2022年(令和4年)12月定例県議会 報告 5

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 冨永芳行

 次に、下水汚泥の更なる有効活用についてお聞きします。
 世界的な穀物需要の増加やエネルギー価格の上昇に加え、ロシアによるウクライナ侵略、円安等の影響により、化学肥料原料の国際価格は大幅に上昇し、その結果、肥料価格が高騰しています。このため、先の9月定例会では、肥料価格高騰対策として、県は22億9千万円余の補正予算を編成し、農業者を支援している状況です。
 そうした中、現在注目されているのが下水道から排出される汚泥です。この汚泥には、窒素やリン等の栄養分が含まれることから、肥料化による農業利用に有効とされ、下水道資源とも言われています。また、2015年に施行された改正下水道法において、発生汚泥の処理に当たり、肥料等として再生利用するよう努めることが明文化されたところです。
 その後、国土交通省が2017年8月に策定した「新下水道ビジョン加速戦略」では、重点項目の1つとして「BISTRO(ビストロ)下水道」と称し、下水道資源の農業利用を推進すべきと明記されています。また佐賀市では汚泥の肥料化を2009年から開始しており、現在では発生汚泥の全量を肥料化する事業に着手しています。近年の肥料価格高騰に伴い、引き合いが急激に増えたとのことです。県内においても、下水汚泥ではないものの、大木町では浄化槽汚泥等を液肥化する事業を長年行っています。
 ただ下水汚泥は、ご存じの通り様々な性質の重金属等が混入するため、その処理を適正に行うことが大切です。その上で下水汚泥を本県としても貴重な資源として活用することは、持続的な資源の循環や、環境に配慮した農林水産業の推進といったSDGsや、本県が進めるワンヘルスの観点からも非常に重要ではないでしょうか。
 そこで以下、知事に3点質問致します。
 1点目に、本県が管理する下水道浄化センターの下水汚泥について、その処理の状況はどのようになっているのか、現状をお示し下さい。
 2点目に、SDGsやワンヘルス、肥料の安定供給につながる下水汚泥の肥料化について、知事はどのように認識しているのか、お聞きします。
 3点目に、本県の下水汚泥についてこれまで以上に肥料化を促進するため、本県が管理する下水道浄化センターの下水汚泥のさらなる肥料化や、市町村等管理の下水汚泥の肥料化促進を県も支援することについて、知事はどのように取り組まれるのかお聞きします。

 次に、教職員の働き方改革に資する公立学校の部活動指導の改善について教育長にお聞きします。
 教職員の働き方改革については、我が会派も度々教育長を質してきました。特に部活動顧問への就任は、土日も含め多くの時間を割かれ、大きな課題と指摘してきました。そのような中、教職員の働き方改革の一環として、部活動指導員制度が2017年度から開始され、来年度からは休日における地域移行が段階的に開始されます。
 そこで1点目に、部活動指導員及び休日の部活動の地域移行について、教職員の働き方改革の観点からどのように認識されているのか、お伺いします。
 次に、昨年12月定例会代表質問において我が会派の山本議員が部活動指導員について質した際、教育長は
「県立学校においては配置が進んでいない学校に対して、地域のスポーツ指導者をホームページ上で紹介するスポーツリーダーバンクの積極的な活用や、大学との連携などを指導する。」
「市町村教育委員会については、教育長会や指導主事研修会などで部活動指導員配置に関する好事例、優良事例について情報提供を行うとともに、配置していない市町村に対して個別の助言を行う」
と答弁されました。
 そこで2点目に、この答弁に基づき、県立学校、市町村立学校において、部活動指導員の配置状況や取組みは、その後どのように進んだのか、それぞれお答え下さい。
 3点目に、部活動指導員の役割は、大会や試合の引率、指導計画の作成など多岐にわたります。多くの現場では、それらを今も教員が受け持っている実態があると聞いています。県教育委員会として、必要な役割分担について、改めて適切な指導を行って頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。お答え下さい。
 さて、国の来年度予算案によると、中学校の部活動指導員の配置は、現在の約2倍が見込まれているようです。当然、本県においても、さらにその配置を進めるべきだと思います。
 そこで4点目に、県立学校においてはどのように増員していくつもりなのか、公立中学校においては、市町村教育委員会をどのように支援していくのかお聞きします。
 次に公立中学校における休日の部活動の地域移行について教育長に伺います。
 本件についても、教職員の働き方改革につながるものとして来年度より3ヶ年で段階的に地域移行を目指すこととなっています。
 そこで5点目に、休日の部活動の段階的な地域移行を、市町村が円滑に進めるため、県教育委員会はどのように取り組んでいるのか、また今後どう取り組んでいくのか、お示しください。
 さて、部活動の地域移行で必要となる多様な人材の多くは都市部に偏在しています。都市部ではない市町村や市町村教育委員会では人材の確保競争が激しくなるとも考えられますし、どうしても確保できない公立中学校が出てくることも考えられます。
 そこで6点目に、都市部ではない地域において、部活動の地域移行に向けた指導者の確保については、市町村域を越えた県教育委員会の支援、調整が重要と考えます。どのような支援や調整を行われるのか、方針をお聞かせください。

