2022年(令和4年)12月定例県議会 報告 9

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 冨永芳行

答弁骨子
問 県独自の子どもの貧困の実態調査について
 子どもの貧困の実態把握のためには、貧困の世代間連鎖の観点から、子どもだけでなく、親の困窮状況についても把握する必要がある。そのため、ひとり親家庭の正規雇用の割合等、親の生活実態を反映する11項目を含めた26の指標によって、子どもの貧困の現状把握を行っているところである。
 また、子ども支援オフィスの相談記録からは、相談者の世帯月収や困りごとの内容に加え、子どもへの養育や不登校、ひきこもりなどの子どもが抱える課題等を分析している。相談件数も、コロナ禍において年間平均約1,300件と、コロナ禍前の約2倍に増えており、相談員が直接聞き取った記録の分析により、実態を把握できていると考えている。
 引き続き、これらの指標や子ども支援オフィスの相談内容の分析に加え、今後は、町村部に限らず、市部の実態も把握するため、県と市の自立相談支援機関の連絡会議を充実させて、その中で相談内容を共有し、施策の立案や充実に努めてまいる。

問 子どもの貧困対策の推進体制について

 子どもの貧困対策は、子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、全ての子どもが心身ともに健やかに育成され、その教育の機会均等が保障され、子ども一人ひとりが夢や希望を持つことができることを目指している。来年4月施行の「こども基本法」においても、子どもの貧困対策はこども施策に必ず盛り込むべき要素とし、他の施策と相まって総合的かつ一体的に推進するとされている。
 県は、こども施策の推進について、こども施策を一元的に策定実施する「こども家庭庁」、及び、「こども家庭センター」を設置して住民の皆様に総合的・一体的にこども施策を提供する市町村のカウンターパートとして、新たな課を福祉労働部に新設し、県内どの地域にあっても、健やかな成長に対する切れ目ない支援が受けられ、こどもの意見が尊重されることを推進することによって、「こどもまんなか社会」を目指したいと考えている。
 同課において、福祉労働部内をはじめ数多くの地域の社会資源とのつながりを生かし、医療、保健、福祉、教育、療育等の多分野にわたる「県こども計画」の策定の総合調整や、こどもの貧困問題、家庭・学校以外のこどもの居場所づくりなど、近年のこどもを取り巻く新たな部局横断的な課題にも機動的に対応してまいる。

問 子どもの意見の反映について

 当事者である子どもの意見を反映するためには、例えば、小・中学校や子ども食堂、児童福祉施設における意見交換や、子どもや若者にとって身近なSNSを活用した意見聴取などの方法が考えられる。
 子どもが意見を言いやすい雰囲気や場を設定し、子どもの年齢に応じた聴き方を工夫することが必要になると考えている。今後、様々な環境、年齢の子どもたちから、どのように幅広く意見を吸い上げ、こども計画の策定に反映していくのが良いのか、その方法をよく検討してまいる。

問 送迎バス等を運行している認可保育所の実態及び送迎バスの必要性について

 今年の9月に実施した調査では、937園中84園において、バス等による送迎を行っており、その割合は、9.0%となっている。
 保育所におけるバスの送迎は、保育所の設置場所等それぞれの状況を踏まえて、保育外のサービスとして、必要に応じ実施されているものと認識している。

問 送迎に対する公的支援について

 核家族化の進展や共働き家庭の増加に伴い、子どもを保育所に預ける家庭の割合は高くなっており、地域の交通事情などによっては、子どもの送迎サービスが必要な方もいらっしゃると思う。県内の市町村では、国の補助制度を活用し、通園バスの運営を行い、複数の保育所へ園児を送迎している例もある。また、地域において育児援助を行うファミリーサポートセンター事業には、有償ボランティアによる送迎サービスもある。
 今後、通園バスの利用実態や市町村の支援状況について調査を行い、調査結果やただいま申し上げたような支援制度について、市町村や保育所に対し、情報提供してまいる。

問 県が管理する下水道浄化センターの下水汚泥の処理状況について

 県では、7か所の下水処理場を供用しており、1日あたり約200トンの下水汚泥が発生し、その全量を有効利用している。
 その処理状況についてである。御笠川浄化センターにおいては、下水汚泥の固形燃料化施設を有しており、生成した燃料を火力発電所に売却し、売却益を運営費に充てている。その量は、下水汚泥全体の約44パーセントに当たる。それ以外の下水汚泥は、産業廃棄物として処理料を支払い、処理施設に引き受けてもらっている。その内訳は、セメント工場でセメント原料としているのが約34パーセント、肥料化施設で肥料の原料としているのが約22パーセントとなっている。

問 下水汚泥の肥料化に関する認識について
 国においては、下水汚泥が燃料や肥料として利用が図られるよう、平成27年に下水道法を改正した。これは、再生可能エネルギーの導入加速化や、循環型社会の形成を目指す趣旨である。
 県としては、下水汚泥の肥料化による廃棄物の削減や資源循環は、SDGsの目標の1つである「つくる責任つかう責任」や、ワンヘルス推進行動計画の柱の一つである「環境保護」につながり、併せて肥料の安定供給にもつながるものと認識している。

問 下水汚泥の肥料化の促進について

 県の浄化センターにおいては、下水汚泥が日々大量に発生することから、安定的に受け入れが可能な大規模な肥料化施設が必要だが、現在、県内には1箇所しかなく、受け入れ可能量も限られている。今後も、当該施設と緊密な協議を行って受け入れ可能量を確認していくとともに、その他の小規模な施設についても、受け入れ可能量の動向を注視してまいる。
 市町村においても下水汚泥の全量を有効利用しており、全体の約10パーセントが肥料の原料として活用されている。県としては、実務担当者会議等において、先進事例の紹介や情報交換を行っていくとともに、今後、市町村からの肥料化の促進に向けた相談に対し必要な助言を行ってまいる。