2022年(令和4年)9月定例県議会 報告 9

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 新井富美子

答弁骨子
問 「北部九州自動車産業アジア先進拠点推進構想」の総括と新構想について

  • ○ この構想では、「生産台数180万台」、「地元調達率70%」、「開発機能の集積」などを目標に取り組んでまいった。
    •  その結果、県内には607社の自動車関連企業が集積し、構想策定時60%だった地元調達率は70%を超えた。また、トヨタ自動車九州のテクニカルセンターやダイハツの九州開発センターなど開発機能も集積し、北部九州は、154万台の生産能力を持つ、開発・設計から生産まで一貫して担うアジアにおける自動車の一大生産拠点へと成長した。
  • ○ 一方で近年、自動車産業は、脱炭素化にむけた「電動化」などへの対応や「自動運転」といったCASEと呼ばれる技術革新など、100年に一度といわれる大変革期を迎えている。
    •   これにいち早く対応していくため、地元カーメーカーや有識者など産学官からなる検討委員会を設置し、新たな構想の検討を行った。
    •  これを踏まえ、1年前倒しで、今年5月に従来の「生産台数拡大」から、「脱炭素化」や「CASE」に重点を置く「北部九州自動車産業グリーン先進拠点推進構想」を策定したところである。
  • ○ 今後は、この新構想の下、
    • ・地元サプライヤーの電動化分野への業態転換の促進
    • ・自動運転といった次世代技術への参入支援
    • ・生産工場のカーボンニュートラル化の促進
    • ・これらを支えるデジタル分野等での人材育成
  • などに取り組み、北部九州自動車産業のグリーン先進拠点化を目指してまいる。


問 脱炭素化に取り組む中小企業の支援について

  • ○ 県では、脱炭素化を促進するため、
    • ① 中小企業を対象とし、
      • ・環境経営について先進企業の事例紹介を行う「経営者向け講座」や
      • ・空調、照明などの機器の運用改善手法に関する「技術者向け講座」、
      • ・国の補助金活用に向けた工場、運輸、ビルなど業種別の「補助金講座」
    • などの各種講座や相談会を実施している。
    • ② また、事業場等に専門家を派遣して助言や提案を行う省エネ診断の実施や
    • ③ 制度融資による再エネ・省エネ設備の導入等への融資
    • を行っている。
  • ○ さらに、今年度から、県が実施する省エネ診断を受診した中小企業が、省エネ効果が期待できる空調、給湯設備などの更新やLED照明の導入等を行う際に、その経費の一部を補助することとしており、今年7月から申請の受付を開始しているところである。
  • 〇 これらの取組により、中小企業の脱炭素化に向けた取組を推進してまいる。


問 自動車産業の変化に伴う中小企業への支援について

  • ○ 自動車メーカー各社は、電動車の市場投入を相次いで進めているが、EVの場合、エンジンやトランスミッション、クラッチなどの部品が不要となるため、これらを生産する中小企業に影響が及ぶ可能性がある。
  • 一方で、バッテリー、モーター、インバーターなどの部品の需要は拡大すると見込まれることから、これらの部品に参入する中小企業を増やしていく必要がある。
  • ○ このため、県では、EVの構造や部品などの最新情報を提供する「自動車電動化部品研究会」やEVの分解部品を使った技術講習などを行う「自動車電動化技術道場」を開催している。
  • ○ さらに、今年7月には、地元企業の電動化部品への参入を支援する「自動車関連企業電動化参入支援センター」を県中小企業振興センタービルに開設し、電動化に関する相談や課題解決のための専門家派遣、さらには、工業技術センターと連携した製品開発支援などに取り組んでいる。
  • ○ 今後は、こうした電動化分野に加え、燃料電池や水素ステーションの部品など、水素関連産業への参入を促進してまいる。併せて、今後成長が見込まれる風力発電産業への参入についても支援してまいる。


問 水素ステーションの整備促進について

  • ○ 水素ステーションの整備を促進するためには、水素需要を拡大させることが必要である。そのため、FCVと比較して10数倍の水素利用量が見込まれるFCトラックの普及が、その「切り札」として期待される。
  • ○ このため、今議会において、県内物流事業者のFCトラック導入を支援する予算をお願いするとともに、業界全体の導入意欲を喚起するため、県トラック協会と連携して、運行データ等の情報を広く発信するほか、試乗会を県内各地で行うこととしている。
    •  今後、こうした取組を拡大することにより、広く県内全域の物流事業者への導入を促進し、FCトラックの先進拠点を目指してまいる。
  • ○ また、小規模な水素需要でも対応できる、従来の半額程度で整備可能な「小型水素ステーション」が開発され、注目を集めている。
    •  県では、水素需要の拡大と併せ、地域の需要に応じ、こうした小型ステーションも活用することにより、これまでステーションが無い地域に対しても、整備を促進してまいる。