2021年(令和3年)9月定例県議会 報告 5

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 中嶋 玲子

答弁骨子
問 酸素投与ステーションの設置理由等について
○ 本県では、8月18日に新規陽性者数が過去最多の1,253人となり、その後も連日1,000人を超える状況が続いた。その結果、病床使用率も上昇を続け、8月26日には69.4パーセントまで上昇し、入院治療が必要な方の受入先の調整に時間がかかることが懸念されていた。このため、こうした入院待機者に対して、酸素投与等の処置を行う酸素投与ステーションを8月31日に設置した。
○ このステーションは、福岡市内の医療機関の休床病床を活用した臨時の医療施設として、最大50床を整備し、外部から派遣された医師1名、看護師4名、事務2名の人員体制で、24時間運用を行っていた。現在は、病床使用率が低下したため、ステーションの運用を見合わせているが、今後、病床使用率の動向を見ながら、再開を検討してまいる。
○ ステーションを設置する効果としては、入院調整中の患者に対して、直ちに酸素投与等の処置を行うことで病状の悪化を防ぐことが挙げられる。更に、感染が拡大した場合には、中等症患者を受け入れる入院病床としての機能も果たせるものと考えている。

問 酸素投与ステーションの更なる設置と臨時の医療施設の整備について
○ 県では、陽性者が最も多い福岡地域の医療機関に臨時の医療施設として、ステーションを設置した。今後の感染再拡大に備え、福岡地域に加えて、北九州地域及び筑後地域でも設置を目指しているところであり、県内で4か所、200床程度を確保したいと考えている。
○ 体育館などの公共施設にステーションを設置する場合は酸素ボンベの調達や頻繁な交換が必要となるため、酸素配管が整備されている医療施設を活用することが効率的と考えている。
○ また、本県では、これまでコロナ陽性患者の受入病床及び宿泊療養施設の確保を進めてきたことに加え、酸素飽和度を用いたトリアージによる的確な入院調整や宿泊療養施設における中和抗体薬の投与に取り組んだことなどで、重症化の防止や在院日数の減少が図られ、病床使用率が抑えられている。今後も、病床及び宿泊療養施設の更なる確保と重症化防止の取組を進めながら、必要な場合は、まずは臨時の医療施設である酸素投与ステーションを入院病床に転用するなど効果的な活用を図り、対応してまいる。

問 妊産婦の受入態勢について
○ 県では、新型コロナウイルスに感染した妊産婦については入院を基本としており、その受入先としてあらかじめ確保している21の医療機関において、妊娠週数や分娩の兆候、症状等に応じて受入れを行っている。受入れに当たっては、「災害時小児周産期リエゾン」の産科医等と連携し、県の調整本部や保健所が入院調整を行っている。
○ 小さいお子さんのお世話をする必要があるなどの理由により自宅療養となる場合は、保健所が毎日健康観察を行い、分娩の兆候などについても確認するとともに、不安を訴える妊産婦の相談にも対応している。その中で分娩の兆候などが見られる場合は、速やかに先ほど申し上げた入院調整をし、医療機関で受入れを行っている。
○ このように、本県では、新型コロナウイルスに感染した妊産婦の受入態勢を確保しており、千葉県と同様の事案はこれまで発生していないが、本県で同様の事案が発生しないよう、県産婦人科医会や妊産婦を受け入れる医療機関、消防機関などの関係者間で受入態勢の再確認を行っているところである。今般のような痛ましい事案が発生しないよう、引き続き、感染した妊産婦の適切な受入れに努めてまいる。

問 ワクチン接種の状況及び市町村への支援について
○ 市町村ごとの接種率は公表していないが、9月14日時点の2回目接種率は、最も高い市町村が73.01%、最も低いところが35.00%であり、その差は約40ポイントとなっている。
○ 県内の接種状況を見ると、高齢化率が高い市町村ほど接種率が高い傾向となっている。これは、限られたワクチンを高齢者人口に応じて配分し、優先的に接種したことが影響しているものと思われる。今後、若年層に対する接種が進むことで、市町村間の差は縮小していくものと考える。
○ 本県では、現在、1日あたり約4万回のペースで接種が進んでおり、このペースであれば、希望する方への接種は、概ね11月中には完了する見通しである。
○ 県では、県内9か所に優先接種会場を設置し、昨日から40歳未満の保育士や教職員等に対する接種を開始している。今後、これらの会場において、対象職種を限定せず、16歳以上40歳未満の全てを接種対象とし、若年層に対する接種をさらに加速化させることにより、接種率が低い市町村を支援し、県全体の接種率向上に努めてまいる。

問 中学3年生、高校3年生向けの優先接種について
○ 中学3年生を含む16歳未満の子どもへの接種にあたっては、原則、保護者の同伴が必要である。また、副反応が高齢者に比べ年齢の若い方により多く起こること、さらに、接種による心の負担が引き起こす「予防接種ストレス関連反応」が起こりやすい年齢であることから、保護者や本人への丁寧な対応が可能な個別接種を基本とすることが望ましいとされている。
○ このため、受験等を控えた中学3年生については、親子にとって身近な市町村で、早めに接種できる体制を整えていただくよう、受験生への配慮を求める国の通知と合わせて、市町村に促してまいる。一方、受験や就職活動を控えた高校3年生については、県の接種会場において、16歳以上40歳未満全てを接種対象とすることとしていることから、接種を受けることができる。この接種会場では、学校帰り等に接種できるよう、平日の夕方から夜間に接種時間を設けるとともに、学校が休みの土日に接種を実施するなど、高校3年生を含めた受験生等にも配慮しているところである。
 
問 県が実施する優先接種について
○ 県では、子どもに業務上接触する機会が多い保育士や教職員、生活衛生関連業に従事する方等を対象とした優先接種を、7月から実施できるよう準備を進めていた。ところが、6月23日に突然、国が、事前の予告なく、自治体からの接種会場の申請受付を停止したことから、本県にワクチンが供給されなくなり、接種会場が設置できなかった。
○ しかし、本県が優先接種対象とした職種は、できるだけ早く接種する必要があることから、全国知事会を通じ、早急にワクチンを供給するよう、国に要望していた。
○ こういった中、8月19日に、国が、自治体からの接種会場の申請受付を再開する方針を示したため、直ちに、県内9カ所に接種会場を設置することとし、円滑に接種できる体制を整えて、昨日から接種を開始したところである。