2023年(令和5年)2月定例県議会 報告 10

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 岩元一儀

答弁骨子
問 少花粉スギへの植替えについて
○ スギの花粉は、花粉症の発生源の一つとなっていることから、少花粉スギへの植替えを進めていくことが重要である。

  •  このため、県では、平成28年度から、主伐後の再造林を少花粉スギで行う場合に、県独自の上乗せ補助を実施してまいった。
  •  こうした取組により、令和3年度の苗木の生産量は、前年度の1.2倍となる約68万本、植栽面積は、1.9倍となる約200ヘクタールまで増加し、3年度に植栽されたスギ全体の5割を占めている。

○ また、スギの花粉は県境を越えて飛散することから、本県のみならず隣県と連携した対策が重要である。

  •  このため、国や九州各県と連携し、少花粉スギの需給情報を共有することで、不足する県に苗木の融通を行っている。
  •  こうした取組に加え、植栽や間伐作業の省力化を図るため、従来よりも少ない苗木で植栽する技術を共同で研究しているところである。

○ 県としては、こうした取組を通じ、引き続き国や九州各県と連携し、花粉の少ない森林への転換を進めてまいる。

問 少花粉ヒノキについて
○ 県では、九州各県に先駆け、平成24年度に少花粉ヒノキの親木を植栽し、10年かけ育成してきた。

  •  この親木から苗木の元となる挿し木を採取し、昨年11月から苗木生産者へ供給を始めたところである。

○ 苗木の出荷までには、3年から4年をかけて育成する必要があることから、今後は、優良な苗木が生産されるよう、資源活用研究センターが苗木生産者に対し、施肥や散水管理の技術指導を行ってまいる。
○ また、少花粉ヒノキは、従来のヒノキに比べて幹が真っすぐに育ち、材質に優れるといった特長もあることから、こうした内容を森林組合等に周知し、その普及に努めてまいる。

問 定員内不合格に対する基本的な考えについて(教育長答弁)
○ 高等学校入学者選抜は、各学校長が、その学校、学科等で学ぶための能力や適性等を適切に判定し、入学を許可するものである。
○ 学ぶ意欲を有する生徒に対して学ぶ機会が確保されることは大変重要であることから、県立高校での選考にあたっては、極力定員内不合格を出さないようにすべきと考えている。

問 定員内不合格の現状について(教育長答弁)
○ 令和4年3月に実施した県立高校入学者選抜における定員内不合格は、
34校143名となっている。

  •  その数は減少傾向にあり、直近5年間で約半数となっている。

○ 文部科学省の調査によれば、令和4年3月実施の入学者選抜における定員内不合格者数について、本県は、設置者として把握していないと回答した6県を除き、学校数に違いはあるものの、実数として全国で2番目の多さとなっている。

問 定員内不合格となる受検生について(教育長答弁)
○ 県立高校入学者選抜においては、著しく学力が低く、入学後の単位修得の見込みがないと判断される場合や、面接等によっても修学意欲が見いだせない場合など、修学可能性が認められないと各学校長が判断した生徒について、やむを得ず定員内不合格となることがある。

問 定員内不合格の説明責任について(教育長答弁)
○ 県教育委員会としては、極力定員内不合格を出さないとの考え方について中学校等に対して説明するとともに、その考え方について各県立高校への徹底を図ってきたところ。

  •  各県立高校においては、開示請求に基づき学力検査の結果を示してきたところであるが、今後は、定員内不合格となった理由についても適切に説明責任を果たせるよう、各学校を指導してまいる。


問 定員内不合格の今後の取り扱いについて(教育長答弁)
○ 入学者選抜に基づく高等学校への入学の許可は、法令上、校長の権限とされており、定員内不合格自体が直ちに否定されるものではないとの文部科学省の認識が示されている。
○ こうした中で、県教育委員会として例外なく定員内不合格を認めないこととするのは適当でないと考えているが、志願者の修学可能性を最大限に見据え、極力定員内不合格を出さない方針が、各学校において一層徹底されるよう、しっかり指導してまいる。

