2021年(令和3年)12月定例県議会 報告 4

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 山本耕一

気候変動に対する本県の施策について
 続いて気候変動に対する本県の施策について伺います。
 本県では大雨特別警報が全国で唯一5年連続して発表されるなど数十年に一度の大雨が常態化し、福岡市の平均気温がこの100年で約2.5度も上昇して雪の降る日が極端に減少するなど、地球温暖化に伴う気候変動は九州内でもとりわけ福岡県に大きな影響を及ぼしています。このことについて個人的にも気象予報士資格を持つ者としてたいへんに憂慮いたしておりますし、気候変動に対する県の施策についても注視をしているところです。
 今年のノーベル物理学賞は、二酸化炭素の増加による地球温暖化について1967年にいちはやく指摘した真鍋淑郎(まなべしゅくろう)プリンストン大学上級研究員をはじめとする3人の科学者でした。かつてほとんど注目されることのなかった、この地球温暖化に伴う気候変動は、いま世界で最も注目を集める人類共通の大きな課題となっています。
 そこで1点目に知事に伺います。県として把握している本県においての気候変動の特徴について、将来予測も含めて具体的にお示しいただき、地球温暖化とそれに伴う気候変動について、知事はどのような所見をお持ちか、お答えください。
 
 さて、先月英国で開かれた国連気候変動枠組条約第26回会議=COP26では最終日に「世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求することを決意する」との成果文書が採択されました。
 一方、国内においてはこれに先立ち、2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロにすることを目指す政府の総合計画「2050年カーボンニュートラル」が提言されました。本県においても今年度末に新規の「地球温暖化対策実行計画」を発表することをもって、県としての「2050年ゼロカーボンシティ宣言」になるものと、9月議会で我が会派の渡辺美穂議員の質問に知事が答えています。
 
 これまで述べたように、総合的な計画策定や宣言、そして当然、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出削減は大切なことですが、一方で気温の上昇は今後も続くことが予想されることから、気候変動へ適応する取組も重要と考えます。
 知事は先の9月定例会で、気候変動により人々の生活に様々な分野で影響が出ており、今年度改定予定の「地球温暖化対策実行計画」に気候変動の影響を防止、軽減するための適応策を盛り込む旨を発言されております。
 新たな「地球温暖化対策実行計画」に係る環境審議会の答申案については、現在パブリックコメントが実施されております。この答申案には、「農林水産業」、「自然災害」、「健康」、「県民生活」の4分野において優先的に取り組むと記載されています。このうち、特に農業や漁業への影響、例えば農産物の収量や品質の低下といったものは、食をはじめとする私たちの日常生活に直結する大きな問題となります。
 そこで2点目に、農業や漁業においての、気候変動への適応策として、これまでの具体的な取組と、今後どのように取組を進めていこうとされているのか、お答えください。
 
 この項の最後に伺います。脱炭素社会を目指すうえで、再生可能エネルギーの活用は欠かせない要素です。折しも私の地元、北九州市若松区沖の港湾区域では、いよいよ来年度から洋上風力発電の建設工事が始まり、2025年度には運転が開始され、現時点の予定では25基の風車が稼働する見込みです。
 九州では、全国で唯一、再生可能エネルギーの出力抑制が行われており、その回数は、2020年度で60日になりました。本年10月末現在、再生可能エネルギーの接続済が1479万キロワットのところ、更に承諾済が564万キロワットに上ります。そのため再生可能エネルギーを本県で推し進めても、出力制御が頻発しかねないものと危惧されます。
 その解決には、全国で電力の融通をスムーズに行うことが必要であり、その具体策として、関門連携線の容量拡大を我が会派はたびたび取り上げてきました。2019年6月定例会の代表質問において、当時の小川知事は「国に対し系統制約解消のため、既存の地域間連系線の弾力的運用について働きかけを続けていく」と答えています。
 そこで3点目に、関門連携線の拡充について、知事に改めてその考えをお聞きするとともに、本県から「国への働きかけ」の結果どのような取組が行われてきたのか、その成果及び今後の本県としての取組をお聞きします。
 最後に、脱炭素社会実現に不可欠な再生可能エネルギーの普及拡大、主力電源化について、知事の考えをお示し頂いた上で、実現に向けて具体的にどのように取り組むのか、お聞きします。

