2023年(令和5年)2月定例県議会 報告 8

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 岩元一儀

答弁骨子
問 定年引上げ期間の教員の退職者数について(教育長答弁)
○ 現在、小中学校及び県立学校に在籍している教員の年齢構成及び過去3年間の早期退職者等の人数に基づき推計すると、定年退職者がいる年度は1,200人から1,500人程度、定年退職者がいない年度は600人から800人程度で推移すると見込んでいる。

問 小中学校教員の採用状況について(教育長答弁)
○ 採用試験の志願者の減少や採用辞退により、小中学校については、令和2年度から採用予定者数を確保できない状況となっており、令和2年度は採用予定者数950人に対して採用者数903人、令和3年度は950人に対して896人、令和4年度は950人に対して840人となっている。

問 定年引上げ期間における教員採用の方針について(教育長答弁)
○ 採用予定者数については、退職者や再任用者の人数、児童生徒数の変動に伴う定数の増減などを考慮して決定しているが、定年引上げにより減少が見込まれる年度であっても、前年度に採用できなかった人数を上乗せすることを含め、安定的に募集枠を確保し、可能な限り新規採用したいと考えている。

問 教員の定年引上げへの対応について(教育長答弁)
○ 定年引上げにより、豊富な知識・経験等を持つ高齢期の教員に最大限活躍していただけるよう、多様な働き方のニーズに応えつつ、安心して働ける職場環境の整備に努める必要があると考えている。
○ このため、対象となる教員が、制度の内容を十分に理解した上で、60歳以降の働き方を決定できるよう、新たに、60歳となる前年度から、勤務形態や給与等の取扱いについて、きめ細かく情報提供し、勤務の意思を確認することとしている。
○ また、より多くの教員が、定年まで健康でやりがいを感じながら働くことができるよう、業務の効率化など働き方改革の取組を進めるとともに、管理職による日常的な健康管理やメンタルヘルス対策など、労働安全衛生の確保にも努めてまいる。

問 荒井前首相秘書官の発言について
○ 報道に接したとき、政府の中枢にあって首相を補佐する責任ある立場の方があのような発言をしたことに、大変驚いた。

  •  今回の発言は、性的少数者の方々の尊厳を深く傷つけるものであり、また、差別や偏見を助長することにもつながりかねず、決して許されないものと考えている。


問 パートナーシップ宣誓制度で利用可能な民間サービスの拡大について
○ 県では、これまで、直接、県内の医療機関、不動産業者、金融機関を訪問するとともに、日本青年会議所の福岡ブロック会議など民間事業者が集まる場において、制度の周知とサービス提供の働きかけを行った。
 私自らも、昨年5月の福岡県商工会議所連合会総会において、働きかけを行った。
○ 具体的には、

  • ・ この制度は、性的指向や性自認にかかわらず、人生を共にしたい人と安心して生活できる福岡県の実現を目指して開始したこと
  • ・ 宣誓されるカップルには、県庁において、職員の面前で宣誓を行っていただき、県は本人確認など必要な確認を行って、宣誓書受領証カードを交付していることを

丁寧に説明した上で、協力をお願いしているところである。
○ これらの働きかけに加え、来年度は、県内4地域において、保育所や幼稚園なども対象として、幅広い分野の事業者に向けたセミナーを開催する。

  •  セミナーでは、性的少数者に関する県内事業者の先進事例を紹介しながら、当事者の目線から事業者で行ってほしい取組や、こうした取組が企業イメージの向上につながるといったメリットも知っていただき、性の多様性に関する事業者の理解促進、サービスの拡大を図ってまいる。

○ 民間サービスの拡大については、令和6年度までに、当事者からの要望が強い医療や賃貸住宅・住宅ローン関係のサービスが、福岡県広域地域振興圏域の15圏域全てで提供されることを目標としている。

問 県内市町村及び他県との連携について
○ 県では、昨年8月、市町村説明会を実施し、パートナーシップ宣誓制度で利用可能な行政サービスを提供いただけるよう働きかけを行った。

  •  また、市町村が提供可能な行政サービスの情報をとりまとめ、全ての市町村にこれを提供し、検討を働きかけることで、更なるサービスの堀り起こしを行っているところである。

○ 私自らも、昨年4月の市長会総会、今月開催された町村長セミナーにおいて、市町村長に対し働きかけを行った。
○ 現在、34市町村から公立病院での病状説明、公営住宅の入居申込、保育所送迎などの行政サービスを提供していただいている。

  •  今後は、まだ行政サービスを提供していただいていない市町村に個別に働きかけを行い、来年度中に、全ての市町村において提供していただけるよう取り組んでまいる。

○ 他県との連携については、制度を利用される方の負担軽減、利便性の向上を図るため、今年1月から隣県の佐賀県との連携を開始した。

  •  現在、本県と人の往来の多い東京都と大阪府に働きかけている。また、九州内の複数の県でも検討が行われていると聞いているので、今後制度が導入された県に対し働きかけを行い、連携拡大に取り組んでまいる。