 次にニセ電話詐欺対策について、警察本部長にお聞きします。
 本県のニセ電話詐欺の被害額は、2017年の12億4千万円をピークに、2020年には3億9千万円へと大幅に減少しました。しかし、2021年の被害額は7億6千万円であり、今年に至っては、6月までの半年間で、昨年同時期比で2.3倍の3億9,230万円と更に増加しています。
 福岡県警の発表では、被害者全体の約8割が65歳以上の高齢者で、同様に被害者全体の約8割が女性とのことです。このニセ電話詐欺は、老後の蓄えとしてコツコツと貯めてきた、高齢者の預金を狙う卑劣な犯罪です。また、口座への振り込みや郵送、手渡しなどを被害者自身が行うことから、被害者が自責の念を強く持ち、場合によっては被害そのものを警察に言えないケースも多いとのことです。また、この犯罪は暴力団の資金源にもなっていると言われ、暴力団撲滅を掲げる本県にとっても、極めて憂慮すべきことだと思います。
 ニセ電話詐欺は、年末が最も被害が増加する時期でもあり、ニセ電話詐欺の撲滅に向け、取組みの強化を強く望む立場として、以下、警察本部長に3点、お聞きします。
 1点目に、近年の増加傾向について、その原因をどのように分析しているのか、また、この増加傾向に対して、県警としてどのような取組みを行ってきたのか、お聞きします。
 2点目に、過去5年間のニセ電話詐欺の検挙数について、被害状況と比較して、具体的にお示し下さい。またその状況についての警察本部長の認識をお聞きします。
 3点目に、今後の体制強化についてです。
 兵庫県警には「特殊詐欺特別捜査隊」が本年9月に発足しており、同様の組織は愛知県警、大阪府警にも設置されているとのことです。
 現在、本県でもプロジェクトチームを編成し、対策に当たっていることは承知していますが、兵庫県警のように、新たな隊を構築し、体制を強化すべきだと思います。この点について警察本部長としてどのように認識し、今後どのように取り組むのかお聞きします。

 最後に、私の地元、糟屋郡における主要渋滞箇所対策と通学路の安全確保についてお聞きします。

 福岡県交通渋滞対策協議会は、糟屋郡内の8箇所を『主要渋滞箇所』として公表していますが、このうち、新宮町上府交差点を除く、志免町の五斗蔵、大的、須恵町須恵中央、粕屋町の扇橋、長者原、門松、大隈跨道橋交差点の7箇所が県道の交差点です。つまり、糟屋郡では、県道の交差点で円滑な交通が阻害されており、県道の渋滞緩和が喫緊の課題であると強く感じています。私自身、毎日各交差点で清掃や街頭活動を行い、間近でその渋滞を目にしていますが、中でも粕屋町の門松交差点は平日・休日・時間帯を問わず、慢性的に渋滞し、ドライバーはもとより、沿線住民の生活に大きな支障が出ています。1日も早いバイパスの開通と渋滞緩和を望むところです。
 そこで1点目に、糟屋郡内において県が管理する7箇所の主要渋滞箇所に対する知事の認識をお聞かせください。その上で、門松交差点をはじめとした主要渋滞箇所対策にどのように取り組むのかお聞かせください。

 コロナ禍で配送需要が急増し、楽天などの大型物流倉庫が糟屋郡内、とりわけ福岡インター周辺に相次いで建設されています。それに伴い、大型トラックの通学路への流入も増加しており、保護者の方や地域の方から、更なる安全対策の徹底などの要望をお聞きしています。

  特に、粕屋町の大川小学校横を通る県道伊賀仲原線は、通学路であるにも関わらず、歩道がなく、車道も非常に狭いため、傘をさすと車両と接触してしまうこともあります。また、同県道とJR香椎線が交錯する伊賀踏切は、特異な形状で、踏切内に歩行者が通るスペースがなく、加えて踏切の前後で5方向から車両が侵入してくるため、非常に危険な踏切です。こうした状況に対して、地域の方や保護者の方が旗当番として、子どもたちの安全を守っておられますが、旗当番の大人もまた危険に晒されている状況です。警察による交通監視活動も実施されていますが、大型化、増加し続ける車両に対して効果は限定的であり、根本的な解決には繋がっていないと感じます。

 昨年6月の千葉県八街市の交通事故を受けて、県が学校、道路管理者、警察等と連携し実施した通学路の緊急合同点検において、要対策箇所とされた県内2,365箇所のうち、1765箇所については、本年3月末に対策が完了したことが公表されています。この対策は学校、警察などの関係機関等で対応した施策もありますが、大半は道路管理者のハード施策によるものと承知しています。

 そこで2点目に、昨年の通学路の緊急合同点検後の県管理道路における対策の進捗状況をお聞かせください。その上で、県道伊賀仲原線の緊急合同点検を踏まえた現在の対策状況をお尋ねします。また、併せて、この路線の今後の抜本的な対策についてもお聞かせください。