2023年(令和5年)2月定例県議会 報告 7

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 岩元一儀

答弁骨子
問 来年度予算案に対する知事の思いについて
○ 来年度も、県民の皆様の命と健康、生活を守ることを最優先に取り組む、このことは変わらない。

  •  その上で、閉塞感を打破し、国内外から投資、企業、人材を呼び込み、地域の活力基盤をさらに強固なものにするとともに、県としても、人や経済、社会にしっかりとした投資を行い、未来を見据え、福岡県を「成長・発展」に向けて加速前進させていきたい、こうした思いから3つの柱を掲げ、予算を編成した。

○ まず、「1000億円の人づくり」である。

  •   本県の発展を担うのは「人」である。子どもたちの学びや体験の機会の充実を図るとともに、失敗を恐れず、留学、スポーツ、芸術、起業など、夢に向かって挑戦する若者を応援する「未来を担う人づくり」、半導体分野などで活躍するテクノロジー人材や稼げる農業を目指す経営感覚に優れた農業人材などの「経済成長を支える人づくり」に取り組む。
  •  女性活躍の推進、高齢者や障がいのある方の就業機会の確保など、県民一人一人が「いきいきと輝く人づくり」や医療、介護、保育人材の育成・確保など「社会を支える人づくり」にも力を入れてまいる。
  •  私は、知事就任以来、一貫して、「人財」の育成を重視してまいった。こうした「人財」の育成に1000億円を超える予算を計上するなど、人への投資を重視するという本県の姿勢を県民の皆様にわかりやすくお示しし、本県の社会経済、そして未来を担う人材を育ててまいりたいと考えている。

○ 次に、「県内GDP20兆円への挑戦」である。

  •  県内実質GDPは、平成30年度に19.9兆円まで成長したが、その後、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減などにより減少した。令和2年度は、確報値はまだ出ていないが、新型コロナの影響により大きく落ち込むことが見込まれる。
  •  20兆円を達成することは容易ではないが、私は、この20兆円への挑戦という旗を掲げることにより、県内市町村、そして企業の皆様と力を合わせ、本県の経済を牽引する産業を育て、成長・発展の歩みを前進させてまいる。
  •  官民で全力で取り組むことでその効果を年々高めていき、20兆円を達成し、未来につながる経済成長を実現してまいる。

○ 第3に、「安全・安心で活力ある社会づくり」である。

  •  新型コロナ対策、物価・エネルギー高騰対策、災害からの復旧・復興、県土強靱化を推進し、県民の皆様の命と健康、生活を守る。新型コロナのような人獣共通感染症に対処していくためにも、引き続きワンヘルスの推進に取り組み、世界的先進地を目指してまいる。
  •  また、喫緊の課題である、子どもを安心して産み育てることができる地域社会づくりを積極的に推進する。
  •  そして、ジェンダー平等の推進、障がいのある方の自立と社会参加を支援する取組を進め、年齢、性別、障がいの有無に関わらず、誰もがその能力を発揮できる社会を目指す。
  •  さらに、スポーツ・文化芸術の振興、健康づくりを推進するほか、「FUKUOKA IS OPEN」を合い言葉に、世界に向けた発信と交流などを推進してまいる。

○ このようにして、県民の皆様と手を携えて未来への扉を開き、本県を九州のリーダー県として、さらに飛躍・発展させ、県民の皆様が安心してたくさんの笑顔で暮らせる福岡県にしてまいる。

問 財政改革プランの目標額を大幅に超えて財政調整基金等三基金を積み増した理由について
○ 今年度、地方消費税や法人事業税など県税収入は予算に比べ大幅に増加する見込みであり、これに、これまでの財政改革プランの改革措置の効果も相まって、三基金につきましては、「出産・子育て安心基金」設置のための100億円の取り崩しを行い、収支均衡を図るための取崩し26億円を解消した上でなお、105億円の積立てを行うこととしている。
○ その結果、三基金残高は、令和5年度末で、プランの見込額を101億円超える638億円となる見込みである。

  •  これまでの県財政の運営においては、経済情勢の変化による県税の大幅減収や国の地方財政対策の取扱いなどによって、収支がひっ迫し、基金が枯渇して財政再建団体に転落する恐れが生じたことから、3度にわたる時限的な職員の給与カットや県民サービスの圧縮などの措置を行わざるを得ない状況となったこともあった。
  •  今後こうした緊急的な措置を講じることなく、財政運営を行うため、少なくとも必要と考えられる三基金の残高をプランで目標としてお示しているところである。

