2023年(令和5年)2月定例県議会 報告 5

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 岩元一儀

 次に、生活困窮者への対策、包括的な支援体制の強化についてお聞きします。

 先ほど申し上げたように、物価高や賃上げが進まない状況が続くとなると、生活困窮者への支援が重要になるのではないかと思います。

 早期に支援を行うにあたり、支援機関は生活困窮者が「窓口に来ることを待つ」のではなく、こちらから出向くようなアウトリーチによることが必要ではないかと思います。
 まず1点目に、支援機関におけるアウトリーチの取組みは十分だとお考えでしょうか、知事にお伺いします。

 また、生活困窮者が抱える課題が複雑化・複合化する中では他の支援制度の活用や、生活困窮者、子ども、障がい者など属性を問わない包括的な支援の提供も必要となってくると思います。
 そこで重層的支援体制整備事業についてお聞きします。これは2021年度から始まった制度で、市町村において、地域住民の複合・複雑化した支援ニーズに対応する断らない包括的な支援体制を整備するため、①相談支援、②参加支援事業、③地域づくり事業を一体的に実施するものです。
 この事業の中に、先ほど述べた本来支援が必要な方々にアプローチを図るため「アウトリーチ等を通じた継続的支援事業」があります。具体的には、地域の関係機関や住民とのつながりの中から、早期に支援の対象者となりえる方の情報を把握し、支援につなげていく取組です。
 この重層的支援体制整備事業については、確かに昨年度から始まったとはいえ、ほとんどの自治体で行えていない現状があるとお聞きしています。
 知事は「誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県」づくりを標榜しています。まさに、この言葉を一番求めているのは、コロナ禍で厳しい状況におかれた生活困窮者やひきこもりの方々ではないでしょうか。
 そこで2点目に、この重層的支援体制整備事業の市町村における取組状況をお示しいただくとともに、この事業をはじめとする包括的な支援体制の必要性について、知事の認識をお聞きします。
 3点目に、今後、広域行政を担う立場として、市町村における包括的な支援体制が早期に整備されるよう、どのように支援していくおつもりなのか、お聞きします。
 
 次に、国民病となっているスギ、ヒノキの花粉症発生源対策について伺います。


 本件については、我が会派の代表質問や一般質問で、花粉症対策として少花粉スギへの植替え促進についてたびたび質してまいりました。

 少花粉スギとは、花粉量が一般のスギと比べて1%以下と優れたものです。
 全国知事会も「花粉発生源対策推進プロジェクトチーム」を立ち上げ「花粉発生源対策の推進に向けた提案・要望」を林野庁に提出するなど、花粉症対策に本格的に取り組んでいるところです。
 本県の状況を見ると、昨年の2月定例会における我が会派の代表質問において、スギの少花粉苗木が必要量の7割に相当する約56万本まで拡大し、国の掲げる目標水準に達したこと、植栽はスギ全体の約5割に相当する103㌶まで増加したことを答弁されています。
 しかし、花粉症で悩む県民の願いは、新規に植栽される全ての杉が少花粉スギになることだと思います。
 さらに、言うまでもなく、花粉は県内に留まらず、県境を跨いでやってきます。花粉症対策は広域的な連携は不可欠であり、ぜひその取り組みを早期に実施してほしいと思っています。
 知事は、年頭のあいさつにおいても、福岡県を「九州のリーダー県」と標榜しています。ぜひ、花粉症対策においても、リーダー県として、他県をけん引して頂きたいと思っています。
 そこで1点目に、新規に植栽される杉において、少花粉スギへの植替えを積極的に進めるべきと考えますが、知事はどう認識しているのか、現在の取組状況も含めてお聞きします。
 併せて、花粉発生源対策における広域連携について、どのように取り組んでいるのか、お答えください。

 2点目に少花粉ヒノキについてお聞きします。

 スギ花粉と同じく、ヒノキ花粉も花粉症の大きな原因となっています。
 私は、2014年2月定例会でも少花粉ヒノキの苗木の育成と本格的な植林について要望しました。その際に、当時の小川知事は「2012年に親となる苗木を圃場に植栽し、この苗木から挿し木(さしき)が十分にとれるまで10年程度かかる」と答弁されています。
 2023年になり、おおよそ10年が経過したわけですが、未だ県内での植栽はされていないとのことです。
 そこで、少花粉ヒノキの苗木の生産はどのような状況なのか、今後の取組も含めお答え下さい。
 知事の花粉症に悩む多くの方々に寄り添った答弁を求めます。 
 
 次に、県立高校における定員内不合格問題についてお聞きします。


 定員内不合格とは、募集定員に対して出願人数が満たない場合でも、不合格者を出す、というものです。本件については、2014年2月定例会の代表質問において定員内不合格の是正を質したところです。

 文部科学省が2022年8月に行った「高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査」における定員内不合格についての調査に関し、県教育委員会は「定員内であれば、原則不合格は出さないこととしている」と回答しています。
 しかし、本県の県立高校について、相当数の定員内不合格が発生しているとお聞きしています。そもそも、公立学校である県立高校は、生徒の学習環境の保障が大きな使命であり、定員内不合格の発生は、大いに憂慮すべきことだと思います。

