2022年(令和4年)9月定例県議会 報告 4

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 新井富美子

 次に、変革期を迎える自動車関連産業への対応についてお聞きします。
 北部九州における自動車産業は、154万台の生産能力を有しており、開発・設計から生産までを一貫して担うことができ、本県は、愛知県に次いで我が国を代表する自動車生産の一大拠点へと成長してきました。また、自動車産業はすそ野が広いことから、製造業への経済波及効果のみならず、労働者雇用の面にも大きく貢献しており、本県の基幹産業として今後も持続的に発展していくことが望まれています。
 一方で、世界に目を向けると、脱炭素化や、CASEと呼ばれる新しい領域での技術革新が進むなど、自動車業界は今「100年に1度の変革期」を迎えているといわれており、北部九州を取り巻く環境も同様に大きく変化しています。
 こうした流れを受け、本県は、昨年度に学識経験者や地元自動車メーカーの代表等からなる「北部九州自動車産業新構想検討委員会」を設置し、本年3月に提言を受けるとともに、5月には「北部九州自動車産業グリーン先進拠点推進構想」を策定しております。
 ただ、これは文字を見る限り、2021年まであった「北部九州自動車産業アジア先進拠点推進構想」の「アジア」から「グリーン」に文言を変えただけのようにも思われます。
 そこで、1点目に、「北部九州自動車産業アジア先進拠点推進構想」についての総括を答えください。併せて、今回新構想を策定されることになった経緯や新構想の目指すところについてお答えください。
 次に、脱炭素化に取り組む中小企業の支援についてお伺いします。
 これからの自動車関連産業においては、運転時のCO2排出量の削減だけでなく、製造から、運輸、廃棄・リサイクルなど、各段階に応じたトータルでの脱炭素化が必要であると言われています。
 一方で、現状では、中小企業がそれらを実現していくには多くの課題を乗り越える必要があり、全国有数の自動車生産県である本県にとって、至上命題であります。また、脱炭素化は、自動車関連産業に限らず、全ての産業において求められており、脱炭素化に取り組む他の中小企業に対しても支援が必要だと考えます。
 そこで2点目に、自動車部品等を生産する中小企業も含め、中小企業の脱炭素化に対して、県としてどのような支援を行うのか、知事のお考えをお聞かせください。
 次に、下請け中小企業への救済策についてお伺いします。
 今後生産が拡大される電気自動車は、製造過程において普通自動車と比べて部品数が2/3となることから、これまで部品製造を請け負ってきた下請け企業への影響が考えられます。
 また、水素燃料電池車は、新規に高度な技術力を必要とすることから、下請け企業が新たな技術力を確立していくための支援が必要です。加えて、今後不必要となる部品を、現在製造している中小企業を他の事業分野へ誘導するなどの支援が必要であると考えます。
 そこで3点目に、このように自動車の電動化への対応を目指す中小企業をどのように支援するのか、また、他の事業分野への参入も考えている中小企業をどのような分野へ誘導していくのか、知事の考えをお聞かせください。
 4点目に、水素ステーションの整備についてお伺いします。
 現在本県には11基の水素ステーションが設置されていると認識していますが、地域偏在があり、FCVやFCトラックなどの燃料電池モビリティが福岡県にあまねく普及するには、困難な状況にあると考えます。
 こうした課題を踏まえ、今後、どのように水素ステーションの整備を促進していくのか、知事の考えをお聞かせください。

 次に、鳥獣被害、とりわけ鳥類による被害への対策について伺います。
 2021年度において、鳥獣による農林水産物被害は総額7億4千万円あまり、そのうちカラスやヒヨドリ、ハト、カワウなど鳥類による被害は2億7千万円以上で、全体の37%を占めています。
 鳥獣対策は基本的に基礎自治体である市町村が行い、捕獲補助金や罠、侵入防止柵などへの補助金は国からの交付金を主な原資としていますが、多くの自治体ではイノシシ、シカなど「獣類」への対策を重点化しています。
 しかしカラスなどの鳥類による農林水産物被害は、先に述べたように金額ベースで全体の4割近くにのぼり、加えてカラスがゴミステーションを荒らしたり、ハトがフンにより街を汚すなど、多くの県民にとって、鳥類による被害は、時には、イノシシやシカによる害以上に強く感じられるものとなっています。さらに、市街地で有害鳥類を駆除することは難しいため、農地や山間部にある鳥類のねぐら周辺での捕獲や駆除となり、困難を極めます。
 沖縄県の本島北部で、近年カラスによる果樹被害が深刻化した際、捕獲したカラス1羽あたりの市町村の補助金500円に、2013年から県が500円を上乗せすることで、捕獲率が上昇しました。いっぽう、県内のカラス1羽の捕獲補助金は、北九州市など多くの市町村で、国の捕獲補助金のみのわずか200円に過ぎず、猟友会の方によれば猟銃の弾丸代のほうが高くつくとのことです。
 そこで1点目に、現在、イノシシやシカなどの獣類への対策費が多く分配されていますが、カラスやヒヨドリ、カワウ等の鳥類への対策費を増額し、市町村の取り組みを推進する必要があると考えます。知事の認識と今後の方針をお聞かせください。
 また、鳥類は移動範囲が広く、結果的に被害は広範囲にわたります。他県の例ですが、鳥類被害のあった農園で鳥の追い払い対策を実施したところ、その農園の被害はおさまったものの、近隣の農園の被害が急増したとのことでした。本県のイノシシおよびシカについては、県策定の5か年計画に基づいて広域的な駆除等の対策を実施していることは承知していますが、鳥類対策においても、県が主導しながら自治体の枠を超えた広域的な対策を実施していくことが必要と考えます。
 先に挙げた沖縄県では2014年に本島北部9市町村とJA、猟友会、沖縄県で広域協議会を設け、カラスの一斉捕獲や追い払い活動を連携して行うことで効果的な捕獲や被害軽減を実現しています。
 そこで2点目に、行動域の広い鳥類による被害対策について、沖縄本島北部のカラス対策のように、本県でも圏域ごとに市町村や猟友会と連携して一斉に捕獲を行うなど、県が主導しての総合的な鳥類対策が必要と思われます。知事の考えをお聞かせください。