2022年(令和4年)9月定例県議会 報告 2

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 新井富美子

 まず新型コロナウイルス感染症対策について質問していきます。
 7月に入り、新型コロナウイルス感染症の陽性者が急増し、全国の新規感染者は8月2日の約26万8千名をピークとし、その後盆明けから次第に減少傾向を見せ、「第7波」も大きな山を越えたとみられています。
 本県では、新規感染者が8月19日に最大の1万5,723名を数え、自宅療養者は8月26日に10万8千名へと急増しました。本県においても感染状況はその後減少傾向となっていますが、今月初めに感染者の累計は100万名を越え、県民の5名に一人が感染したことになります。また、第7波の拡大後に死亡者が急増し、9月1日には過去最多の24名が亡くなられ、県内で昨日までの死亡者の累計は1,872名となっています。
 医療・福祉機関においては、現在も陽性者の対応に忙殺されており、コロナとの闘いは2年半を超えるものの、未だ収束が見通せません。
 このような中、岸田総理は9月6日に、ウィズコロナという新たな段階へ移行することを公表し、全数届出の簡略化を今月26日から全国一律に導入すること、療養期間の短縮化を行うことなどしました。陽性者の発生の全数届出を見直すことに対しては、医療体制の崩壊を防ぐべきとの意見と、陽性者の生活支援が必要だとの意見から、国の考えも二転三転し、こういった国の対応に地方自治体は翻弄されてきました。
 そこで、1点目に、このような国の対応について、知事の認識を伺うとともに、全数届出の見直しにおいて、医療関係者、保健所、陽性となった方に対し、どのような改善が図られるべきか、お尋ねします。
 また、知事は全国知事会において、全数届出を見直すことによって、発生届の対象外となる方を置き去りにするようなことがあってはならないと発言されました。実際に、症状が悪化した場合にどうすればよいのか、生活支援がどのようになるのか、という不安の声も聞かれます。
 そこで2点目に、今後全国一律の見直しが行われた後、新たに発生届の対象外となる方に対して、健康面の支援や生活支援物資の提供をどうされるのか、方針を伺います。

 次に入院と救急搬送の問題についてお聞きします。 自宅療養を余儀なくされた方々からは「病院から診療・検査を断られた」。「陽性と診断された後の対応などの情報が少なく、どうしてよいかわからなかった」などの声が多く上がっています。

 そこで、まずお聞きします。本県では、入院、宿泊療養、自宅療養の判断基準はどのように行われているのかお聞きします。
 また、容態が悪化した方々で、救急搬送を依頼したにもかかわらず、病院への搬送が困難となる事例が多発していることが報道でも明らかとなっています。やむを得ず自宅療養をせざるを得ない場合、療養環境が整っていない自宅では生命の危機につながる場合もあると危惧します。また、長時間の救急車待機によって、他に必要な救急搬送の運営にも大きな影響が出ていると容易に想像できます。

 本県ではこれらに対して、入院前の待機ステーション20床での受入れを既に行っているところですが、十分に機能しているのか、検証も必要だと思います。
 そこで2点目に、発熱や呼吸困難の症状を有するコロナ感染の疑いがある患者の救急搬送において、搬送困難となった事例は、本年、何件発生したのかお答え下さい。
 3点目に、コロナ患者の搬送困難の現状にどのように対応しているのかお示しいただくとともに、待機ステーション20床の利用状況とその検証、また、今後の取扱方針をお聞きします。

 次に最低賃金改定に伴う本県の対応についてお聞きします。

 8月12日に開催された福岡県最低賃金審議会において、本年度の本県最低賃金を30円引き上げるとの答申がありました。これで10月8日から、本県の最低賃金は900円となります。
 しかし、この最低賃金では、仮に年間2000時間労働しても、年収では180万円、月収では15万円であり、いわゆる「ワーキングプア」といわれる年収200万円にも満たない状況です。
 この最低賃金は長らく4ランクに分けられ、本県はCランクとなっており、全国加重平均の961円に比べ低い金額に甘んじています。このランク分けによって、全国で最も高い東京都は1072円、最も低い沖縄など10県では853円と、219円もの地域間格差が生じています。
 また、昨年の最低賃金の改定では、ランクに関係なく、引き上げ額の目安は一律28円と示され、ランク制度そのものの意味がなくなってきています。
 これらの問題を鑑み、県議会でも2020年12月定例会において最低賃金引き上げに関する意見書を全会一致で採択し、着実な最低賃金引き上げの継続と地域間格差の是正を図ることを国に求めました。
 最低賃金引き上げに関しては、2010年に麻生知事が、最低賃金800円以上の目標額を掲げ、続く小川知事も最低賃金を800円以上とすべきであると、全国の知事で唯一提言してきました。
 しかし、800円を達成した後の目標については、2017年9月定例会の我が会派の代表質問に対して、当時の知事職務代理者であった現在の知事である服部知事が「今後検討してまいる」と述べつつも、金額の明示等はその後行われていません。
 また本県の非正規雇用労働者の割合が2017年時点で40.0%である現状からも、最低賃金の引き上げは多くの労働者に大きな影響を与えます。そこで以下3点について知事に質問します。
 1点目に、最低賃金の引き上げ額についてです。本県以外の九州・沖縄各県は国の目安を上回る32円、33円の引上げとなる一方、本県は国の目安通りの30円の引上げにとどまりました。また、本県の賃金は全国でも低いレベルに固定されています。この点について、知事はどのように認識しているのか、お聞きします。
 2点目に、そもそも最低賃金の引き上げにおけるランク分けについては、本県と全国との賃金格差の固定化を招くことから、廃止に向け取り組むべきと考えます。知事はどのように認識しているのか、国に廃止を提言すべきと思いますが、知事はどう取り組まれるのか、お答えください。
 3点目に、麻生・小川両知事同様、服部知事も最低賃金の具体的な金額を指し示し国に提言すべきと考えますが、知事の見解をお尋ねします。