2021年(令和3年)12月定例県議会 報告 7

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 山本耕一

答弁骨子
問 後遺症に関する相談窓口の設置について
○ 新型コロナウイルス感染症の後遺症については、様々な症状や、その症状が長引くことによる日常生活への影響などが指摘されているものの、その実態は明らかになっていない。
○ 現在、国の研究事業として、大学や専門の学会が複数の実態調査に取り組まれている。県としては、国に対し、その実態解明を早急に進め、これらの情報を広く国民に周知し、また、都道府県と情報共有するとともに、県が実施する後遺症に係る医療提供体制の整備に係る経費について財政措置をするよう、全国知事会を通じて求めている。
○ 県で設置している「福岡県新型コロナウイルス感染症一般相談窓口」においては、8月以降、110件の後遺症に関する相談が寄せられ、個々の相談に対しては、症状をお聞きした上で、かかりつけ医や症状に応じた診療科の受診を勧めている。
○ 先日、国から後遺症に関する診療の手引きが示されたところであり、今後、この手引きを活用して、後遺症に悩む方を適切な医療につなげられるよう、相談窓口の設置や診察を行う医療機関の選定などについて、県医師会と協議を進めてまいる。

問 保健所職員の過重労働の軽減について
○ 第5波においては、爆発的な感染拡大により、新規陽性者及び自宅療養者が急激に増加した。保健所においては、感染症対策業務が急増し、十分な体制の整備が追い付かず、保健師を中心に職員の時間外勤務も大幅に増大する状況となった。

  •  最も感染が拡大した8月における保健所職員の時間外勤務は、平均47時間で、100時間を超えた職員は全体の14%の71名となっている。保健師については、平均79時間で、100時間を超えた職員は28%の37名となっている。

○ こうした保健所の業務逼迫により、重要な役割である「陽性者の病状把握」や「疫学調査」が遅れる事態が一部の保健所で生じた。

  •  このような事態が生じないようにするためには、感染拡大傾向がみられた段階で早めに体制を強化するとともに、業務の外部委託の推進等により職員の負担軽減を図ることが課題だと考えている。

○ このため、県では、保健師等の会計年度任用職員の更なる増員を行うほか、感染症対策業務に従事する保健師を来年度13名増員する予定であり、うち2名は早期採用したところである。また本庁職員や市町村保健師の応援などについて、今後は新規陽性者の増加傾向がみられる段階から実施してまいる。

  •  加えて、陽性者の情報を一元的に管理するICTを活用したシステムを導入するとともに、感染拡大時においては、濃厚接触者等のPCR等行政検査や自宅療養者の健康観察業務について外部委託等を行う。また、県医師会と連携し、自宅療養者の外来受診や往診等に対応できる医療機関を確保し、有症時の受診体制を整備する。さらに、感染拡大時に保健所の求めに応じて、看護師が自宅療養者を訪問し健康観察が実施できる体制を整備してまいる。

○ これらにより、今後、急激な感染拡大がおきた場合においても、保健所が疫学調査等の重要な役割を十分に果たせるようしっかり取り組んでまいる。

問 コロナ禍における公共交通機関の現状と支援について
○ 県民生活や経済活動にとって必要不可欠な鉄道や乗合バスの輸送人員は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により大幅に減少し、昨年4月から今年の9月までの期間では、平均してコロナ前の概ね6~7割程度の水準となった。
○ 緊急事態措置が解除された今年10月以降、通勤・通学等の利用者は戻りつつあるが、昼間のビジネス利用や週末の観光・レジャーなどの利用者が十分に戻っておらず、輸送人員はコロナ前の8割程度にとどまっている。従来から人口減少や少子高齢化によって利用者が減少傾向にある鉄道・乗合バス事業者にとって、厳しい状況が続いていると認識している。
○ 県では、昨年度、平成筑豊鉄道・甘木鉄道・筑豊電気鉄道の地域鉄道3社及び県内で乗合バスを運行するバス事業者13社に対し、運行継続を支援するため、コロナの影響による減収額の一部を助成した。また、これらの事業に、タクシー事業者も含め、車内の消毒や感染防止に必要な経費を助成したところである。

問 公共交通機関の利用に資する広域の旅行需要喚起策について
○ 県では、旅行需要を喚起するため、現在「福岡の避密の旅」観光キャンペーンを実施しているが、県民の県内旅行を対象としており、公共交通機関を利用した旅行需要には限界があるところである。
○ こうした中、国は、先月、感染状況や都道府県からの要望等を踏まえ、①ワクチン・検査パッケージを活用した旅行であること、②支援対象とする都道府県が同意していることを要件に、隣県への拡大を認めた。