問 入学者選抜における合理的配慮の必要性について(教育長答弁)
○ 障がい等のため、通常の方法により受検することが困難と認められる志願者については、障がいの種類や程度、中学校における配慮事項等を勘案し、適切な配慮のもとで受検できるよう措置を講じることが必要であると認識している。

問 合理的配慮に基づいた入学者選抜の実施状況について(教育長答弁)
○ 受検生の障がいの種類や程度に応じて配慮すべき内容が異なることから、県立高校入学者選抜においては、高校職員、中学校職員、保護者及び志願者本人による協議の場を設けている。

  •  その場において、中学校の定期考査や学校生活で配慮している内容等を踏まえて、受検上必要と考えられる配慮事項の内容を確認した上で、県教育委員会との協議を行い、特別措置を講じている。

○ このように特別措置を行った受検者数は、近年では毎年70名前後となっており、その8割程度が合格している。
○ 直近3か年の県立高校入学者選抜において、特別措置がなく受検できなかった事例は確認されていない。

問 合理的配慮に基づく今年度の入学者選抜の実施について(教育長答弁)
○ 本年度の県立高校入学者選抜においても、文部科学省から示されている資料を参考に受検上の配慮を行うこととしており、既に、試験時間の延長や、代筆、問題用紙・解答用紙の拡大、文章を読む補助用具の使用、別室受検などの特別措置を決定しているところである。

問 受検上の合理的配慮の周知について(教育長答弁)
○ 受検上の配慮については、入学者選抜要項に明記するとともに、市町村立中学校の3年生全員に配布する入試広報用パンフレットや県ホームページでの周知を行っている。

  •  加えて、動画により中学校の校長や教員に対して入学者選抜要項の内容や手続き方法について説明を行っているところである。
  •  今後も、あらゆる機会を通じて制度の周知に努めてまいる。


問 出席日数に過度に頼らない入学者選抜の受検方法について(教育長答弁)
○ 県立高校入学者選抜においては、中学校における出欠の記録について、原則として、選考上考慮する資料としないことを入学者選抜要項に明記している。

  •  さらに、ほとんど出席していない場合であっても、修学可能性を判断できるよう、調査書において欠席の理由を記入できる欄を設けているところである。
  •  今後もこれらにより、出席日数に関わらず学ぶ機会が確保されるよう選考を行ってまいる。


問 県立高校活性化の取組の成果と今後の体制・取組の加速化について(教育長答弁)
○ 県教育委員会では、県立高校活性化を総合的に推進する戦略本部を設置するとともに、各学区に校長主体の活性化チームを新たに立ち上げ、学区ごとに課題分析、改善策の検討や広報活動などを、横の連携を図りながら進めてまいった。
○ 特に志願状況に課題のある筑豊地区においては、学区内の各校合同で、小中学生への出前授業、説明会の実施やパンフレット作成、授業改善に向けた方策検討等にも取り組んだ。
○ さらには、特色化選抜の拡大や、第2志望校制度の導入など、中学生が県立高校を志願しやすい環境整備を行ってまいった。

  •  その結果、令和5年度入学者選抜において、速報値では、県全体の志願倍率は前年度と横ばいであったものの、筑豊地区の全日制高校においては、11校中9校で志願状況が改善した。

○ このほか、本年度新たに県立高校4校にコミュニティ・スクールを導入するとともに、来年度から、新たに地域ぐるみで人材育成を図る連携型中高一貫教育を導入するなど、地域との連携により魅力ある学校づくりを進めている。
○ 今後、県立高校入学者選抜の状況を踏まえ、志願状況が改善している学校について分析し、効果的な取組を他校にも展開するなど、今年度実施した体制整備や取組について、更なる工夫・改善を図るとともに、地域との一層の連携による学校活性化を進めてまいる。