2012年6月議会・代表質問(6月15日)

2024-02-14

農業問題について

次に農業問題について、制度開始から3年目を迎えた戸別所得補償制度と、それを基盤に今年度から始まった関連事業について、知事にお尋ねします。

はじめは、戸別所得補償制度についてです。わが国の農政は、戸別所得補償制度が、導入されるまでは、規模拡大を基調とする、品目横断的、経営安定対策が進められてきました。しかし、わが国の農業は、規模の論理だけでは国民への安定的な食糧供給や、多面的機能の維持に、課題を残してきました。

こうした現実を踏まえ、戸別所得補償制度は、2010年度に、戸別所得補償の対象をコメに限定して、「米戸別所得補償制度」としてスタートしました。端的に言えば、戸別所得補償制度は、以前の農政が規模拡大に軸足を置いていたのに対し、農業経営安定化のための所得と、農村コミュニティーの維持に、軸足を置く政策と言えますが、両政策ともに、農業経営の安定と、国内生産力の強化を図り、食糧自給率の向上と、農業の多面的機能を維持するという目標をめざしているという点では、共通する目標をもった政策とも言えます。

また初年度に、対象をコメとした理由は、農地の5割以上を占める水田に着目し、その利活用拡大をはかるとともに、過剰なコメの生産を抑え、麦、大豆、米粉用・飼料用といった、自給率向上の中心作物の生産拡大を図ることを目的としたためです。

そして、この制度は昨年度から、「米戸別所得補償制度」を継続しつつ、畑作物についても、所得補償の対象に加える「農業者戸別所得補償制度」として、本格実施されています。

そこで。1点目は、戸別所得補償制度の参加状況について、お尋ねします。

「農業者戸別所得補償制度」への参加率を、全国的にみると、2010年度が77.4%であったのに対し、2011年度は、これを4.0ポイント上回る81.4%に上昇しています。

これに伴い、コメの過剰作付面積は、2010年度の約4万1千ヘクタールから、2011年度は約2万2千ヘクタールへと、約2万ヘクタール減少しました。この数字からは、戸別所得補償制度が生産調整への参加者を増やし、コメの過剰作付けを、減少させる方向で作用したことが、示されています。

戸別所得補償制度への参加者が、増加した理由としては、2010年秋に米価が下落する中で、戸別所得補償制度による、定額支払いと、変動額支払いが実施され、とりわけ変動額支払いの受領によって、コメ生産者に「米価の大幅な下落がカバーされ、経営の安定が保たれる」という、戸別所得補償制度の政策効果に対する、実質的な理解が深まったためだと考えられます。

また、2011年2月に農水省が実施した、戸別所得補償制度に対するアンケート調査によると、7割以上の生産者が、制度を「そのまま続けるべき」、「改善点はあるものの、骨格は維持すべき」と回答していますが、この時点では、変動額支払いの支給は実施されておらず、変動額支払いの実施を踏まえれば、これらの回答は、さらに増えたと推測できます。

そこで第1に、2010年度から、今年度にかけて、本県の戸別所得補償制度への参加率が、どのように推移しているのかお聞きします。

第2に、戸別所得補償制度の維持は、大多数の農家の意向だと判断できますが、知事は戸別所得補償制度に対する本県農家の意向をどのように、とらえているのかお聞きします。

2点目は、営農組織の法人化、規模拡大からみた戸別所得補償制度について、お尋ねします。

戸別所得補償制度に対しては、小規模生産者を含めた、全ての生産者を対象にしていることから、これを「バラマキ」であり、農地の規模拡大を妨げるといった、批判があります。制度の始まった、2010年の12月議会で、当時の知事も、わが会派の代表質問に対し、「戸別所得補償制度は経営形態にかかわらず、一律に所得の補てんをする制度であるから、農業営農組織の法人化や、できるだけ、規模の拡大を図っていくという、我々の政策に対し、いわば農業の構造改善を阻害するということを懸念している」と答弁しています。

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