○ 今後、海外景気の下振れや物価上昇などの経済急変に伴う税収減や、災害発生時の緊急的な支出、社会保障費及び公債費の増嵩などに備え、三基金残高をできる限り確保しておく必要があり、このため、三基金の積立てを行うこととしたものである。

問 財政改革プラン2022の見直しについて
○ 高齢化の進行に伴う社会保障費や県債償還のための公債費が増大する中、社会経済情勢の変化に的確に対応し、県民が必要とする行政サービスを提供し続けるには、事務事業の不断の見直しを行うとともに、産業を育成し、税源の涵養を図るなど、歳入・歳出両面の努力によって財源の確保に計画的に取り組む必要がある。
○ このため、昨年度策定した財政改革プラン2022においては、財源不足額を解消しつつ、経済急変や災害発生などへの財政対応力を持つことを目指し、プランの最終年である令和8年度末において、

  • ・ 県債の通常債残高を500億円程度圧縮すること
  • ・ 財政調整基金等三基金の残高を400億円から500億円確保すること

を目標としている。

  •  まだプランが始まって初年度であり、現段階で、先程申し上げた今後の様々な事態の変化を予測することは困難である。
  •  このことから、引き続き、令和8年度の目標を達成することができるよう、様々な改革努力を行っていくことが重要であると考えている。


問 通常業務での時間外勤務縮減の取組について
○ 通常業務における時間外勤務の上限規制を遵守するため、これまでの取組に加え、今年度から

  • ・ 各所属に責任者を指定し、責任者は時間外勤務の状況を把握し、限度時間である月45時間を意識したマネジメントを行う
  • ・ 係員の時間外勤務が月30時間を超えた段階で、係長は責任者に報告するとともに、係員との面談を行い、業務分担の見直し等の必要な措置を講ずる
  • ・ 人事課は、限度時間を超えた所属の責任者に対するヒアリングを実施し、助言を行う

等の新たな取組を行っている。
○ 取組開始後の3か月間では、限度時間を超える時間外勤務を行った職員数は、前年度より2割減少した。しかし、コロナの第7波が到来した7月以降、自身や家族の感染により長期間休務せざるを得ない職員が急増する中で、原油高騰対策などの補正予算編成や鳥インフルエンザの発生なども重なり、12月までの9か月間では、限度時間を超えた人数は前年度とほぼ変わらない状況となった。
○ こうした特殊な要因に加え、コロナ本部への職員派遣も続いており、限度時間を超過した時間外勤務の縮減が進んでいない結果となっているが、できる限り速やかに解消する必要があると認識している。

  •  このため、時間外勤務のマネジメントをさらに着実に実施するとともに、時間外勤務縮減に全庁挙げて取り組んでまいる。


問 増員を基本とした計画の策定について
○ 県では、5年ごとに策定する行政改革大綱を職員数に関する計画として位置付けているが、昨年3月に策定した新たな大綱では、職員数についての数値目標は掲げず、複雑・多様化する行政課題に適切に対応するための人員を確保していくこととした。
○ 職員配置にあたっては、不断の行財政改革の取組を通じ、常に効率的な人員体制の整備に努めていかなければならない。
 このため、

  • ① 当初予算編成における事務事業の見直し
  • ② デジタル技術を活用した業務の効率化
  • ③ 仕事の進め方の見直しなど働き方改革の推進
  • ④ 2年間で5,000件を超える提案があった、30代以下の若手職員による「業務量の削減につながる見直し」の積極的な採用

などの取組により、業務を減らし、職員の負担を軽減するよう努めてまいる。
○ 同時に、増加する児童虐待に対応する児童相談所や、新興感染症対策に取り組む保健所をはじめ、強化すべき分野に対しては重点的な職員配置を進めてまいる。
○ 県としては、こうしたスクラップアンドビルドの取組により、適正な職員配置に努め、複雑・多様化する行政課題に対応してまいる考えである。

問 県単独公共事業費について
○ 財政改革プラン2022では、県債残高の圧縮を図るため、景気・雇用情勢及び公共事業全体の規模等を勘案した上で、県単独公共事業費を毎年度2%程度抑制することとしている。
○ 5年連続で被災した災害からの復旧・復興の財源として多額の県債を発行しており、今後、その償還による公債費の累増が見込まれるなど、県財政を取り巻く環境は依然厳しく、プランに掲げた対策を着実に実施することが必要であると考えている。
○ 引き続き、財源面でより有利な補助・交付金事業をできるだけ活用することにより、必要な事業規模を確保してまいる。

  •  令和5年度予算においては、補助・交付金事業の確保と県単独公共事業の重点化を行い、防災・減災・県土強靱化をはじめとした緊要な公共事業をしっかり実施してまいる。