  •  これを受け、本県でも隣県と協議を進め、昨日発表したとおり、今月10日から本キャンペーンの利用対象者を山口県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県の各県民に拡大することとした。今後、公共交通機関の利用につながるよう、鉄道やバスを組み込んだ旅行商品の造成を促してまいる。

○ また、10月には、九州7県と九州観光推進機構の連名で、九州全域での観光キャンペーンができるよう国に要望したところである。国は、年明け以降「地域ブロック」まで対象を拡大する方針を示している。

  •  今後、九州全域に利用対象者が拡大された際は、九州各県と九州観光推進機構、そして交通事業者、旅行事業者等と連携して、広域の旅行需要を喚起してまいる。

問 非接触型決済機器導入を推進するための支援について
○ いわゆる交通系ICカードについては、これまで、西日本鉄道全線、西鉄バス全線、福岡市地下鉄全線、JR九州鹿児島本線等をはじめ比較的利用者の多い路線において導入が進んできた。
○ 日常的な利用の利便性向上とともに、高齢者や障がい者をはじめとした公共交通利用のバリア軽減にもつながるICカードのさらなる導入のため、県では、県や市町村などで構成される福岡県地域交通体系整備促進協議会を通じ、JR九州など未導入の事業者に対し導入の要望を行っている。
○ 現段階では、導入の際の初期費用に加え、維持経費も毎年必要となり、費用対効果の面などから導入は難しいとのことであるが、非接触型ICカード導入は、①「ウィズコロナの下、感染防止にも有効であること」また、②昨年度改正された「地域公共交通活性化再生法」に基づく基本方針では、住民や来訪者の移動手段を確保するため、「交通系ICカード等の新しい技術を活用した利用者の利便性向上が求められる」旨が新たに付記されていること、

  • これらを地域交通体系整備促進協議会を通じ、事業者にしっかりと説明し、改めて導入を働きかけていきたいと考えている。

問 男性の育児休業取得の社会的意義と効果について
○ 男性の育児休業取得を促進することは、取得を望む男性の仕事と家庭の両立の希望をかなえるとともに、男女問わずワークライフバランスのとれた働き方を可能とする。

  •  このことは、女性に偏っている家事、育児負担の軽減、出産を理由とした女性の離職防止につながり、女性の活躍推進にも資するものである。

○ また、企業にとっても、必要な人材の確保・定着が可能となり、ひいて
 は、企業の成長、発展につながるものと考える。
○ 男性の育児休業を進め、社会全体で安心して働き結婚し、子どもを産み、育てられる環境をつくっていくことが、社会的課題である少子化対策に大いに寄与するものと考えている。

問 特定事業主行動計画に基づく男性職員の育児休業等の取得状況について
○ 昨年度、知事部局において子どもが生まれた男性職員は122人、このうち、出産・育児に係る休暇を5日以上取得した男性職員は112人で、計画に定める100%の目標に対し、取得率は91.8%と目標を下回った。
○ 一方、育児休業や育児短時間勤務、部分休業を取得した男性職員は52人で、計画に定める15%の目標に対し、42.6%と目標を大きく上回った。
○ 出産・育児に係る休暇の取得率は年々増加しているものの、昨年度に5日以上取得できなかった職員全員が「業務多忙」を理由としている。この休暇の取得期間は第1子の場合、出産後8週間まで、第2子以降は、出産前後8週間までと限られていることから、期間内での担当業務との調整が困難であったことが要因と考えている。
○ 国においては、今年6月の育児・介護休業法の改正にあわせて、妊娠・出産・育児等と仕事の両立支援のため、来年10月1日から育児に係る休暇の取得期間を子が1歳に達する日までに拡大することとしており、本県も同様に拡大を図ることで、より休暇が取得しやすい職場環境づくりを進めてまいる。

問 男性職員の育児休業等の取得状況について(教育長答弁)
○ 県教育委員会においては、職員の仕事と子育ての両立を促進するため、男性職員の出産・育児に係る休暇については、全ての職員が5日以上取得することを目標として取り組んでまいったが、昨年度の取得率は、69.5%であった。

  •  また、育児休業、育児短時間勤務及び部分休業についても、取得率の目標を15%以上として取り組んでまいったが、昨年度の取得率は、8.3%であり、いずれも近年増加傾向にはあるものの、目標を下回っている状況であった。

○ 男性職員の出産育児に関する休暇や育児休業の取得が進まない要因としては、業務に与える影響や収入減少に対する不安等があげられるが、特に学校においては、授業に穴をあけるとの思いから、休暇や育児休業の取得をためらう教員が多いと考えられ、職場における意識改革とサポート体制に課題があると認識している。