感染拡大の影響により、法人二税が減少したものの、令和元年10月の地方消費税の税率引上げの平年度化により、地方消費税が増加し、県税収入全体では増加となった。コロナ対策の財源として、地方創生臨時交付金や包括支援交付金を最大限活用したことや中小企業向け制度融資の拡充により、国庫支出金や諸収入が大幅に増加した。
○ 歳出については、コロナ対策として、「感染拡大の防止」、「医療提供体制の強化」、「事業継続の支援」、「地域経済の活性化」等に取り組む一方、イベント・大会等の中止や延期などに伴う事業費の減額を行い、その財源の確保に努めた。また、引き続き豪雨災害の復旧・復興や防災減災を進めてきた。
○ この結果、実質収支は73億円と45年連続の黒字となったが、
・歳出面では高齢化の進展に伴う社会保障費や豪雨災害の復旧・復興対策に伴う公債費が増加していること
・歳入面では新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、県税収入が、令和2年度当初予算と比べ、234億円の大幅な減収となったこと
などにより、財政調整基金等三基金を取り崩しながら財政運営を行わざるを得ず、令和2年度末の三基金残高は平成以降最少の315億円となり、令和2年度末の県債残高についても、減収補填債や豪雨災害の復旧・復興対策のための県債の発行等により、過去最大の3兆7,755億円となるなど大変厳しい財政状況にある。

問 次期行政改革大綱の基本的な方針について
○ 県を取り巻く状況に大きな変化が生じる中、新たな行政課題に的確に対応し、限られた予算・人員で最大の政策効果を上げていくことが求められている。
○ このため、人員・組織・財政面の見直しに加え、組織の活性化、デジタル技術の活用や働き方改革による業務の効率化・生産性の向上を図り、県民ニーズにかなった行政サービスの提供と財政健全化を両立させていく必要があると考えている。
○ こうしたことを踏まえ、
 ①県庁デジタルトランスフォーメーションと働き方改革の推進、
 ②生産性の高い業務推進体制の構築、
 ③歳入・歳出の改革とガバナンスの強化、
 ④民間活力の活用と多様な主体との協働・連携の推進
の4項目を、次期大綱の改革方針としている。
○ この方針について、行政改革審議会に諮問し、現在議論が進められているところであり、その意見も伺いながら、次期大綱の策定を進めてまいる。

問 財政調整基金等三基金について
○ 財政調整基金等三基金の残高は、令和2年度末で平成以降最少の315億円となり、今年度末は現時点で332億円と見込まれており、財政改革プランの見込額450億円を大幅に下回る額となっている。5年連続となる災害からの復旧・復興事業や新型コロナウイルス感染症の影響に伴う県税収入の悪化など、プラン策定時点には見込むことができなかった要因により、令和3年度の見込額の達成は難しい状況にある。
○ 三基金をどの程度確保しておく必要があるかについては、確立された考え方があるわけではなく、国による一律の基準も設けられていない。しかしながら、頻発する豪雨災害や感染症の影響に伴う税収減に対しては、原則として三基金の取り崩しにより収支均衡を図らざるを得ないことから、その残高確保は益々重要になっていると認識している。
○ このため、次期財政改革プランにおいても、歳入歳出両面からの改革措置を講じることで、計画的に財政健全化を進めるとともに、将来の産業や経済発展のための種をまき、芽を育てていくことで税源を涵養する好循環を生み出し、基金残高の回復を図ってまいりたいと考えている。

問 流域治水プロジェクトの実施体制の整備について
○ 一級水系については国が水系ごとに、二級水系については県が圏域ごとに、国、県、市町村からなる「流域治水協議会」を設置している。
○ この協議会では、参加する全ての関係者間で、事業実施にあたっての課題の解決に向けた協議、広域的な調整、進捗管理を行うことにより、プロジェクトの実効性を高めてまいる。
○ 浸水対策の担当部署については、久留米県土整備事務所において、災害事業室を設置し、人員を5名増員するなど、浸水対策を集中的に実施する体制の強化を図っている。
○ また、筑後川下流域の農地の湛水対策を担う筑後川水系農地開発事務所では、技術職を2名増員し、関係する農林事務所と連携しつつ、今年度から流域一体で取り組むクリークの先行排水などを進める体制を整備した。
○ 今後も、事業量や業務量に応じ、必要な体制を整備するとともに、流域内のあらゆる関係者と一体となって、流域治水の推進にしっかり取り組んでまいる。

問 筑後川における浚渫の進捗状況と堤防の低い地域の整備について
○ 筑後川本川の浚渫については、流下能力が低下しないよう、必要に応じて国が実施しており、今年の出水期前には、久留米市、朝倉市において、実施されたと聞いている。
○ 県としては、浚渫を求める地域の声を、国・県からなる事業連絡会などを通じて、国にしっかり伝えるとともに、再度災害防止の観点から浚渫などの維持管理が適切に行われるよう、国に働きかけを行ってまいる。
○ また、筑後川の堤防整備については、国において、計画的に堤防嵩上げや堤防拡幅工事が実施されている。堤防整備は、筑後川の洪水に対する安全性を確保するうえで重要であり、地域の安全安心のため、早期に完了するよう国に対して働きかけを行ってまいる。