2022年(令和4年)12月定例県議会 報告 4

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 冨永芳行

 次に、子どもの貧困対策の推進についてお聞きします。
 子どもの貧困問題は、近年、日本を含め、世界中で解決すべき重要課題の一つとされています。加えて、昨今の新型コロナ拡大の影響と、ロシアのウクライナ侵攻による物価高騰の影響により、家計に大きな影響が生じている中、子どもの貧困状況がますます悪化することが強く危惧されます。子どもの貧困対策は、来年4月に新設される子ども家庭庁に移管され、子どもの権利を守る基本理念である「こども基本法」も同時に施行されます。国では、この基本法の実現に向け「こども大綱」を来年度に策定される予定であると聞いています。
 そういった、社会情勢や国の子ども政策の大転換が図られる中、知事は、「子どもの貧困ゼロ」という、本県の子どもの未来にとって極めて重要な選挙公約を掲げて当選されました。これは、知事がこの間「福岡県が発展していくためには、次代を担う人財を育成することが大切」と県政における最も重要な柱として掲げていることにも通じます。まさに、本県における子ども政策への取組み、特に次代を担う人財の育成や、子どもの貧困ゼロを推進していくための取組みは、本県の重要な政策になっていくものと確信しています。
 そのためにも、本県の子どもがおかれている現状をつまびらかに把握することが前提であり、欠かせないことだと思います。この点については、先の9月定例会の決算特別委員会において我が会派の川?俊丸議員が質したところです。その際、17歳以下の生活保護率や小中学校の就学援助率から、福岡県が全国に比べ大変厳しい状況にあると認識しながらも、福岡県独自の子どもの貧困率の調査は行われていないこと、また、県内5か所に設置されている子ども支援オフィスの相談内容のみで県内の実態把握を図ろうとしている事などが答弁されました。このような調査だけでは、知事が掲げる子どもの貧困ゼロを目指す政策を効果的、具体的に推進できないのではないかと思います。
 子どもの貧困に関する都道府県の独自調査は、大阪府、愛知県、北海道が実施しています。
 そこで1点目に、知事公約の実現のためにも、福岡県の子どもの貧困の現状などを明らかにすべく、県独自の調査を実施すべきと考えますが、知事の認識をお尋ねします。
 本県では2016年に「福岡県子どもの貧困対策推進本部」が設置されています。推進本部の設置目的は「本県における子どもの貧困対策に関する施策を全庁的に推進するため」と規定され、知事を本部長とし、執行部の全部長、教育庁、警察本部長で構成されています。 こうした全庁的な組織も、子どもの貧困対策への取組姿勢を示すためには必要だと思いますが、子どもの貧困をゼロにするための取り組みを具体的に進めるためには、機動性の高い、実効性のある組織が必要であると考えます。
 そこで2点目に、知事は子どもの貧困対策の推進体制について、どのようにお考えなのかお示しください。
 次に、「こども基本法」では、地方公共団体は、国が来年度に策定する「こども大綱」を勘案し、「こども計画」を策定するよう努めるとされています。また、同法では、地方公共団体は、こども施策を策定、実施し、及び評価するにあたっては、施策の対象となるこども又はこどもを養育する者の意見を反映させるために必要な措置を講ずることとされています。
 そこで3点目に、子どもの貧困対策は「こども計画」の中に位置づけるとされていますが、「こども計画」の策定にあたり、当時者である子どもの意見を反映させるため、どのような仕組みを考えておられるのか、知事にお伺いします。

 保育所の安全な送迎バス運営に対する支援について伺います。

 昨年7月、福岡県中間市で5歳の男の子が送迎バスの車内に取り残され、熱中症で死亡した事件の裁判で、先月8日、福岡地方裁判所は「極めて基本的な注意義務を怠った過失は重い」として、業務上過失致死の罪に問われた、当時の園長と降車補助を行った保育士に有罪判決を言い渡しました。当時、園では慢性的な人員不足から、日常的に園長が1名のみでバスを運行し、複数の園児を送迎していたこと、園児の乗降確認や園児の保育施設への引継ぎが適切に行われていなかったことがわかっています。
 福岡、静岡と立て続けに起きた通園バス置き去りの再発防止に向け、国は来年4月から送迎バスに安全装置の設置を義務化し、その補助費用を、2022年度第2次補正予算案に盛り込みました。しかし、こういった保育所での事故は、慢性的な人手不足も原因の一つであり、安全装置の設置義務化のみでは、根本的な解決にはなりません。4歳児以上の園児に対する保育士の配置基準は、1948年から70年以上変わらず、他国と比較しても、日本は保育士一人が受け持つ子どもの数が多く、負担が大きいことが指摘されており、国には早期の改善を要望します。その上で、以下、質問します。
 まずはじめに、本県において送迎バス等を運行している認可保育所は何園あるのか、その割合とあわせて実態をお示しください。また、保育所での送迎バスの必要性についてどのようにお考えか、お聞かせください。 これまでもバス運行については、園と保護者の私的契約による有償サービスとして、園にその運営が委ねられてきましたが、園独自の運営にも限界があると思います。安心安全に子どもたちを送迎するためには、行政の公的支援が不可欠です。
 しかしながら、現状の公的支援では、幼稚園や認定こども園の1号認定のうち、送迎を行う施設には、送迎バスの運転手の人件費を加算する「通園送迎加算」が公定価格に含まれますが、保育所、認定こども園の2・3号認定にはその加算が含まれていません。保育所のバス送迎は、平成8年の厚生労働省通知において、保育所の設置場所等の地域状況を勘案して行ってもよい、とされています。
 そこで2点目に、送迎バスが運行されていなければ、保育所に通園できない園児、保育所を利用しなければ、仕事や生活に支障が出る保護者もおられるのは事実です。そのような家庭が切り捨てられないように、保育所の送迎バスの運行に対して、県として何らかの支援を講ずるべきではないでしょうか、知事の考えをお聞かせください。