 以上の観点から、教育長に5点お聞きします。
 1点目に、定員内不合格に対する基本的な考えについて、教育長の見解をお聞きします。
 2点目に、本県の定員内不合格はどのようになっているのか、全国との比較も含め、現状をお示し下さい。
 3点目に、県立高校においてどういう生徒が定員内不合格者として扱われてきたのか、お聞きします。

 さて、昨年4月21日の参議院文教科学委員会において、文部科学省は定員内不合格について言及しています。具体的には「定員内不合格を出す場合には、学校長、あるいは設置者である教育委員会としてその説明責任を徹底し、そうした理由について十分に説明をして理解を得るということが肝要である」と述べています。
 そこで4点目に、本県の定員内不合格について、学校長や県教委はどのように説明責任を果たしたのか、その説明責任は十分だったと言えるのか、それぞれお答え下さい。
 5点目に、他県の事例を見ると、定員内不合格が全くない県も相当数見受けられます。そこで公立学校という役割に鑑み、本県も定員内不合格については、廃止すべきだと思いますが、教育長はこの点、どのように取り組むのか、お聞きします。

 次に、県立高校における入学者選抜における合理的配慮についてお聞きします。


 そもそも合理的配慮とは、障がいのある方の人権が障害のない方々と同じように保障されることで、2016年4月に施行された障がい者差別解消法には合理的配慮を可能な限り提供することを行政等に求めています。

 入学者選抜における合理的配慮の例としては、読み書きに困難がある生徒の場合、試験問題において文字の拡大などを行うこと、回りの刺激に敏感で集中し続けることができない生徒の場合、仕切りのある机を用意したり、別室でテストを受けられるようにすることなどがあげられます。
 このような合理的配慮が必要な児童生徒は、近年大幅に増えており、入学者選抜においても、同様に合理的配慮を強く求める声が上がっています。
 本県の受検における合理的配慮の歴史は長いものがあります。具体的には、1986年、自分で文字が書けない脳性麻痺の中学生の受検に際して、当初、県教委は代筆受験を認めないとしていましたが、同級生の署名活動やマスコミ報道によって認める形に変わり、結果県立高校を受検し合格を果たしました。
 また、昨年の12月、文部科学省は「高等学校入学者選抜における受検上の配慮に関する参考資料」として、障がいのある生徒に対する入学試験等における受検上の配慮を、詳細に例示しています。

 そこで以下5点、教育長に質問致します。
 1点目に、入学者選抜における合理的配慮の必要性についての基本的認識をお聞きします。
 2点目に、過去の入学者選抜において、合理的配慮に基づいた入試をどのような形で実施されたのか、その人数も含めてお示し下さい。また合理的配慮がなく、結果として受検できなかった事例はないのか、お聞きします。
 3点目に、文部科学省が示した「受検上の配慮に関する例」に則った(のっとった)入学者選抜を今年度は十分行える予定なのか、お聞きします。
 4点目に、受検上の合理的配慮については、中学校の教員や生徒、または保護者に十分周知されず、結果として受検をためらう生徒も相当数いるのではないかと思われます。そこで、こういった事例をなくすために、県教委として、どのような取組みを行っていくのか、お聞きします。

 5点目に、特に昨今、不登校傾向の中学生が、この10年で4,031人から7,710人と1.9倍に増えています。一方で県立高校の受検の現状は、出席日数を過度に意識した形になっています。
 その結果、学校に通えていない生徒の進路保障が不十分となっている現状が見受けられます。こういった生徒のほとんどは、私立高校へ進学している状況だとお聞きしています。
 他県の事例をみると、欠席日数が多い場合の事情を自己申告書に記入して提出することで評価の際に配慮している事例も見受けられ、こういった取組みも必要なのではないでしょうか。
 そこで、不登校生徒の進路保障の観点から、調査書のあり方の見直し、特に出席日数に過度に頼らない受検の方法について、教育長はどのようにお考えで、今後どのように取り組むのかお聞きします。

 次に県立高校魅力化、とりわけ普通科高校の改善、改革についてお聞きします。

 本件については、昨年2月定例会の代表質問において、教育長を質したところです。その際、教育長は、県立高校活性化のための推進体制と取組みの見直し、学科、入学者選抜、広報活動の在り方などの課題の検討などを言及されています。

 そこで1点目に、その後の取組の成果はどのようになっているのか、またその成果をもとに、さらにどのような体制を構築し、取組みを加速させていくのか、お聞きします。

 2点目に、中央教育審議会答申における普通科高校改革についても、昨年2月定例会において、特色のあるコースの設置などについて言及しています。そういった中、普通科改革支援事業の採択校として、本県では県立八幡高校が指定校となっています。
 そこで、八幡高校を申請した経過や狙い、そして具体的な事業内容について、それぞれお示し下さい。

 3点目に、普通科高校の魅力化のさらなる取組みについてお聞きします。八幡高校の一般入試の直近の志願倍率は1.34倍と堅調です。本来であれば、魅力化については、八幡高校のような志願倍率が堅調な高校ではなく、定員割れが続く高校にこそ優先して取り組むべきだと思います。今後の取り組みの拡大について、どのように行っていくのか、お聞きします。