2021年(令和3年)9月定例県議会 報告 8

2024-02-14

民主県政県議団 代表質問 登壇者 中嶋 玲子

答弁骨子
問 福岡県立大学の「不登校・ひきこもりサポートセンター」や民間フリースクールの取組の意義や県の支援について
○ 不登校の子どもたちに多様な教育機会を提供する取組は、学校復帰や社会的自立を図っていく上で重要であると認識している。
○ 県立大学のサポートセンターでは、電話や来所などによる相談に加え、学内の「キャンパススクール」において、不登校の子どもたちへの学習支援と心理的なサポートを行っている。利用した子どもたちのうち、再び学校に通学できるようになった割合は、直近3年間の平均で6割を超えている。
○ 今年度からは、朝倉市など4市町村のモデル校やフリースクールなどの関係者によるネットワーク会議を設置し、社会的自立に向けた支援プログラムや不登校の未然防止のための行動指針の策定などに取り組んでいるところである。県としては、県立大学が本県における不登校対策の拠点としての役割を担うことができるよう、必要な経費を助成してまいる。
○ 次に、フリースクールについては、全国に先駆け、運営経費の一部助成を平成19年度から開始し、当初は4施設であったが、令和2年度は14施設に対し助成している。引き続き、不登校の子どもたちの状況に応じた学習活動が行われるよう、支援してまいる。

問 不登校児童生徒の学びの場を確保するための関係機関との連携について(教育長答弁)
○ 不登校児童生徒の学びの場を確保し、社会的な自立を目指すためには、児童生徒の意思や個性に応じた、多様で適切な教育機会が確保されるような支援体制を作っていくことが重要であり、県、市町村、学校、民間団体等や、福岡県立大学の「不登校・ひきこもりサポートセンター」との連携強化が不可欠だと考えている。
○ そのため、まず、不登校支援の在り方について関係機関等との共通認識の形成に努める。その上で、不登校児童生徒への個別の支援においては、学校と教育支援センターや、多様な教育機会を提供している民間団体、そして家庭とが連携し、不登校児童生徒についての情報共有、早期からのカウンセリングや学習指導、そして進路についての相談までを切れ目なく支援できるようにすることを目指してまいる。そのためには、連携の中心となる教育支援センターの機能強化が期待されるところであり、県としてもそのための取組を検討していきたいと考えている。

問 平成29年7月九州北部豪雨の復旧工事について
○ 県が管理する道路、河川、砂防などの公共土木施設の災害復旧工事の進捗状況については、原形復旧を行う225箇所の全てで工事に着手し、全体の9割を超える211箇所において、工事が完成している。今年度までに、全ての箇所で工事が完成する予定である。
○ また、改良復旧を行う73件については、
・道路では、2路線3区間の全てで工事が完成している。
・河川では、13河川の全てで工事に着手し、1河川が完成しており、令和4年出水期前までに、さらに4河川が完成する予定である。なお、護岸整備が必要な延長のうち約8割で工事に着手し、5割を超える工事が完成している。
・砂防では、57箇所のうち49箇所で工事に着手し、30箇所が完成しており、令和4年出水期前までに、さらに7箇所が完成する予定である。
○ 次に、農地・農業用施設についてである。原形復旧を行う977箇所のうち851箇所で工事に着手し、うち676箇所の工事が完成している。今年度中には、さらに159箇所が完成予定であり、これを含めた割合は、全体の8割以上となる見通しである。未着手の箇所については、隣接する他の復旧事業との調整を行っており、調整が整ったところから順次着手してまいる。
○ また、被害が甚大で原形復旧が困難な河川沿いの農地については、朝倉市が区画整理型の復旧を進めており、9河川15区域のうち10区域で工事に着手している。未着手の5区域のうち、4区域については、現在、朝倉市が発注準備を行っているところであり、残りの1区域についても、国や地元との調整を行っており、調整が整い次第、着手する予定である。
○ 県としては、引き続き、用地の取得や関係者との調整を進め、着実に工事の進捗を図り、一日も早い被災地の復旧・復興に取り組んでまいる。

問 朝倉市における営農再開に向けた支援について
○ 農地の復旧については、被災から4年が経過し、山間部や河川沿いの農地を除き、復旧工事を終えたところである。復旧を終えた農地では、被災した376戸の担い手のうち、360戸が営農を再開している。
○ 県では、営農再開にあたり、ハウス施設や省力機械の導入を支援しており、果樹農家がイチゴやアスパラガスなどを新たに導入したり、地区外からの参入者によりイチゴ栽培が開始された事例も出ている。
○ しかしながら、今後、復旧が本格化する山間部等においては、小規模な農家が多いことに加え、被災から時間が経過し、高齢化や離農が進んでいることから、担い手の確保が課題となっている。
○ このため、普及指導センターが中心となって、朝倉市やJAとプロジェクトチームを立ち上げ、まずは復旧が進んでおり、水稲を主体とする黒川(くろかわ)地区を対象に、機械の共同利用を行う営農組織の設立や、農地中間管理事業を活用した地区外からの担い手確保について検討を進めている。
○ 県としましては、今後、赤谷川(あかたにがわ)地区や北川(きたがわ)地区などでも、担い手の確保に加え、収益性が高い園芸作物の導入による複合経営や、水田農業を担う法人組織の育成などを進め、朝倉市の産地復興に努めてまいる。

問 朝倉市の地域コミュニティ再生に向けた支援について
○ 朝倉市では、被災した住民の転出により過疎化、高齢化が加速し、地域コミュニティの存続が危惧される地域がある。このような厳しい状況にある地域コミュニティを再生するためには、担い手となる人材の育成を図るとともに、コミュニティの絆を深める取組を進めていくことが必要である。
○ これまで、県では、コミュニティ活動を担う人材を育成するため、市町村職員や自治会役員等を対象に、研修会や活動事例の報告会を開催してきた。
○ さらに、今年度から、朝倉市が実施する、被災地のコミュニティ再生に向けた取組に対する助成制度を新たに開始した。具体的には、地域コミュニティ組織やNPOが行う、
 ① 地元の住民と被災して転出された住民との、田植えや、ちまきづくりなどを
  通じた交流、
 ② 地域の祭りなど、中断している地域行事の復活、
 ③ 農業体験など、地域資源を活用した被災地域の交流人口の拡大
などの取組に対し、支援を実施しているところである。
○ 県としては、このような取組を通じ、朝倉市と力を合わせて、被災地域のコミュニティ再生を支援してまいる。

問 国道322号の整備について
○ 国道322号は、北九州市から朝倉市を経由し、久留米市までを繋ぐ広域的な幹線道路である。県では、道路ネットワークの強化及び円滑な交通の確保を図るため、平成29年度から朝倉市内において甘木バイパスとして事業に着手している。
○ 事業着手後、平成29年豪雨災害が発生し、県・市ともに災害復旧に最優先で取り組んでいるところであるが、当工区の早期整備は、依然として必要なものと認識している。

問 朝倉市との連携・協議について
○ 国道322号甘木バイパスは朝倉市の市街地部で交差点が近接した屈曲部があり、円滑な交通に支障が生じている。県としては、早急に屈曲部を解消することが必要だと考え、事業着手前から継続して朝倉市と協議・調整を行っている。
○ 早期整備のためには、市のまちづくりと一体となって事業を進めることが必要であると考えており、引き続き、市と連携・協議を行いながら、事業を進めてまいる。