教職員の労働条件改善について
 次に、教職員の労働条件改善について知事及び教育長にお聞きします。
 教職員の労働実態については、長らくその厳しい状況がマスコミ等でも報道されており、我が会派も代表質問において、たびたび取り上げてきました。6月定例会における我が会派の代表質問に対して、吉田教育長は、働き方改革取り組み指針において緊急に取り組むべき課題として、月80時間を超える超過勤務の解消を掲げ、統合型校務支援システムの導入・定着、部活動の負担軽減を図っていることを披瀝されております。
 さて、こういった中、教員の時間外労働に残業代が支払われていないことは違法だとして、公立小学校教員が県に未払い賃金を求めた訴訟の地裁判決が10月1日出されました。請求そのものは棄却されたものの、判決のまとめとして、残業代を支払わない代わりに月給の4%分を一律支給するとした教職員給与特別措置法について「もはや教育現場の実情に適合していないのではないか」と異例の指摘をしています。また、「給特法を含めた給与体系の見直しなどを早急に進め、教育現場の勤務環境の改善が図られることを切に望む」と締めくくられています。
 教員の給与については、私立や国立の教員にも労働基準法が適用され、残業代を支払う必要がありますが、公立校教員のみ給特法によって適用除外されています。我が会派は、まずこの給特法の早期改正を図ることを、国に強く求めていきたいと思っています。
 そこで1点目に、教育長は給特法の課題をどのように認識しておられるのかお聞きします。
 また不合理な給特法については、教職員の働き方改革に照らして、国に早急に改正を行うよう県教委として声を上げるべきだと思いますが、いかがでしょうか。それぞれお答え下さい。
 
 2点目に、本県公立学校教員が公務員と同じように残業代が出ると仮定した場合、いくら支払われることになるのか、新型コロナウイルス感染症の影響のない2019年度において県教委が把握できる県立学校の教諭について、その金額を明らかにして下さい。
 
 さて、県立学校については様々な働き方改革に取り組んでいるのは承知していますが、市町村立学校の場合、教員の服務監督権限は市町村教育委員会となります。そのため市町村によって、その取り組みに大きな違いが生じ、特に残業、持ち帰り残業などについて十分に対策が打たれていない現状にあるとお聞きしています。
 そこで3点目に、市町村教育委員会における勤務時間管理は、適切に行われているのか、現状についてお聞きします。また、広域行政を担う県教委として、市町村教委にさらなる働き方改革を促すためにも、持ち帰り残業などの課題について助言すべきだと思いますが、いかがでしょうか、お答え下さい。
 
 我が会派は2020年6月定例会の代表質問において、学校行事等の精選や簡素化について質し、城戸前教育長も、継続的に取り組む旨の答弁をしています。そういった中、学校現場では来年度の学校行事等を決定していく時期に差し掛かっています。
 そこで4点目に、学校行事の精選と簡素化を県教委として促し、その結果、どのような結果が出ているのか、またウィズコロナを見据えた学校行事の精選と簡素化について、県教委としてなんらかの方針を明確にしていくべきだと思いますがいかがでしょうか、それぞれお答え下さい。

部活動指導員について
 5点目に部活動指導員についてお聞きします。
 教職員の働き方改革において、部活動の負担軽減は大きな課題で、この点について我が会派は長年その改善を訴えてまいりました。
 そういった中、国は新たに部活動指導員制度を2017年4月に創設し、部活動における外部指導の充実を図っています。
 そこでまず、部活指導員をはじめ、これまでに県教育委員会が実施した、市町村立学校も含めた部活動における地域等の人材活用に係る 事業の変遷についてお示しください。
 次に、直近の県立学校、市町村立学校それぞれの部活動指導員の配置状況、及び意義と評価についてお示し下さい。
 最後に、県立学校における更なる配置、また全ての市町村教委において、部活動指導員を配置するよう促すべきだと思いますが、今後の取組をお聞きします。
 
 この項の最後に、私立学校の労働基準法遵守についてお尋ねします。本県についても2019年6月定例会、我が会派の代表質問で質しています。ここでは三六協定を締結していない私立学校の実態が多数に上ること、本県私立学校の非正規率の高さについてそれぞれ質してきたところです。
 なお当時の小川知事は三六協定締結については、「全て協定が締結されるよう引き続き指導を続けてまいる」と答弁されています。
 そこで、6点目に、現在本県の小中学校を含む私立学校全てにおいて三六協定を締結できたのか、お答え下さい。また県の指導にも関わらず、未だに締結できていないのであれば、県は労働基準監督署への通告や、補助金の減額なども含め、強い態度で臨むべきだと思いますがいかがでしょうか、お答え下さい。