2023年(令和5年)6月定例県議会 報告 10

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 佐々木 徹

答弁骨子
問 新型コロナの再拡大時の医療体制について
〇 5月8日から5類感染症に移行されたことにより、限られた医療機関による特別な対応から、インフルエンザ同様に幅広い医療機関による通常の対応になる。
〇 このため、入院医療体制については、県医師会などの医療関係団体、大学病院、専門家、行政機関等と協議の上、9月末までを移行期間とし、第8波の最大入院者数約4,600人に対応する移行計画を作成した。具体的には、第8波の実績を踏まえて

  • ① 中等症Ⅱ以上の方を、コロナ病床を確保している医療機関において、約600人、
  •  コロナが軽症で基礎疾患増悪の恐れや介護等が必要な方を、
  • ② コロナ病床を確保している医療機関において、約1,000人
  • ③ コロナ病床を確保していない医療機関において、約3,000人、

受け入れることとしている。
○ 外来医療体制については、一定の感染対策が必要となるインフルエンザ診療に対応している医療機関に対して、コロナの診療もしていただくことで、発熱外来を拡充してまいる。
○ これらの取組を進めるにあたっては、これまでコロナ患者に対応していなかった医療機関に対し、治療や感染対策等を分かりやすく説明したリーフレットの配布、簡易陰圧装置等の設備支援、院内感染防止の訓練や研修への参加促進に取り組んでいる。
○ また、入院調整については、行政による調整から医療機関同士での調整になることから、入院対応医療機関を取りまとめた一覧表を外来対応医療機関等に配付するとともに、重症病床等の入院状況を関係者間で共有できるシステムを活用することにより、調整が円滑に行えるよう支援している。
 なお、コロナの治療が終了した後も、引き続き入院が必要な方は、後方支援病院などへの転院を促すことで、病床の効率的な運用を支援してまいる。
○ このような取組もあり、入院対応医療機関は、移行前の171医療機関が、6月9日時点で128医療機関増え、299医療機関となっております。外来対応医療機関も移行前の2,123医療機関が、6月9日時点で166増えて、2,289医療機関となっております。
○ また、オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなど、これまでと異なる状況となった場合で、必要があると認められれば、国において、新型コロナの発生時と同様に、改めて感染症法上の「指定感染症」に位置づけ、医療提供体制を強化することが示されている。

問 新たな感染症まん延時における対応について
○ 先ほど申し上げた新型コロナ対応における課題を踏まえると、新たな感染症の発生時には、速やかに必要な医療提供体制を立ち上げることが重要である。
 具体的には、発生時に、まずは感染症指定医療機関を中心に入院や外来に対応し、そこで得られた知見を共有しながら、一定規模の病床を短期間で確保できる医療機関に拡大し対応してまいる。その後も、対応する医療機関をさらに拡大し、これまでの新型コロナ対応で最大規模の医療提供体制を速やかに整備してまいる。
○ このため、県、保健所設置市、感染症指定医療機関、医療関係団体等で構成される「感染症対策連携協議会」において、確保すべき医療機関の機能・役割や病床数等を含め、振り返りで得られた様々な課題について議論し、今年度中に新たな感染症予防計画を策定する。
○ その上で、計画に基づき、病床や発熱外来等に対応する医療機関と協定を締結してまいる。
 また、宿泊療養施設、自宅療養者への往診や訪問看護等の確保に関する協定についても締結してまいる。さらに、協定締結医療機関における実効性を確保するため、平時から、個人防護具の備蓄、職員の研修や訓練などを行っていただくこととしている。
○ こうした取組により、新たな感染症の発生時に速やかに対応できる医療提供体制を整備してまいる。

問 県内に在留する外国人労働者について
○ 県には、令和4年12月末現在、就労目的の在留資格を持つ外国人労働者の方が2万9,419名いる。在留資格別では、「技能実習」が1万2,172名で最も多く、次いで「技術・人文知識・国際業務」7,546名、「特定技能」5,134名となっている。
○ このうち「特定技能」については、すべて1号の方であり、2号の方はいない。
 また、特定技能1号の方が住民登録している自治体は、多い順に福岡市、北九州市、久留米市となっており、この三市で42.3%を占めている。さらに、福岡市では、「飲食料品製造業」に就労される方が多く、北九州市や苅田町では「産業機械等製造業」、久留米市や朝倉市では「農業」に多いといった特徴がみられる。

問 外国人労働者の受入について
○ 外国人労働者の受入については、多様性に富んだ活力のある社会を実現するとともに、深刻な人手不足の緩和にも寄与するという観点から、大変重要であると認識している。
○ 県では、外国人労働者を受け入れたいという労働現場のニーズに応えるため、令和元年度から、外国人材受入企業を支援する講習会や個別相談を行っている。
 講習会では、新たに外国人労働者を受け入れたいと考える企業を中心に、遵守すべき法令や適切な雇用管理等を学べるよう、オンライン及び県内4地域で実施しており、昨年度までに延べ109回、1,518人の方が参加している。個別相談では、延べ680件の支援を行い、外国人労働者を受け入れる環境づくりを促進しているところである。
○ 今後とも、出入国在留管理局、福岡労働局、外国人技能実習機構等の関係機関と連携し、県内企業が適切かつ円滑に外国人労働者を受け入れられるよう取り組んでまいる。

問 外国人材の確保等のための実践的なプラットフォームの整備について
○ 県では、外国人に係る労働環境や生活環境の整備を促進するため、県、国、市町村、地域国際化協会、介護・福祉、建設業などの事業団体、行政書士会、社会保険労務士会等60団体で構成する「福岡県外国人材受入対策協議会」を設置している。
○ 協議会には、「相談窓口部会」、「日本語教育部会」、「労働環境部会」の3つの専門部会を置いており、例えば相談窓口部会では、市に寄せられた在留資格にかかる相談について、出入国在留管理局と連携して問題を解決するなどの好事例が生まれており、それぞれの窓口での対応能力向上につながっている。
 また、労働環境部会での議論を踏まえ、県では、外国人材受入好事例集を作成して経済団体や事業団体等に配布するとともに、県ホームページで公開し、企業への意識啓発を行っているところ。
○ さらに、当協議会において、「人材不足であるが、小規模な企業・団体では、コミュニケーションの不安や文化の違い、手続きが煩雑などの理由から外国人の雇用に踏み切れない」との課題が提起されたことを受け、今年度、外国人材雇用の業種別実態調査を実施しているところであり、調査で得られた好事例や対応策の紹介を通じて、外国人材の確保につなげてまいる。
○ このような形で、当協議会の構成員がそれぞれの専門性や機能を十分に発揮しながら、連携して外国人材の受け入れに取り組むことで、当協議会がより実践的な役割を担っていけるよう取り組んでまいる。