2022年(令和4年)6月定例県議会 報告 4

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 後藤香織

 次に、本県施設園芸、とりわけ花卉(かき)農業の振興について伺います。
 先日、施設園芸の生産者の現状を伺うために、糸島市のバラ農家を訪ねました。コロナ禍からの売上回復が鈍る中、肥料および原料の主な調達先である、中国が自国農業保護のため輸出規制を行っている事などによって輸入肥料の確保が困難になっている事、燃油価格高騰に伴い、包材価格も上昇し、コスト増となっている事、販売価格に転嫁できず、コスト削減も既に限界だ、という生産者の窮状をお聞きしました。
 本県は、洋ラン、ガーベラは全国第2位、キク、トルコギキョウは全国第3位と、全国でも有数の花卉生産県です。
 この花卉生産にあたっては、温度維持のための燃油を多く使うほか、農業施設も、他の園芸品目に比べ高額な施設を導入する必要があり、初期投資も多額になります。
 また、コロナ禍で花卉農家は深刻な影響を受け、本県も「県産花き消費促進緊急支援事業」をはじめ、様々な支援を行っている事は承知していますが、ウクライナ危機からの燃油価格の高騰で、追い打ちをかけられた状況になっています。今回のコロナ禍で、生活様式も変化しており、例えば、花の消費の多い冠婚葬祭分野は、規模がいずれも小規模化していることなどから、消費量の減少も大いに心配されます。
 確かに短期的には、輸入花卉の減少によって価格は上昇していることは承知していますが、長期的に見れば、全国有数の花卉生産県である本県農業に、大きな影響が生じることになると思います。
 このような観点から、以下、知事に質問致します。
 まず1点目に、コロナ禍や燃油・肥料などの価格高騰による本県花卉農家への影響をどのように認識しているのか、お聞きします。
 2点目に、石油依存からの転換に向けた取り組みについてお聞きします。
 農林水産省は持続可能な食料システムの構築に向け、「みどりの食料システム戦略」を策定し、とりわけ農業分野では、カーボンニュートラルなど、環境負荷軽減やスマート農業などの取組みを現在進めています。
 そのため、国の今年度予算においても、農業における温室効果ガス排出量削減の推進に向け、様々な予算が計上されています。
 このような状況の中、本県でも燃油消費量の多い花卉農家に対して、石油依存からの転換に向けたさらなる後押しを行う事は、脱炭素、SDGsにも大いに貢献すると思います。燃油価格の高騰や物価上昇が長期化する事が予想される中、農業分野の石油依存割合をできる限り低減させる事が重要だと考えます。
 そこで、花卉生産における石油依存の割合を減らすため、現在、どのように取り組んでいるのか、また、国の動きを踏まえ、将来に向けて、どのように取り組んでいくのか、お聞きします。
 さて、総務省の家計調査で報告された、2021年の本県の切り花支出額は北九州市で7069円、福岡市で5503円と、全国平均の7649円に比べ、低い状況になっています。8年前の2014年と比較すると、北九州市で10882円、福岡市で6728円と、その支出額も減少傾向となっています。全国有数の花卉生産県である本県において、消費額が低迷している状況は非常に残念です。
 そこで3点目に、花卉消費量の減少を食い止めるためにも、県として消費促進に向けた継続的な支援を行う事が大切だと思いますが、この点について、今後どのように取リ組むのか、お聞きします。

 次に、出水期への備えについて質問します。
 「平成29年7月九州北部豪雨」から間もなく5年となります。我が会派は今年4月、豪雨災害の被災地である朝倉市や東峰村などを改めて訪れ、河川や道路を中心に復旧事業の進捗状況を視察しました。被害の大きかった赤谷川や乙石川では多数の工事車両が行き来し、重機が作業を続けていました。発災直後から復旧に力を注いでこられた国や県など関係者の皆様には、心からの敬意を表します。
 その際に、国土交通省の関係者から「赤谷川に関しては今年度中にすべての工事を完了する」との説明を受けました。しかしながら、どの現場も我々の目から見て、まだまだ「道半ば」という印象を受けました。被災地の方々の思いは、1日も早い復旧・復興です。知事も先日、被災地に足を運んで公共施設や農地・農業用施設を視察されています。
 そこでお伺いします。
 発災から間もなく5年となる九州北部豪雨災害の復旧工事について、現時点の進捗状況と、今後の見通しをお示しください。特に、県の事業については年度内に完了する予定なのか伺います。
 静岡県熱海市で昨年7月3日、盛土の崩落に伴う大規模な土石流が発生し、死者・行方不明者27名、建物被害132棟という大きな被害を引き起こした事は記憶に新しいところです。危険な盛土の点検と、盛土に関連する防災については県議会の本会議や委員会において再三にわたり議論が交わされ、県は「関連部局内で連携して点検し、必要に応じて県地域防災計画の見直しを検討する」と答えています。また昨今、県内の違法な盛土に関連して業者が逮捕、送検されるといった報道が相次ぎ、出水期を前に危険な盛土に対する県民の関心が一層高まっています。
 わが会派の岩元一儀会長はいち早くこの盛土の問題に着目し、2018年9月定例会の決算特別委員会で、大規模盛土造成地の所在調査と盛土造成地マップの公表を求め、県はホームページ上において2020年3月に大規模盛土造成地のマップを公表しています。
 そして本県は今年3月18日、盛土による災害の防止に向けて対象となる1,050か所の盛土の総点検を行い、結果を公表しました。その結果、是正措置が必要な盛土は60か所あり、是正指導を行ったうえで「直ちに大規模災害につながる危険な盛土は確認されなかった」とのことです。
 そこで2点目に、今回の盛土の総点検は、どのような調査方法に基づいて行ったのかを具体的にお示し頂いた上で、直ちに大規模災害につながる危険な盛土がないと判断した具体的な根拠は何か、そして今後、これらの盛土について、新たに是正措置が必要となった場合、県はどの様に対応していくのかご説明ください。
 近年の大雨災害等において、高齢者など、災害時に支援が必要な「災害時要支援者」が多く被災したことを踏まえ、国は昨年度、災害対策基本法を改正し、要支援者の同意を前提に市町村へ個別避難計画の作成を努力義務化しました。
 個別避難計画は、災害が想定される際に、避難が必要な方に対し、支援者がマンツーマンで避難支援を行う極めて有効な方法です。そのため国は、昨年度から市町村における個別避難計画の作成経費に地方交付税措置を講じる支援を開始しました。
 法改正の趣旨を踏まえ、全ての要支援者に対する個別避難計画の作成を早急に完了すべきと考えます。
 そこで3点目に、県内市町村における、要支援者の個別避難計画の作成状況はどうなっているのか、お答えください。また作成を進めるに当たり、どの様な課題があるのか、お示しください。
 併せて、個別避難計画の作成が完了していない市町村に対して、県はどの様に支援していくのか、具体的な方針をお示しください。