2023年(令和5年)6月定例県議会 報告 4

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 佐々木 徹

 次に生成AI(エーアイ)の取扱いについて質問します。
 生成AIとは、インターネット上に存在する膨大なデータを検索、学習、抽出し、人間側の問いかけや希望に応じて文章や画像、動画、音楽などを自動生成する人工知能のことを指し、代表的なものにチャットGPTと呼ばれるサービスがあります。生成AIは、一見、理路整然とした文章や、芸術的に見える画像などを生成しますが、反面、内容が不正確であったり、著作権に抵触する可能性、入力された内容から情報漏洩につながるなどの問題点も指摘されています。わが会派内で、数人の会派議員のプロフィールについてチャットGPTに尋ねたところ、事実と異なる内容の経歴書が生成され、取扱いについて慎重を期す必要があると感じました。
 この生成AIについて服部知事は、その利活用のルール作りや安全利用のための環境整備のため、外部有識者を加えた「生成AI検討プロジェクトチーム」を立ち上げ、5月29日に第1回会合が行われました。いっぽうで、鳥取県の平井知事は生成AIについて「地域にフィットした答えが出てくるわけではない。現場で集めてきた情報のほうに価値がある」として、重要な政策決定に関わる点については使用を当面禁止する方針を打ち出しています。
 また生成AIについては、教育機関における取扱いも注目されています。課題作成などに活用すれば教職員の負担軽減につながる可能性がありますが、学生や生徒の使用については、生成AIで課題を解くことは学習の妨げになると、禁じている教育機関もあります。今回の県の検討チームでは、庁内や各自治体での生成AI利活用の方針作りを主な目的とし、教育現場での利活用の検討は対象外と伺っています。
 そこで知事及び教育長に伺います。
 1点目に、生成AIと、それが生成するものについて、知事及び教育長はどのような見解をお持ちか、その認識をお聞かせください。そして知事は、生成AI検討プロジェクトチームがいつまでにどのような形で利活用の方針を作成し、示していくのか、具体的にお答えください。
 そして2点目に、県立の3大学や高校など、県所管の教育機関における生成AIの取り扱いに関して、今後どのように対応していくのか、知事及び教育長の考えをお聞かせください。

 新型コロナウイルス感染症対策について伺います。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、我が会派が主張してきた保健所の重要性が明らかになりました。例えば、糸島市では保健所に多くの方々が感謝されたということを耳にしました。知事におかれては、感染症を含む地域の公衆衛生を支える重要な拠点として、今後とも県内保健所の充実に努めていただく事を要請しておきます。
 さて、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行され、対策の基本的考え方が変わりました。日本国内ではゴールデンウィーク明けの5月8日に感染対策が原則として個人の判断とされました。それまで行っていた感染者数の全数把握は、定点把握とされ、公表も一定期間の感染者数とされることになりました。
 しかし、5月8日以降も多くの人はマスクをしています。これは、新型コロナウイルスへの感染に県民が警戒感をまだ有していることの現れと理解できます。県としては今後起こり得る新たな感染拡大への対応を備えておくべきと考え、以下、県民の命を守る知事に質問をしていきます。
 1点目に、県は5月8日から対策本部を閉鎖しました。ここで一旦新型コロナウイルス感染症についての総括をしておく必要があります。医療現場ではスタッフが不足したほか、病床も不足して自宅や宿泊施設で療養を余儀なくされるなどの問題が生じました。そこで、これまでの医療提供体制について、知事はどう総括されるのかお聞かせください。
 2点目に、再び新型コロナウイルス感染症が拡大期に入った場合や、新たな変異株の出現による感染などが発生した場合、今日までの知見の中からどのような医療体制を取られるのかお聞かせください。
 また、新型コロナウイルス感染症ではなく、新たな感染症がパンデミックとなり、或いはパンデミッククラスの蔓延(まんえん)となった場合、これまでの経験をどのように活用できると考えておられるのかお尋ねします。

 次に人口減少社会に伴う外国人労働者の雇用問題についてお聞きします。

 厚生労働省の人口動態(どうたい)統計によると、日本の2022年の出生数は前年比5.1%減の79万9,728人で、1899年の統計開始以来、初めて80万人を下回りました。今後、少子化は更に進み、2050年に日本の総人口は1億人を下回ると予測され、今後の労働力人口不足が社会的問題となっています。
 現在日本政府は、移民受け入れには消極的ながら、外国人労働者は受け入れる政策を進めています。
 政府は2019年4月、人材確保が困難な産業分野等に即戦力となる外国人を受け入れるため、一定分野の専門知識と技能などがあれば日本で働くことが出来る新たな在留資格「特定技能1号・2号」を創設しました。
 しかし「特定技能1号」は、1年ごとの在留更新で通算5年まで、また家族帯同を認めないなど、通常の就労ビザと比較して条件が厳しくなっています。そこで政府は業界団体などからの要請を受け、在留期間に上限のない「特定技能2号」について、2024年度を目標に、対象業種を現在の2分野から11分野へ拡大すべく、省令の改正などを進めています。このように外国人労働者の雇用政策が整備されるなか、本県の外国人受け入れについてまず伺います。
 1点目に、本県内において、いわゆる就労ビザを取得し、在留する外国人労働者は何名いるのか、特定技能1号、2号の内訳をあわせてお答えください。また、その在留自治体について、どこに多いかなど特徴を踏まえ、お示しください。
 2点目に、外国人労働者の受け入れ、確保についての知事の認識をお聞かせください。
 その上で、労働力不足の解消、労働力確保に向け、外国人労働者を受け入れたい、という労働現場のニーズに応えるため、県として、企業側に対し、どのような外国人労働者確保策を講じるつもりか、お答えください。

 技能実習生や留学生のアルバイト等の外国人労働者については、最低賃金以下の賃金で働かせたり、通勤手当や残業手当を支給しない、更には、賃金の遅滞や未払い、雇用条件に沿った働かせ方をしていないなど、労働法制を遵守していない事業者の実態も明らかになっています。

 先日、我が会派は、福岡市博多区の吉塚市場リトルアジアマーケットにおける「在留外国人との共生、共修」の取組について視察しました。ここでは、労働人材の確保、定着を目的に個人事業主や法人などが、適正な外国人人材の採用や管理ができるよう「福岡リトルアジアコミュニティ協議体」を設立し、先に挙げたような悪質な事業者などを排除し、企業、監理団体、登録支援機関それぞれが信頼のおける関係性の構築をめざしています。また、個々の外国人の文化を尊重しながら、生活や就労の相談、日本語学習など様々なサポートを行っています。
 今後、本県でもこれまで以上に外国人労働者が増えることが予想される中、人権問題の解決、多文化共生社会の実現に向け、在留外国人の労働条件の改善なくして、本県の労働力不足は解消されません。
 そこでこの項の最後に、円滑で適正な外国人材の確保、全ての本県在留外国人の生活の質の向上のため、本県が中心となって、実践的なプラットフォームを整備してはいかがでしょうか。知事の見解をお聞きします。