2022年(令和4年)6月定例県議会 報告 6

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 後藤香織

答弁骨子
問 新型コロナの感染症法上の取扱いについて

  1.  全国知事会議が開催された今年4月頃、重症化率が低いオミクロン株の特性や治療薬の確保が進んだことなどを踏まえ、医療現場のひっ迫回避、保健所の負担軽減、社会経済活動の回復といった観点から、現在の「2類相当」から「5類」へ変更するべきとの議論があった。
  2.  しかし、仮に「5類」に変更されると、医療費のうち、PCR検査にかかる自己負担分だけでも、3割負担であれば約3000円が発生する。また、新たに承認された治療薬を使用すれば、高額な負担が生じる。県民の皆様が、必要な検査や治療を経済的側面からためらうことで、重症化や感染拡大を引き起こすようなことがあってはならない。
  3.  また、ワクチン接種について、風疹やポリオと同様に、予防接種法におけるA類疾病に位置づけ、公費負担の下で、一定の年齢層に対し、接種を勧奨する制度とすることも考えられる。単純に「2類相当」か「5類」かの二択ではなく、こうした制度など幅広い観点から、新たな仕組を国に検討していただきたいとの考えを、全国知事会議の場で申し上げた。
  4.  この私の発言を受け、「感染症法上の位置づけ、公費負担のあり方について検討すること」が全国知事会の緊急提言に盛り込まれ、国に提案されたところである。


問 新型コロナの後遺症について

  1.  県では、新型コロナの後遺症に悩む方からの相談に対し、看護師がその方の症状に応じて医療機関の紹介等を行う相談窓口を今年2月から開設している。5月末までに2,429件の相談があり、このうち約40%が息苦しさや咳などの呼吸器症状、約21%が倦怠感などの精神・神経症状、約13%が嗅覚・味覚症状を訴えている。
  2.  相談窓口では、症状に応じて後遺症の診療が可能な医療機関の紹介を行っており、5月末までの紹介件数は1,269件となっている。紹介を受けた医療機関では、症状に応じた検査・治療を行っているが、症状が重い場合や治療効果が見られない場合などには、より専門的な検査・治療が可能な医療機関につないでいただいている。
  3.  後遺症の実態に関しては未だ不明な点が多いものの、特徴的な症状やその頻度・持続期間等が徐々に明らかになってきている。このため、県では、引き続き、後遺症に関する最新の知見について県ホームページや医療関係団体を通じて周知するとともに、24時間体制で相談に応じ、後遺症に悩む方を適切な医療につなげてまいる。


問 現在の倒産件数、県制度融資における代位弁済額とそれらに対する
 知事の認識及び返済条件緩和等の対応について

  1.  福岡県内の倒産件数については、コロナ前は350件前後で推移していたが、これまでの各種施策の効果もあり、昨年度は230件と低い水準となっている。また、県制度融資における昨年度の信用保証協会による金融機関への代位弁済額は、約44億円となっており、コロナ前とほぼ同じ水準となっている。県としては、今後コロナ関連融資の据置期間が終了し、返済が始まる事業者も増えてくることから、引き続き景気の状況や企業の資金繰り等を注視していく必要があると考えている。
  2.  また、県制度融資においては、今年3月、ウクライナ情勢や原油価格の上昇等の影響も懸念されることから、返済期間や据置期間の延長といった返済条件緩和措置を、1年間延長した。具体的には、来年3月31日までに金融機関等の承認が得られれば、通常貸付期間10年、据置期間2年のところを、いずれも最長3年間延長できることとしている。併せて、金融機関や信用保証協会に対して、事業者からの返済条件変更の相談について、柔軟な対応を行うよう要請しており、今年4月から5月までの条件変更件数は、509件となっている。


問 火災による高齢者の死者数とリスクについて

  1.  令和元年に、県内で発生した火災による死者数は40名である。そのうち、65歳以上の高齢者は32名で全体の8割を占めている。
  2.  高齢者は加齢による判断力や身体的能力の衰えにより、火災発生時に迅速な対応がとれず、逃げ遅れてしまうリスクが高いため、高齢者世帯に対しては、特に、火の取り扱いや早期避難の重要性、住宅用火災警報器の設置の必要性について啓発していくことが大事であると考えている。


問 住宅用火災警報器の設置率向上と適正な維持管理について

  1.  本県の住宅用火災警報器の設置率は、昨年6月時点で82.7%となっており、全国平均並みであるものの、消防本部の管轄地域ごとにみると5割台のところもあるため、未設置の世帯への働きかけを今後も進めていく必要があると考える。
  2.  一方、警報器には耐用年数があり、平成18年の法改正による義務化後に機器を設置した多くの世帯が交換時期を迎えている。このことから機器の点検や交換を適正に行っていくことも重要である。
  3.  こうしたことを踏まえ、県と各消防本部では、機器の設置や点検・交換を広く県民に促すため、令和元年度から毎年連携して、駅やコンビニのほか、県の庁舎等でのポスター掲示、メディアやSNS等を活用した情報発信などによるキャンペーンを実施しているところである。
  4.  今後、この取組に加え、春と秋の火災予防運動や県の総合防災訓練の際にも、消防本部と連携した周知活動を行うとともに、設置率が低い地域を管轄する消防本部に対しては、
  • ① 自主防災組織等の地域コミュニティや地元企業と連携した広報活動
  • ② 消防本部職員による各家庭での取付け支援
  • といった他の地域の先進事例を紹介し、取組の強化を働きかけ、設置率の向上に努めてまいる。