2023年(令和5年)6月定例県議会 報告 9

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 佐々木 徹

答弁骨子
問 生成AIに対する基本的な認識について
○ チャットGPTをはじめとする生成AIは、様々な情報が学習データとして活用されることで、

  • ① 個人情報や機密情報が流出する危険性や、
  • ② 学習した情報そのものに誤りや正確でないものが含まれる可能性、
  • ③ ユーザーの使い方次第で差別や偏見、不適切な情報を広めてしまうリスク、
  • ④ 生成された文章や画像が著作権を侵害する可能性、

があるといった課題があるものと認識している。
○ 一方、生成AIは、人々の暮らしや社会を大きく変容させる可能性をもっており、業務の効率化や企業の生産性の向上をはじめ、県民サービスの向上につながることが期待される。
○ 県としては、このような先端技術に背を向けるのではなく、その特性を把握した上で活用していくことが重要と考えている。
 生成AIについても、先ほど申し上げた課題を十分に把握したうえで、有効かつ安全な利活用の方策を検討してまいる。

問 生成AI検討プロジェクトチームについて
○ 県では、生成AIを県業務において有効かつ安全に活用するため、先月26日庁内に、情報科学分野や法律分野の外部有識者を交えた「生成AI検討プロジェクトチーム」を立ち上げたところである。
○ 検討に当たっては、広く職員からアイデアを集め、この夏には、活用案を取りまとめ、「利活用ガイドライン」を策定する考えである。ガイドラインの内容については、政府の「AI戦略会議」等の動きも見ながら、必要に応じて見直してまいる。
○ また、市町村によっては、生成AIの利活用を単独で検討することが難しい場合もあると考える。県としては、両政令市や中核市が、他の市町村と共通する事務を行っていることから、これら両政令市等と検討状況を共有し、具体的な活用案の情報を提供するなど、市町村において有効かつ安全に生成AIの利活用が進むよう支援してまいる。

問 県立三大学における取扱いについて
○ 福岡女子大学では、先月、生成AIの出力結果の検証の必要性、著作権等の知的財産権の尊重等の注意事項を示した「生成AIの利用に関するガイドライン」を策定し、全教職員と学生に対して周知した。今後、生成AIの技術の進化や利用状況の変化を注視しながら、ガイドラインを点検・評価し、改善を行うこととしている。
○ また、九州歯科大学及び福岡県立大学では、学内に検討組織を設置し、他大学の運用ルール等も参考にしながら、ガイドライン策定の検討が行われているところである。
○ 今後、県としては、県立三大学のガイドラインの検討状況を把握するとともに、県の「生成AI検討プロジェクトチーム」が策定する「利活用ガイドライン」を情報提供したいと考えている。

問 生成AIに対する見解と、県立高校などにおける取扱に関する対応について(教育長答弁)
○ 生成AIは、有効に活用すれば、生徒の探究的な学習をより深めたり、教員の業務を効率化できる可能性がある一方で、情報漏洩や著作権の侵害、不正確な情報の生成、生徒の批判的思考力や創造性への影響など、様々な懸念があると考えている。
○ 現在、国の審議会においては、生成AIの学校での利用に関する議論が行われており、活用が考えられる場面や禁止すべき場面、授業デザインのアイデア等をまとめたガイドラインが夏前に策定される予定である。
○ 県教育委員会としては、情報活用能力の育成という観点から、生成AIとどのように向き合い、使いこなすのかといった視点も踏まえた情報教育を進めてまいる。
○ その際、学校で円滑に対応できるよう、管理職や教育情報化推進主任、情報科教員等を対象とした研修会等で、国のガイドラインをもとに、最新動向や取組事例、留意点等について情報提供するなど、学校を支援してまいる。

問 医療提供体制の総括について
○ この3年あまりにわたる新型コロナとの闘いでは、県医師会をはじめとした医療関係団体の皆様、医療の最前線でご奮闘いただいた医療従事者など、多くの関係者の皆様のご尽力により、医療のひっ迫を防ぐことができた。改めて心から感謝申し上げる。
○ 今回のコロナ対応では、「福岡方式」とも呼ぶべき取組により医療提供体制の維持・強化を図った。
 具体的には、

  • ① 陽性が判明した段階から直ちに血中酸素飽和度を用いたトリアージによる病床の効率的運用につなげたこと
  • ② 病床の利用状況をリアルタイムで共有できる独自のシステムを活用することで、入院調整を効果的に実施したこと
  • ③ 救急搬送困難事例が多数発生した際は、入院が必要な方が自宅待機とならないよう、「患者待機ステーション」を開設したこと
  • ④ 県医師会の協力の下、全ての宿泊療養施設に医師・看護師が24時間体制で常駐するとともに、全国に先駆け、中和抗体薬の投与体制を整備し、重症化を防ぐなど、医療的対応が可能な環境を整備したこと

などが挙げられる。
○ 一方で、課題としては、

  • ①流行初期において、感染への不安や風評被害の恐れなどから、病床や発熱外来、宿泊療養施設等の体制の確保に時間を要したこと
  • ②医療現場において、医療用マスクなど個人防護具の供給不足が生じたこと
  • ③新規陽性者数の急激な増加により、保健所において発生届出や陽性者の健康観察などの対応業務がひっ迫したこと
  • ④入院調整、自宅療養者への対応、相談窓口の開設などで、当初、県と保健所設置市との連携がうまく進まなかったこと

などが挙げられる。
 新たな感染症予防計画の策定にあたっては、これらの課題を踏まえて検討を進めてまいる。