2023年(令和5年)6月定例県議会 報告 11

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 佐々木 徹

答弁骨子
問 貯留施設、貯留タンク、雨水浸透施設の効果の認識と県内のこのような施設の設置状況について
○  貯留施設は、調整池や地下貯留管など、内水氾濫の軽減を目的として、市町村が管理する施設であり、県内で65か所設置されている。また現在、3か所において整備が進められており、2か所において整備予定である。
 貯留タンクや雨水浸透施設は、各家庭などにおいて設置することで、雨水の流出を抑制する施設である。県内では、各家庭への施設設置に対し、市による助成が行われており、これまで貯留タンクが1,712基、雨水浸透施設が4基設置されている。
 近年の集中豪雨を踏まえると、都市部における豪雨に対しては、河川や下水道による排水機能の向上策だけでは十分でない地域もあり、このような施設を設置することは有効であると考える。

問 県有施設における貯留施設の設置の現状及び今後の取組について
○ 貯留施設については、現在、県有施設のうち、県営住宅や県立学校など24か所に設置している。
○ 貯留施設の設置は、浸水被害の軽減に有効であるため、国、県、関係市町村で構成する流域治水協議会の場を活用し、情報交換や検討・協議を行い、施設の新設や改修を行う際に、県有施設における貯留施設の整備を進める。

問 市町村が助成する各家庭への貯留タンク、雨水浸透施設の設置の推進について
○ 県内では、現在、福岡市、久留米市、筑紫野市の3市が、各家庭への施設設置に対し、助成を行っている。今後は、市町村において、こういった助成制度が拡がることが重要であると考えている。
○ このような助成制度には、国の補助制度も活用できることから、県では、市町村に対して、

  • ① 県内市町村で構成する下水道推進協議会や、
  • ② 圏域毎の流域治水協議会、
  • ③ 県が主催する福岡県雨水対策研究会「あめんたい」

 などの場において、国の補助制度の周知を行うとともに、事例紹介を行うなど、市町村職員の意識の向上を図っている。
○ また、各家庭の施設設置を推進していくためには、県民の皆様の理解も必要である。
 そのため、今後は、新たに県のホームページによる普及啓発を図るとともに、市町村に対しても、広報媒体を活用した普及啓発を働きかけていく。
 さらに、県の流域下水道浄化センターで、毎年、市町と共同で開催している下水道展において、家庭の施設設置についてのパネルを展示するなど、県民の皆様の理解を深める取組を進めていく。

問 「ふくおか防災ナビ・まもるくん」の配信目的と市町村との連携等について
○ この県の防災アプリ「まもるくん」は、県民の皆様が、災害への備えといざという時に適切な行動がとれるよう、現在地の防災情報をプッシュ通知によりお知らせし、避難所の情報を地図で見られるようにし、災害時に取るべき行動をイラストで示す、といった、防災メールを強化した3つの特徴を活用して、配信しているものである。
○ 既に、全ての市町村の防災情報とは連携できており、市町村が発信する避難指示や避難所の情報、地域の安全情報等の防災情報は、「まもるくん」でも配信している。
○ また、「まもるくん」は、県内全ての避難所の開設や混雑状況等、広域的な情報を配信している。
 県としては、各市町村が住民の皆様に、独自の防災メールやSNSへの登録を促す際は、併せて、「まもるくん」への登録について、市町村広報紙等を活用し、周知していただくよう、働きかけてまいる。

問 「ふくおか防災ナビ・まもるくん」の登録者数と登録促進の取組について
○ このアプリの登録者数は、昨年12月23日の配信開始以来、毎月約3,000人ずつ増加し、今日現在、約2万4,300人を超えるなど、順調に推移していると認識している。
○ 登録促進の取組については、まず、昨年12月、知事会見の場で、県民の皆様に直接呼びかけた。
 併せて、県職員には、積極的な登録と、家族や知人への声かけを促し、市町村や関係機関には、文書やチラシを配付した。
○ また、今年3月まで「登録促進キャンペーン」を実施した。
 その主なものとして、

  • ・ 携帯電話販売店でのチラシ等によるPR
  • ・ 「フェイスブック」や「インスタグラム」へのSNS広告掲載
  • ・ 「グーグル」や「ヤフー」へのWEB広告掲載
  • ・ 県や他団体が主催する防災イベントでの特設ブースの設置

 などに取り組んだ。
○ 今年度も、
・ 携帯電話会社と連携したショッピングモールでのダウンロード支援サービス
・ 県と包括協定を締結している企業や、金融機関、業界団体へのポスター、チラシの配付
  さらに、これらの企業等へ直接的な働きかけを行っている。
・ また、県職員には、改めて、積極的な登録と、家族や知人への声かけの促し 等に取り組んでいるところである。
○ 今後も、こうした取組に加え、効果が期待できる手法を取り入れ、一人でも多くの県民の皆様が登録していただけるよう、積極的に取り組んでまいる。