○ パートナーシップ宣誓制度については、これまで45組のカップルの方が宣誓(2月27日現在)されており、宣誓者の方からたくさんの喜びの声をいただいている。

  •  今後も、性的少数者の方々の意見や要望をお聞きしながら、制度の充実を図り、誰もが安心してたくさんの笑顔で暮らしていける福岡県を目指してまいる。


問 困難女性支援法に対する認識について
○ この法律は、近年の女性をめぐる課題が複雑化・多様化・複合化している状況を踏まえ、支援の根拠を「売春をなすおそれのある女子の保護更生」を目的とする売春防止法から脱却させ、先駆的な女性支援を実践する民間団体との協働の視点も取り入れた新たな支援の枠組みの構築を図るものである。
○ また、国、地方公共団体が必要な施策を講じる責務が明記され、都道府県における基本計画の策定義務や市町村基本計画策定の努力義務など、県や市町村の役割が新たに盛り込まれている。

  •  この法律に基づき、地域の実情に合った支援を県、市町村、民間団体等が連携し、しっかり進めていくことが重要であると認識している。


問 困難女性支援法に基づく県の来年度の取組について
○ 県では、来年度、困難女性支援の基本的考え方や支援内容、関係機関との連携体制などを盛り込んだ基本計画を策定するとともに、支援体制を構築することとしており、今議会に、それらの関連予算をお願いしているところである。
○ 基本計画の策定に当たっては、困難女性をめぐる現状や課題を踏まえた支援の在り方を検討するため、官民の支援機関で構成する検討会の開催や民間団体へのヒアリング調査を実施することとしており、これらを通じて、第一線で困難女性支援を行っている方々に、当事者の声も含め意見を伺ってまいる。
○ また、県内には、困難女性に対する街頭での声掛けやSNS相談といったアウトリーチ支援、DV被害者等を保護するシェルターの運営などを行っている民間団体があり、こうした団体が相互に連携し、様々な支援が円滑に進むよう、団体間の意見交換の場も設置してまいる。

問 留学生の就職に関する分析について
○ 県内で学ぶ留学生数は、東京都、大阪府に次いで、全国第3位で、これは、

  • ・ 九州大学をはじめとする県内の大学や専門学校が留学生を積極的に受け入れてきたこと
  • ・ 多くの日本語学校が立地していること
  • ・ 本県が全国に先駆けて設立した産学官の連携組織「留学生サポートセンター」において、積極的に留学生誘致を行ってきたこと

によるものであり、本県が日本の主な留学先として評価されていると考える。
○ 一方、留学生の就職者数については、全国の状況をみると、各都道府県の事業所数や従業員数に応じた比率になっている。

  •  例えば、本県は、留学生の就職者数の全国シェアが3.9%で、事業所数、従業員数は約4.0%である。また、留学生数が全国第4位の京都府は、就職者数は第11位でそのシェアは2.0%であり、事業所数、従業員数とほぼ同水準となっている。さらに全国第5位の兵庫県についてもほぼ同じとなっており、いずれも企業の受入れ規模に応じた就職者数となっている。

○ 県内留学生の就職状況について、留学生の多い主要17大学等へ聞き取りを行ったところ、国内に就職した952人のうち、県内での就職が462人と、本県で学ぶ留学生の約半数は、福岡で働くことを選ばれている。

問 留学生の就職に向けた取組について
○ 県では、就職を目指す留学生に対して、留学生サポートセンターにおいて、企業とのマッチングや面接指導などの就職支援を行っている。また、企業に対しては、県行政書士会と連携し、留学生雇用に関する相談対応や講習会を実施している。

  •  これらの取組もあり、県内企業への就職者数は、5年前の892人から、昨年度は1,118人と着実に増えているが、全国第3位の留学生数という優位性を活かし、さらに増やしていきたいと考えている。

○ そのためには、県内企業の皆様に留学生雇用への関心を高めてもらうこと、また、留学生には県内企業のことを知ってもらうことが必要である。

  •  今後、これまでの取組に加え、県内の経済団体や製造業、福祉、介護、農林水産業などの業種別団体が参画する「福岡県外国人材受入対策協議会」において、業種ごとの留学生雇用の実態を詳細に把握した上で、好事例を紹介するなどして、就職先を開拓してまいる。

○ また、今議会には、本県の海外向け施策を全世界に向けて一体的に情報発信する、多言語ポータルサイト「FUKUOKA IS OPEN」を新たに開設するための予算を提案させていただいている。このサイトにおいて、県内企業に就職した留学生の活躍や外国人を採用する企業情報の発信を行い、一人でも多くの留学生が福岡で働くことにつながるよう取り組んでまいる。