2023年(令和5年)2月定例県議会 報告 2

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 岩元一儀

 まず、新年度予算案についてお聞きします。

 新年度予算案は、過去最大の規模となった2022年度当初予算と比べ446億円、率にして2.1%増と過去最大を更新する2兆1,975億円となり、2月補正予算案、そして12月補正予算も含めた16か月予算として位置づけられています。

 我が会派は、これまで働く人たちの生活を支える施策の充実を訴えてきました。知事は昨年12月の定例会での予算編成方針の質問に対し4項目を挙げられました。そのうち人財育成、世界から選ばれる福岡県、成長産業の育成は、正に活躍する労働者、また就業の場の拡大につながり、将来に向かって持続的に本県が発展を目指していくものと理解できます。本定例会に提案された新年度予算では、具体的にその内容に取り組んでいく強い知事の姿勢を明らかにされたものとして評価するものです。
 また「人財育成」を重要視する知事らしく、1,000億円の人づくりをはじめて標榜し、出産・子育て安心基金121億円を創設するとともに、子ども・子育て分野では多くの新規予算が見られます。
 そこで1点目に、「1,000億円の人づくり」の狙いを中心に、本年度予算案に対する知事の思いを披瀝下さい。

  評価する新年度予算ではありますが、我が会派がこれまで質してきた内容について質問をしていきたいと思います。

 まず、財政改革プランとの関係についてお聞きします。

 新年度予算案における財政改革プランの達成状況を見ると、県債残高、財政調整基金等三基金残高ともに2023年度末の見込みを大幅に超えており、特に三基金残高は、来年度末で財政改革プランの目標を101億円も超える638億円にまで膨らんでいます。
 この三基金残高については、2026年度末で516億円を確保する、となっており、目標年度を待たずして目標を達成した上に、これまで声高に訴えていた三基金を取り崩さない財政運営はもちろん、プラン以上に積み増すこともできたことになります。
 そもそも基金は、地方自治法において特定の目的のために設けられるもので、確実かつ効率的に運用することが義務付けられており、ただやみくもにためればよいものではありません。また、財革プランにおける基金目標も「経済の急変による税収減や災害発生時の緊急的な支出などに対応するため」と、複雑化した要因を加味した結果の数字となっています。また、もし出産・子育て安心基金への積立分100億円がなければ、実質は201億円が積み増せたことになります。
 その上、財革プランにおける県税等の歳入見通しは9,227億円となっていたものが、9,833億円と606億円もの収入増になっているほか、様々な予算でも大幅な差異が生じており、「2022年度以降、財源不足額が増加し、厳しい財政状況となることが見込まれる」という予想も、覆しています。

 そこで2点目に、目標額を大幅に超える三基金を積み増した理由についてお聞きします。

 3点目に、昨今の経済情勢も鑑み、財革プランの大幅な見直しを早急に行うべきだと思いますが、知事はどのように取り組むのかお聞きします。

 次に県行政の事務事業の見直しと、県職員の増員についてお聞きします。

 2022年3月に行われた予算特別委員会において、我が会派の佐々木允県議が、県職員の時間外勤務について質しています。その中で、コロナ対応や災害対応等、例外業務に該当しない業務に従事した知事部局の県職員のうち、実に1割超が、規則違反となる月45時間の上限を超えた労働を強いられていたことを明らかにし、知事も「できる限り速やかに解消する必要がある」と述べています。
 県職員は長引くコロナ禍によって多くの業務に追われ、心身ともに疲弊しています。また行政需要は今後も複雑化、多様化するのは確実であり、長く行ってきた職員削減を前提とした財革プランの弊害がここで顕在化してきています。
 そこで4点目に、今年度、例外業務に該当しない通常業務での時間外勤務の縮減にどのように取り組んできたのか、またどのような結果となったのかをそれぞれお示し下さい。その上で、それらについての知事の認識をお聞きします。

  予算執行における職員配置の在り方についてです。人事配置は当初予算の事務事業を基本とされています。事業の翌年度への繰越しが確実に見込まれる場合は、これの人事配置の算定に加えられると聞いていますが、国等の補正予算に対応するため事務事業が増える部署では、その内容がもともと人事配置に算入されていないため、一人当たりの事務量が増えるという問題があることを指摘しておきます。

  財革プランでは、事務事業の廃止・縮小・効率化について「不断の見直しを行う」としていますが、果たして不断の見直しが行えているのでしょうか。
 服部知事が初めて編成した2022年度予算では、新規事業が85に対して、廃止されたものは27、新年度の計画では新規が71、廃止が44と、2年で事務事業が85も増えています。この傾向は服部知事就任以前からも続いており、2019年度は36増、2020年度21増、2021年度31増を加えると、この5年で173事業も増えています。
 事務事業が終了したもの、完了したものまでを加味すると全体では減少傾向となるものの、職員にとって全く経験のない新規事業を行うのは新たに大きな負担を強いることになります。
 これに対し、直近までの知事部局の職員数は、2019年度7,564人、2020年度は7,542人、2021年度は7,479人と減少しています。
 そこで5点目に、県職員については今後の定数について言及されていませんが、現在の財政状況や多様化し、複雑化する行政需要に的確に対応するため、増員を基本とした計画を新たに策定すべきではないでしょうか。この点について知事の認識と今後の取組みをお聞きします。

 次に、公共事業予算のうち県単独公共事業費についてお聞きします。
 我が会派は、毎年のように発生する自然災害の予防措置として、県単独公共事業費については、毎年の一律2%削減の撤廃を訴えてきました。
 そういった中、来年度予算案を見ると、県単独公共事業費は昨年度に比べ微増した状況となっています。大幅な基金増を果たした今、この一律的な抑制はもはや行う必要はなくなったのではないでしょうか。
 そこで6点目に、この単独公共事業費の一律的な2%程度抑制は、財政状況の好転や災害対応へ的確に対応するため、中止、もしくは一時中断をすべきではないでしょうか。お答え下さい。