問 定員内不合格について(教育長答弁)
○ 令和5年度入学者選抜における定員内不合格は153名で、令和4年度入学者選抜から10名の増となっている。
 県教育委員会としては「極力定員内不合格を出さない」という方針が各学校で一層徹底されるよう、県立学校長会における全体指導に加え、今年2月末に通知を発出した。
○ 現在、定員内不合格が多く生じた学校に対し、個別にヒアリングを行っているところであるが、令和6年度入学者選抜に向けては、高校入試の基本原則として教育委員会が定める入学者選抜要項において、「極力定員内不合格を出さない」という方針を新たに明記したいと考えている。これにより、全県立高等学校に対して趣旨を徹底するとともに、志願者・中学校に対しても、この方針を示したいと考えている。

問 小・中学校における定数欠講師等の未配置の状況と今後の取組について(教育長答弁)
○ 今年度、必要な定数欠講師が確保できず未配置となっているのは、小学校で63人、中学校で50人となっており、この他、正規教員の産休代替・育休代替などの講師の未配置が小学校で72人、中学校で24人となっている。
○ この解消のため、引き続き退職者や教員採用試験受験者への働きかけを行うとともに、教員免許状を持ちながら、現在、教職に就いていないペーパーティーチャーを対象とした説明会の実施など、全力を挙げて講師登録者の確保に努めてまいる。

問 小・中学校における早期退職者の推移と教員の離職防止の取組について(教育長答弁)
○ 定年退職以外の退職者数は平成30年度以降300人前後で推移しているが、近年、30歳以下の若年教員の退職者が増加しており、平成30年度の81人から、令和4年度は全体の約半数の158人になっている。
○ このため、若年教員に対しては、教職生活の円滑なスタートのため、先輩教員との交流会やアンケートの実施を通して、教科指導や学級経営等の課題を共有し、その解決を図るための支援を行い、早期退職の防止に努めてまいる。
○ なお、精神疾患による休職者の早期退職の防止策として、復職の際には、職場復帰訓練を実施し、複数の精神科医による職員及び所属長との面談において、復帰後の勤務に関する助言等を行い、円滑な職場復帰を支援している。
○ また、今年度から早期退職募集制度の対象年齢を、年度末において定年前10年以内である者に引き上げ、40歳代の中堅教員は制度を利用できないよう見直すこととしている。
○ さらに、高齢期の教員が、定年まで健康でやりがいを持って働くことができるよう、ICT化による校務効率化や小学校における専科指導の推進など学級担任の負担軽減を図るとともに、管理職等による日常的な健康管理やメンタルヘルス対策など、職場環境の整備に努めてまいる。

問 世界水泳における支援及び効果について
○ 大会組織委員会については、会長に日本水泳連盟の鈴木大地会長が就任され、副会長には、私をはじめ、開催都市の高島福岡市長、経済界から九州経済連合会の倉富会長、競技団体からは福岡県水泳連盟の山住会長が就任している。その他には、競技団体、経済団体、報道機関、警察などの機関の方が委員として就任されている。 また、県議会からは、香原議長が顧問に就任されている。
○ 次に、大会経費については、全体で225億円となっており、主たる経費として、競技会場の整備、大会運営、選手の宿泊・輸送業務に要する経費などがある。
 その財源としては、開催都市である福岡市の負担金が125億円余、県負担金が15億円、国の補助27億円、toto助成12億円などとなっている。
○ こうした財政的な支援に加えて、施設面では県立総合プールを飛び込み競技の会場として提供している。
 また、競技役員として競技運営等の経験を有する約50名の教員を教育委員会から派遣するとともに、大会運営スタッフとして延べ約750名の県職員を派遣することで安全かつ円滑な大会運営となるよう支援してまいる。
○ この大会は、県民の皆様に、トップアスリートの躍動する姿を間近に感じていただく、またとない機会となる。
 特に、次代を担う子どもたちは、その技術、スピード、力強さに直に触れることによって、夢や希望を持ち、あきらめない気持ちの大切さを感じることができる。
○ この大会を通じ、心を豊かにするスポーツの力や素晴らしさを多くの県民の皆様に発信していけるよう、福岡市とも連携しながら、大会の成功に向け取り組んでまいる。

問 世界大会を誘致する価値と意義について
○ 世界大会の開催は、我が県が世界から注目され、選ばれることによって、本県に対する県民の愛情や誇り、いわゆるシビックプライドの醸成に繋がる。
○ また、国内外から選手をはじめ多くの方々を迎えるチャンスであり、大きな経済効果が期待できるだけでなく、地域の活性化にも繋がる。
 このため、県としては、今回の世界水泳の開催にあたり、県の海外向けウェブサイトで、大会情報と合わせて観光情報を発信するとともに、博多港国際ターミナルや博多駅前広場において、観光PRや旅行商品の販売を行い、県内各地への誘客を図ることとしている。
○ 世界大会の開催には、「スポーツ立県福岡」の実現にとっても大きな意義があり、私といたしましても大変期待をしている。
 今後とも、福岡県スポーツ推進基金、福岡県スポーツコミッションと連携し、市町村や競技団体のご意見を聞きながら、大規模スポーツ大会の誘致、開催に努めてまいる。