2023年(令和5年)6月定例県議会 報告 3

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 佐々木 徹

 次に、アスリート盗撮被害の防止について、お聞きします。
 アスリート盗撮には、
・更衣室・トイレに隠しカメラを設置、
・競技中の胸や下半身などをことさらに撮影、
・透視機能がついた赤外線カメラで衣服の下を撮影、
 などがあり、こうした撮影画像が、ツイッターなどに掲載されるネット被害も起きています。その被害の多くは女性・女児であり、我が会派はアスリートがのびのびと競技に集中できる環境づくりが急務と考えます。
 今年3月、閣議決定された性犯罪に関する刑法改正案では、性的な部位やわいせつ行為の盗撮などを取り締まる「撮影罪」が新設されたものの、アスリート盗撮の一部は規制の対象外となりました。そのため、県の「性暴力根絶条例」および「迷惑行為防止条例」において対応せざるを得ないのが現状です。
 議員提案条例の性暴力根絶条例については、今回の質問を機に、具体的な有用性の確保について検討委員会などで会派として問題提議をしてまいりたいと考えています。そこで、今回は、県の迷惑行為防止条例についてお聞きします。
 4点目に、県の迷惑行為防止条例に照らして、アスリートへの盗撮行為はどういった処罰となるのか、知事にお聞きします。
 その上で、県主催のスポーツ大会においてのアスリート盗撮被害防止対策について、禁止のプラカードを掲げるなど、抑止力につながる本格的な取組をしてはいかがでしょうか。対策の現状についてお示し頂くとともに、更なる強化が必要だと考えますが、今後の取組について、知事および教育長に伺います。

 次にカスタマーハラスメント対策の強化についてお聞きします。

 先月5月、東京都大田区で男子中学生が刺され、重症を負う事件が起きました。逮捕された男は、中学生の父親が働く家電量販店の客で、事件前にも複数回、自宅に押しかけるなど、トラブルを抱えていたとみられます。
 他にも、客がコンビニ店で働く店員の自宅まで押しかけたり、バス等の公共交通の内部において運転手に暴言を吐くなど、生活者側の行き過ぎたクレームや著しい迷惑行為はカスタマーハラスメント、略して「カスハラ」と呼ばれ、問題視されています。
 2020年の厚生労働省の企業調査によると、過去3年間にカスハラを経験したと回答した労働者の割合は15.0%で、増加傾向です。同年のUAゼンセンの調査によると、特にカスハラを受けやすいサービス業従事者では、半数以上の56.7%がカスハラを経験しています。
 福岡県警察はカスハラの問題が警察官にも及んでいるとして、5月15日からカスハラ対応に取り組みはじめました。カスハラに該当する可能性がある場合、警告したり、対応を打ち切ったりするなどして、警察官らの業務や精神的負担の軽減を図り、緊急性の高い事案などへの対応につなげるとしており、全国初の組織的な取組が注目されています。
 同様の問題は、県庁や教育現場などでも起きています。
 そこで1点目に、知事及び教育長にカスハラにみられるような行き過ぎたクレームについての認識をお聞きします。
 また、こうした問題から現場で働く職員を守る対策は不可欠だと考えますが、県職員、教職員への行き過ぎたクレームの現状とその対策の状況についてお示しください。そして、対応のマニュアル化など、組織的な対策が必要だと考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、知事及び教育長の所見をお聞きします。

 我が会派は、県警察や県、教育委員会等のカスハラ対策を各市町村や一般の事業者へ浸透させ、全県的にカスハラを撲滅し、安心して働くことができる環境を作っていくことが大切と考えます。
 そこで2点目に、県では昨年度、カスタマーハラスメント対策導入オンラインセミナーを実施していますが、その実施実績と成果について、知事からお答えください。あわせて、今後の取組についてお聞かせください。

 こうしたカスハラの増加の要因の1つには、過度の反論や権利の要求が許されると、一部の人が思っているからではないかと考えます。
 そこでこの項の最後に、児童生徒に対し、カスハラの問題をふまえた道徳や人権などの教育を行っていくべきではないでしょうか。その現状と、今後の取り組みについて教育長からお答え願います。

 次に福岡空港の利便性の向上について質問します。

 知事は「世界の舞台で勝負できる福岡県」を政策集に掲げ、国際舞台での福岡県の存在感を高めようとされています。そこで、世界に開いた福岡県の重要な玄関口である福岡空港について質問して参ります。
 福岡空港は滑走路の利用が原則22時までに制限されており、ことし2月には制限時間内に着陸できなかった航空機が羽田空港に引き返しました。しかし昨晩、福岡空港に向かっていた日本航空機が北九州空港に初めて代替着陸することができ、今後も緊急時には柔軟な対応を期待するところです。
 さて、福岡空港の着陸時間制限は、夜間の騒音対策であると同時に、国土交通省が夜半から明け方までの時間帯に行っている滑走路増設工事の影響であると考えられます。
 まずお聞きします。
 1点目に、増設滑走路工事の進捗状況と、その供用開始は当初の計画通り2025年3月で変わらないのかお答えください。
 2点目に、国内線旅客ターミナルへのアクセス強化と空港口交差点の渋滞緩和を目指す福岡高速3号線の延伸事業の進捗状況と供用の予定をお示しください。

 福岡空港は、福岡国際空港株式会社、いわゆるFIAC(フィアック)が2019年4月から運営を行っています。コロナ禍の影響もありFIACは赤字経営が続いており、利用者の利便性を高め空港の魅力をたかめる必要があります。本県は、FIACに35億7千万円を出資し10%の株式を保有する大株主(おおかぶぬし)です。
 小川前知事は、この巨額の予算計上の理由について、2018年12月定例会で述べています。それによると、株保有の「10%は、会社法上、株主総会で提案が否決されても繰り返し提案ができること、また解散請求といった権能を有する大事な数字」とし、またFIACからの要請もあって出資を決めたと発言しています。
 つまり本県は、FIACの経営に関与する権利を有すると同時に、その経営に一定の責任を持つ立場にあると言えます。
 そこで3点目に、福岡空港で今後どのような点に利用者の利便性を高めていく必要があると考えているのか、FIACの利用者利便性向上のため、大株主として何を求めていこうと考えておられるのでしょうか。知事の考えをお聞かせください。
 4点目に、コロナ禍で大幅に運休となった就航路線の回復状況について、コロナ禍前と現在の国内線、国際線の運航路線、運航本数をお示しください。そして今後、本県として路線の復活と新規就航を目指す路線があれば、その理由も含めてお答えください。

 コロナ禍による大幅な減便や空港利用者の減少に伴い、空港に勤務していた人員の多くがその職を離れたり、配置転換され、現在もコロナ前の状態には戻っていません。今後、休止路線の復活や、新規就航、加えて新たな滑走路の供用が始まれば、空港の混雑が深刻化することは火を見るより明らかです。
 そこで5点目に、国内線、国際線の過去の最大の利用者数と最新の利用者数を、比較できるようにお示しいただくとともに、現在の国内線、国際線の保安検査場における所要時間についてお答えください。また、混雑緩和対策をはじめとする空港運営に必要な全ての人員の確保をどのように進められるのかお示しください。