2020年(令和2年)2月定例県議会 報告 7

2024-02-14

代表質問の質問、及び答弁(各質問毎の要約)


一、教育現場の変形労働時間制実施に対応した業務削減について

○教員の労働時間の実態把握について
 県立学校でのICカードによる労働時間把握について、管理職の指示により記録上だけ労働時間を短くしているという現場の声がある。教育長はこれをどう認識しているか。また認識していればどうするのか問う。
【教育長答弁】勤務時間の正確な把握は、長時間勤務改善の前提であり、機会あるごとに適正な記録を行うよう指導してきた。一方で、一部の教員からは、実際より短く勤務時間を記録している者がいるとの声も寄せられている。
 数字の上だけの勤務時間縮減は、働き方改革の趣旨にそぐわず、今後も、正確な勤務時間の記録の徹底を図るとともに、万一、不適正が判明した場合、個別に指導する。

○学力検査の自校採点の目的等について
 学力検査の自校採点は一体何のために行っているのか。又これを実施している都道府県は全国でいくつあるのか、教育長に問う。
【教育長答弁】自校採点は、各学校が子供達の課題やつまずきを早期に把握して指導改善ができるという観点から、国において学力向上の取組み事例として紹介されており、本県においても、各学校が自校の指導改善を図るために行われている。
 全ての都道府県の状況は把握していないが、学力向上の取組みとして行われている県もあると聞いている。

○自校採点の廃止について
 自校採点は廃止すべきと考えるが、教育長の見解を問う。
【教育長答弁】本県では、平成30年度から自校採点のWEBへの入力(集計)を取り止めるなど負担軽減に努めてきた。今後とも、教員の子供達に向き合う時間が確保されるよう、他の業務も含めて各学校での業務改善の促進について検討してまいりたい。

○新任教諭の離職率に対する見解について
 新聞記事では、教師にとって研修が大きな負担となって、福岡県は九州でも離職率が最も高いことが明らかになった。教育長はその理由をどの様に考えているのか問う。
【教育長答弁】近年、採用者数を大幅に増やした結果、採用者の中には学校現場になじめず教職に向かないと辞職する者も存在し、離職率の高さにつながっていると考えている。なお、初任者が抱える負担感や多忙感を和らげるため、メンタルヘルス相談体制の充実に取り組むとともに、採用後の円滑な教員生活のため採用前セミナーを実施している。

○研修会や研究会の精査について
 今後、校内研修や強化等研究会等を精査する必要があると考えるが、教育長の見解を問う。
【教育長答弁】県が計画・実施する教員研修については、本年度から新たな研修体系で実施しており、従来の初任者研修を若年教員研修として採用後3年間に内容の分散をしたり、研修回数や校外研修のスリム化など、教員の負担軽減を図っている。また、校内研修会等は、各学校等の自主的な活動であるが、各市町村教育委員会や校内研修担当者に対して、内容等を工夫、精選して実施するよう指導している。

○小学校英語専科教員の採用について
 小学校においてまずは英語の授業を行う専科教員の採用が必要である。当面は、学校を巡回して指導するという方法も考えられるが、県教育委員会の方針を問う。
【教育長答弁】英語教育の教科化に伴い、専科指導教員など一定の英語力を有する教員の確保が重要となっている。このため小学校教員採用試験において、平成30年度から英語有資格者の採用枠を設定するとともに、今年度から英語有資格者に対する加点制度を導入した。また、現在27市町村で、兼務発令した英語専科指導教員が複数の学校で指導を行うなど効果的な活用を図っている。今後も、一定の英語力を有する小学校教員の採用を進めるとともに、地域の実情に応じた英語専科指導教員の効果的な配置に努める。

一、京都郡のインフラ問題について

○新仲哀トンネルから東九州自動車道行橋インターチェンジまでの四車線化について
 新仲哀トンネルから二車線となるため、みやこ町に入ると渋滞となり、また勝山新町交差点も恒常的に渋滞している。新仲哀トンネルから行橋インターまでの四車線化が急務と考えるが、必要性に対する認識と、今まで、及び今後の取り組みを問う。
【知事答弁】国道201号は延長約90キロメートルの幹線道路で、新仲哀トンネルから東九州自動車道行橋インターの区間は京築・筑豊地域の産業の振興や地域間の連携、更に勝山新町交差点の渋滞対策といった観点から早期四車線化が必要と認識。
 県は県議会とともに国に早期四車線化を働きかけてきた。その結果、国において今年度、地域の皆様の意見を聞き、今後、概略ルートや構造等を検討すると聞いている。

○新松山臨海工業団地の新たな造成地への企業誘致について
 県が造成事業を行っているこの地域は、周防灘における産業集積の中心的役割を果たしており、既にほぼ全部売却済み。現在の造成地への企業誘致について基本的な考え方を問う。
【知事答弁】新松山臨海工業団地は令和4年度の分譲開始を目指し約31ヘクタールの造成を行っている。当団地は半径5km圏内に東九州自動車道、苅田港、北九州空港を擁した陸海空の交通結節点という好立地にあり、北九州空港には昨年11月に大韓航空の定期貨物便が就航するなど、高い優位性を持つ工業団地である。
 国内回帰をはじめとする企業の設備投資の動向を注視しつつ、その高い立地優位性を積極的にPRし、企業誘致に取り組んでいく。

○新たな造成地に誘致する企業への工業用水の供給方針について
 新松山工業団地には企業局が企業誘致に不可欠な工業用水を供給しているが、豪業用水の不足を危惧する。新たな造成地に誘致する企業への工業用水の供給方針を問う。
【知事答弁】苅田地区では、県企業局において臨海部の企業20社に対し日量平均1万6千m3の工業用水を供給している。水源の今川からは日量5万m3程度の取水が可能。水位低下で取水が困難な場合、企業局専用の「殿川ダム」から配水するほか、昨年7月には、北九州市と「渇水時応援給水協定」を締結した。県としては、水の再利用など水資源の有効活用も進め、誘致企業、地区全体の工業用水の安定供給に努めておく。

○北九州空港の利便性向上と災害対策のためのアクセス確保について
 異常気象や大型台風等で大規模災害が各地に発生しており、空港利用者の利便性向上に加え、災害対応のためにもアクセスの複数化が不可欠。二つ目のアクセス確保について問う。
【知事答弁】一昨年の台風21号の関西空港の被災等を踏まえ、国は全国主要空港での大規模自然災害の対策の方向性や緊急に着手すべき課題を公表した。
 北九州空港では大規模自然災害時の「北九州空港業務継続計画」が策定され、連絡橋が通行できない場合のヘリ・船舶による空港島外への退避、通行不能の長期化が想定される際の船舶による代替アクセスの検討等が盛り込まれている。
 二つ目のアクセスの確保は多額の事業費が必要なことから、現在のアクセス道路の利用状況や今後の空港利用者の需要動向等を踏まえ費用対効果や事業採算性を見極めていく必要がある。北九州空港の旅客数は179万人で新たなアクセスが必要な状況になく、当面は空港の利用促進が必要。このため今年度から3年間を「ネットワーク充実強化期間」とし路線誘致に取り組み、利用者の拡大を図る。