2021年(令和3年)12月定例県議会 報告 10

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 山本耕一

答弁骨子
問 給特法の課題について(教育長答弁)
○ 教育職員の給与特別措置法、いわゆる給特法においては、教員の業務の特殊性が考慮された結果、超過勤務の有無にかかわらず一律に4%が給料に上乗せされ、その一方で、緊急の場合等を除き時間外勤務を命ずることができないこととなっている。

  •  このため、教員の超過勤務がどれだけ増加しても、それは命令に基づかない自発的な勤務と位置づけられ、給与の対象とならないことが課題であると考えている。

○ 県教育委員会としては、こうした課題を踏まえ、来年度国が実施予定の勤務実態調査に基づき、給特法を含めた教員の給与体系や教職員定数等の在り方が、より教育現場の実情に適うものとなるよう、国に対しその検討を要望してまいる。

問 教員に関する時間外勤務手当の試算について(教育長答弁)
○ 県教育委員会において把握できている県立学校教員についてお答えする。

  •  令和元年度、主幹教諭、指導教諭を含む教諭の人数は5,037名であり、正規の勤務時間を超える在校時間は一人当たり年間486時間となっている。
     そのすべてが時間外勤務命令に基づくものと仮定した場合には、約76億円の手当が発生する試算となる。

問 市町村教育委員会における教員の勤務時間管理について(教育長答弁)
○ 昨年7月時点では、7市町村で勤務時間の把握ができておらず、また、ICカード等による客観的な計測は26市町村にとどまっていたが、現時点では、すべての市町村で把握ができ、44市町村で客観的な計測がなされている。

  •  県教育委員会としては、残る16市町村に対し、自己申告によらない客観的な計測に移行するよう促してまいる。

○ また、いわゆる持ち帰り残業については、職員が超過勤務の上限時間を遵守するために、かえって持ち帰りが増大することがあっては本末転倒であると考えており、県立学校においては、これを行わないことを基本としている。

  •  今後、市町村においても同様に、業務は学校内で行うことを原則としつつ、校外での業務を含めた超過勤務全体の把握とその縮減を図るよう働きかけを行ってまいる。

問 学校行事の精選と簡素化について(教育長答弁)
○ 学校行事の授業時数について、コロナ禍の影響がない平成30年度と令和2年度の状況を比較すると、小学校は全学年平均で47.7時数から21.4時数に、中学校は同じく44.9時数から21.1時数にと、約半分に減少している。
○ 学校行事は、児童生徒が協力して、体験的な活動をすることで、集団への所属感や連帯感を深め、社会の形成者としての資質・能力を育成することを目指す重要な学習活動であるが、常に時代に応じた見直しが必要である。
○ コロナ禍においては、感染拡大防止の観点から、学校行事について精選が行われたが、市町村や学校からは、従前は当然と思っていた運動会の種目を見直したり、複数の行事を組み合わせて実施したりしたことで、学校行事の本質を考え、効率化を促す契機となったとの声が聞かれた。
○ 令和3年3月に改定した「教職員の働き方改革取組指針」においては、「コロナ禍により縮小された会議や行事等について、その必要性を精査し、今後の業務改善につなげます」と明記している。
○ 各教育事務所では、各学校の教育課程編成の担当者となる教務主任を対象に、編成上の留意事項に関する研修会を開催しており、その中でも、学校行事について、常にその意義や在り方について問い直し、合理的かつ効率的に実施されるよう促すなど、引き続き、取組指針の趣旨を徹底してまいる。

問 部活動における地域等の人材活用に係る事業の変遷について(教育長答弁)
○ 本県においては、昭和63年度に「運動部活動指導者派遣事業」を開始し、地域等の人材を活用してきた。近年では平成27年度から全ての市町村立中学校及び県立学校を対象とした「中・高等学校運動部活動活性化プロジェクト」を実施した。

  •  その後、国の制度改正により、新たな職として部活動指導員が規定され、平成30年度から「部活動指導員配置事業」を実施している。

問 県立学校、市町村立学校における部活動指導員の配置状況、及び意義と評価について(教育長答弁)
○ 本年11月末現在、県立学校においては103校で289名、市町村立中学校においては70校で121名が配置されている。
○ 部活動指導員の配置は、生徒への技術的な指導の充実を図るとともに、単独での指導や大会引率を担うことにより、教員の負担軽減につながるものと認識している。
○ 部活動指導員配置事業開始時の平成30年度は、県立学校112名、市町村立中学校23名の配置であったことから、配置数は年々増加傾向にあり、部活動の活性化と適切な運営に一定の成果があったと考えている。

問 部活動指導員の配置促進に向けた今後の取組について(教育長答弁)
○ 県立学校においては、配置が進んでいない学校に対して、地域のスポーツ指導者をホームページ上で紹介する「スポーツリーダーバンク」の積極的な活用や、大学との連携などを指導してまいる。

  •  また、市町村教育委員会については、教育長会や指導主事研修会等で、部活動指導員配置に関する好事例について情報提供を行うとともに、配置していない市町村に対して個別の助言を行ってまいる。

問 私立学校の労働基準法遵守について
○ 36協定を締結していないにもかかわらず、時間外労働を行わせることは、労働基準法に違反する。

  •  労働基準法が遵守されていない私立学校があることは大変遺憾であると思っている。

○ 本県は、これまで、私学団体が行う経営者向け研修や県が行う各校の労務管理責任者への研修などにおいて、法令遵守と協定締結の要請を繰り返し行ってきた。

  •  その結果、高校では、一昨年に比べ締結校が教員・事務職員それぞれについて2校増加した。しかしながら、県内私立小中高等学校97校のうち、教員については20校、事務職員については9校が未締結という状況である。

○ 未締結校に対する行政指導については、労働基準法に基づく監督権限が国にあることから、労働基準監督署が行うべきものと考えている。

  •  一方で、本県としても、労使が協議中の学校も多いことから、個別課題に応じて労働基準監督署の相談窓口の活用を促すなど、状況に合わせて各校の取組を後押ししたいと考えている。
     いずれにしても、全ての学校で協定が締結されるよう、粘り強く指導を続けてまいる。