2021年(令和3年)9月定例県議会 報告 7

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 中嶋 玲子

答弁骨子
問 保育所等の送迎バスの運行について
○ 道路運送法では、公共の福祉を確保するためやむを得ない場合、実費を徴収の上、国の許可を得て、送迎バスを運行することが認められている。
○ 保育所のバス送迎は、平成8年の厚生労働省通知において、保育所の設置場所等の地域状況を勘案して行ってもよいこととされた。
○ 幼稚園のバス送迎は、幼児期の心身の発達を考慮し、特色ある教育を希望する幼児が遠方からでも安全に通園するために運行されている。
○ 運行費用については、実費相当額を保護者から徴収していることを、監査等で確認している。

問 保育園児の死亡事案の再発防止について
○ 保育所によるバス等での児童の送迎は、保育所と保護者との私的契約により実施する有償サービスであるため、国が示す保育指針等においては、車両送迎に係る安全管理の規定はない。
○ そのため、県において、バス等での児童の送迎の安全面の確認はこれまで行っていなかった。しかし、今回の事案を重く受け止め、外部有識者にも意見を伺いながら、車両送迎に係る県独自の安全管理指針を作成し、本日公表することとしている。
○ その主な内容としては、①送迎時は運転手以外に添乗員を1名以上配置すること、②乗降確認や降車後の園への児童の引渡しについて具体的手順を定めること等を盛り込んでいる。
○ 今後、今回の死亡事案を教訓に、県内すべての保育所を対象に研修を行い、改めて子どもの安全管理体制の点検を求める。その中で車両送迎を行う保育所にあっては、新たに作成した安全管理指針に沿った送迎の実施を指導してまいる。
○ 毎年度実施する監査においても、今申した、子どもの安全管理の実施状況について、バス送迎に関する本指針の適用状況も含め、重点的に監査してまいる。
○ 幼稚園についても、これまで具体的な安全面の確認は行っていなかったが、今回作成した指針は、幼稚園での対策にも有効であると考えている。今後新たに、その内容をすべての園に周知するとともに、先月24日に発表した「送迎バス等に係る実態調査」の結果、本指針の基準に満たない園や出欠確認などの業務に改善の余地がある園に対しては、これまでになかった現地での状況確認をはじめ指導を徹底してまいる。
○ この度のような事案は二度と繰り返してはならない。保育所及び幼稚園に対し、こうした取組を進めることにより、子どもを保護者からお預かりしお返しするまで、その安全が確保され、子どもの生命を大切にする保育が行われるよう、しっかり指導監督してまいる。特に、保育所については、常に安全管理等の確認を強く意識していただくよう、これまでの定期監査に加え、今後新たに、抜き打ち監査も実施してまいる。

問 パートナーシップ宣誓制度について
○ 性的少数者の方々は、例えば、同性カップルであることを理由に賃貸住宅の入居が困難となるなど社会生活上の障壁があり、生きづらさを感じている。
○ 性的指向や性自認は自らの意思に基づいて選択・変更できないものである。これらを理由とした偏見や差別をなくし、性的少数者の方々が安心して生活し、活躍できる社会を実現するための環境整備が重要と考える。
○ このため、パートナーシップ宣誓制度について、先進地を訪問するなど聴き取り調査を行い、他の都道府県や県内市町村等の動向を継続的に調査を行っている。現在、県内全市町村に対して、公営住宅の入居申し込みや公立病院における病状説明など、県が制度を導入した場合にどのようなサービスに利用可能か市町村の考えを調査しているところである。
○ 今年7月、8月には、県内の民間事業者においても、3つの金融機関で性的少数者向けの住宅ローンサービスが新たに開始されるなど、性的少数者を支援する動きが広がっている。
○ 今後は、先進事例や民間事業者の動き、県内市町村の考えを整理した上で、有識者で構成する福岡県人権施策推進懇話会の意見を聴きながら、パートナーシップ宣誓制度の導入に向けた検討を進めてまいる。

問 政治分野における「ジェンダー平等」の実現に向けた取組について
○ 女性議員の割合が増えることは、様々な価値観に基づく議論を通し、多様な視点が施策に反映されるという点からも非常に重要であり、誰もが暮らしやすい社会の実現に資するものと考えている。
○ 地方議会におけるハラスメントの実態については、議員活動や選挙活動中に、有権者や支援者、議員等から「性的、もしくはヤジを含む暴力的な言葉による嫌がらせ」、「性別に基づく侮辱的な態度や発言」といったハラスメントを受けたことがある議員は、男性が32.5%に対し、女性は57.6%と、女性の方がより多くのハラスメントを受けていることなどが、昨年度、国が地方議会の事務局を通じて行った調査により明らかになっております。こうしたハラスメントは、女性が政治に参画する上での障壁の一つとなっている。
○ 政治分野における男女共同参画の推進の取組は、政党その他の政治団体が自主的に取り組むほか、地方議会及び関係行政機関等が適切な役割分担の下でそれぞれ積極的に取り組む必要がある。
○ このため、県としては、県内市町村及び議会に対して、先ほど申し上げた調査で明らかになった実態を周知するとともに、男女共同参画の取組に資するよう、ハラスメント防止に関する規定の整備や研修等の事例を提供していく。
○ また、「男は仕事、女は家庭」といった固定的な性別役割分担意識の解消に向けた啓発や、男女共同参画センター「あすばる」の情報紙による県内の政治分野への女性の参画状況の周知などを通して、政治分野におけるジェンダー平等を推進していく。

問 教育機会確保法の立法趣旨及び基本理念について(教育長答弁)
○ 教育機会確保法の目的は、基本理念や国・地方公共団体の責務を明らかにして、不登校児童生徒等に対する教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進することである。県教育委員会としては、学校における安心して教育を受けられる環境の確保、教育支援センターやフリースクールなどでの多様な学習活動を踏まえた個に応じた支援、関係者相互の密接な連携等といった、法律の基本理念にのっとり、教育機会の確保等に関して必要な対策を講ずるよう努めてまいる。

問 不登校児童生徒の実態の推移と、全国の状況との比較について(教育長答弁)
○ 本県の公立小中学校の不登校児童生徒数の推移は、平成28年度が5,082人、29年度が5,476人、30年度が7,215人、令和元年度が8,595人となっており、近年では毎年千人以上の増加が見られる。この状況を全国と比較すると、令和元年度における千人当たりの不登校児童生徒数では、全国の国公私立小中学校が18.8人であるのに対し、本県の公立小中学校は21.2人と、全国を上回る結果となっており、重大な課題であると認識している。